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しおりを挟む「あの…もっと優しくできません??」
「十分優しくしてるから大人しくして」
時々痛みに震えつつ、手際よく手当てをしていくひたすら眺める
保健室はたまたま無人で鍵もかかってなかったため先輩が道具を探し出し俺の手当てを始めた
「手際いいですけど、なんかやってたんですか?」
「ううん、特になにもやってないよ
でも、弟がよく怪我するから」
「ふーん、弟いるんだ」
「これでいつでも河田くんが手当てできるね!」
「俺が毎回ボコボコにされる程にしないでください」
笑顔を浮かべる先輩は再び俺の傷口の手当てをする
先輩を見ててあることがふと疑問に思った
「そういえば先輩って何で俺のこと好きなんですか?
自分で言いたくないけど、女遊びは激しいとかチャラそうとか言われるし」
「なんでなんだろう?
見かけるうちにいつのまにか好きになってた!」
「理由適当ですね」
「て、いうのはまた違うんだけど…」
「なんなんですか」
「……やっぱ覚えてないよね…」
先輩は少しだけ悲しそうに微笑んで俺から目を逸らす
「覚えてないってどういうことですか?」
「ううん、気にしないで」
そんなこと言われたら逆に気になるだろなんて思いつつ、男に好きになられた理由なんて聞かされても嬉しくはない
「ところで元から男が好きなんですか?」
「ううん、元は恋愛感情とか湧いたことないんだけど河田くんが初めて!」
純粋な顔で初めてなんていうから思わずドキッとする
しゃがみ込んで、俺の足を手当てする先輩をを眺めてると
なぜだか、頭を撫でたくなってきていつのまに手が伸びていた
「そういえば、河田くんは」
「いった!!」
突然先輩が顔を上げたため、慌てて手を引っ込め後ろの壁に大きな音を立てて当たった
「だ、大丈夫?!」
「いや、大丈夫じゃないです…」
「まさか…骨とか折れてないよね?」
先輩は無意識なのか俺の手をそっと取り、じっと見つめた
「あの…」
「あ!ごめん!つい!
こういう風に触られるの嫌だよね」
「いや、別に」
握られていた手はすぐに離れたけど、別に嫌ではなかった
柔くて小さくて女の子みたいな手してる
「手ちゃんと動く?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあこれで手当て終わり!」
先輩胸の前に手をパッと上げて笑顔を浮かべる
なんだかその姿が少しだけ可愛く思えた
「河田くん、もう終わったから帰って大丈夫だよ?」
「え?」
さっきまであんなに止められてたのに急に帰っていいなんて言われて戸惑う
「帰らないの?」
だんだんこの人がわからなくってきた
「逆に帰っていいんですか?」
「だってさっきまで帰りたがってたでしょ?」
「そうだけど…
このままだとなんか気悪いんで俺も手当てしますよ」
「大丈夫だよ!僕自分でするし!」
「いいから、そこ座ってください」
先輩を近くの椅子に座らせる
「ちょっと前髪上げてもらえますか?」
「え、でもちょっと恥ずかしい…」
「なにを恥ずかしがって
別に減るものじゃないでしょ」
先輩は恥ずかし気に自分の長い前髪を上げるけど下を俯いてて顔がよく見えない
「顔上げてもらえます??」
「ぶ、不細工でも気にしないでね…
弟とか友達にもよく女顔とか言われるから…」
なに言ってんだこの人
諦めたのか顔を赤くしながら目を瞑って勢いよく顔を上げた
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