22 / 38
第四章:仮面魔闘会
邪法の伝授
しおりを挟む
わたしの覚悟を確認したヴェルターは、おもむろに頭を撫でてくれました。
気恥ずかしさを感じて赤くなるわたしは俯きますが、ヴェルターは撫でるのをやめません。
「私を信じてくれてありがとう。けれど私を全肯定なのは良くないよ」
「良いのです。自分が選んだ道ですから」
「何だか教祖や神にでもなった気分だよ」
「ヴェルター教ですか。何か象徴でも掲げましょうか?」
「冗談でもやめてほしいね」
手が離れた頭を上げると、苦い顔をしていたので何か過去にあったのかもしれませんね。
何を話していても飄々としているイメージのヴェルターでも嫌なことってあるみたいです。
すぐに視線をわたしに戻して「さて、では講義を始めようか」といつものセリフを聞かせてくれます。
わたしは元気よく「はいっ!」と答えて講義を待ちます。
「魔力が少ない原因は、さっきも話したように消費ができず増やせる機会がないからだ。
このままではスタートラインにすら立てず、君はいつまで経っても魔法が使えない。
そもそも『魔力』なんて見えないモノをイメージしにくいだろうから、体内で生成され、全身に栄養を行き渡らせる『血』に置き換えて考えてみよう」
「血、ですか?」
「失えば力が抜けるところまでそっくりだろう?」
ヴェルターはいたずらを思いついたような意地悪そうな顔で笑う。
たしかに見えなくて実感もわかない『魔力』を考えるのは難しいかもしれません。
「……そのたとえでなら、わたしは貧血状態になるのかもしれませんね」
「そうだね。そして君は人と違って『貧血状態』でも平然としていられる」
「代わりに運動が不得意で、ちゃんと倒れてしまう、ということですね?」
「そのままでも人並み以上に動けてしまうんですけどね。ではそんな貧血の原因は何だと思う?」
「栄養の少なさ……血の薄さ……?」
「そう、体内であれば『個人差』はもちろん許容されるが、ひとたび体外に持ち出せば基準が変わってしまう」
「それが魔法で、だからわたしは使えない……」
「ではその個人差を無くすにはどうすれば良いかな?」
「え……いきなり言われても……」
想像してみても全然形になりません。
ずっと魔力ゼロのわたしでは、魔力がある人のことなんてわかりません。
血に置き換えたところでお医者さんでも治癒士でもありませんし……。
「もっと気楽に考えれば良い。見るべきは『魔力量が多い者たちの共通点』。それを揃えれば自然と魔力が増えているはずだ」
「それが分かればみんなしているのでは? 魔力多い方が良いわけですし」
「つまり知られていないと見るべきだろうね。ちなみにティアナはどんな共通点があると思う?」
問われてすぐに答えが出るわけがありません。
けれどヴェルターが『考えること』を望んでいるならば……。
ともあれ、貧血が原因だとしましょう。
栄養が足りないならもっともっといっぱい食べた方が良い?
あ、わたしの場合は消費自体が少ないのでしたっけ。
では小食な人では?
少ないごはんからいっぱい栄養を吸収する?
うーん……答えがそれだけならヴェルターがわざわざ訊きそうにありませんが。
「なんでも構わないよ?」
「……食べる量を増やせばいいと思います」
「一つの答えだね。他にはあるかな?」
「魔力もそうですが、血のことなんて考えたことが……」
「確かに。では答え合わせといこうか。
量が多ければ出血に耐えられ、濃いほど高い結果を得られ、血管が太いほど潤滑な運用ができる。
君にはこのすべてが足りておらず、どれか一つを何かの手段で得られても、魔法を使うことは難しい」
「……絶望的ですか?」
聞けば聞くほど自分の体質が魔法を受け付けないのだと思い知らされます。
これでどうやってヴェルターはわたしを魔法士にするのでしょうか。
魔法が使える使えない以前に、そろそろそちらの方が気になってきますね。
「いいや? むしろ希望的な話をしようと思っているよ。
まずはティアナが示した『食事』ができるようにしよう」
「食事ですか?」
「仮想戦場や山を下りる時に回復したように、呼吸や皮膚からも魔力を取り込めるが余りに非効率すぎる。
そこで本来は身体の中にしかない魔力の道を直接外部にも接続できるようにする方法だ。血が足りないから、と身体に穴を開けて取り込むと思えば危険度がわかると思うが――」
「やりましょう」
「……その決断の速さは美徳だが、やはり危険ではあるね。
魔力の漏洩や汚染を防ぐための術式も刻むとして、体内の魔力路に併設する必要がある。
要は身体に直接術式を書き込む必要があって……まぁ、刺青の形になる。
取り込む必要がなくなっても、消すことのできない一生モノの傷がティアナの肌に残ることになるが――」
「構いません」
そんなことでわたしの返事は変わりません。
魔法を使うための努力を惜しんでしまえば、ヴェルターに顔向けができませんしね。
「承知した。君の覚悟に改めて感服する。これから刻む術式は、邪法《神気剥奪》というものだ」
「邪法?」
「他者の魔力を奪うと同時に、自らを削り傷付く邪法だ。
そして術者の魔力容量を越えて取り込めばどうなるか。
なだれ込む魔力は風船を膨らませるように魔力路は広げられ限界を迎えるが、流入を止めてはいけない。
壊れないために、全身をめぐる魔力路を強く太く作り変える第一歩にようやくたどり着いたのだから。
魔力が循環して行き渡り、満たされてからが本番だ。
量から質へ。体内をめぐる大量の薄い魔力を維持することは不可能だ。
量を減らすために精製し、純度を上げて貯蔵する機能を作り始める。それでも流入を止めてはいけない。
魔力路と同様に、限界を迎えた容器を押し広げる軋みが聞こえ出す。
これは君の魔力の容量を拡張する大事な軋みだ。もちろん、流入は止めてはいけない」
ヴェルターは朗々と唄うように説明してくれる。
けれどイメージが沸かないわたしは、とても端的に返答します。
「えっと……とにかく溜めていくということですか?」
「その通り。すべてティアナの体内を魔法士へと変えるための破壊と創造に他ならない。
自然に行えば五年以上掛かる工程を、数十倍、数百倍も短縮しながら同時進行する術式だ。そこまでやってようやく神秘に手が届く」
入らない容器に無理やり魔力を詰め込み、風船のように膨らまるのですね。
でもそれって魔力が抜ければ萎びてしまうだけでは?
「術式を施してから試しに少し私の魔力を与えよう。そこで壊れてはいけないよ?」
不吉なことを言うヴェルターに思わず顔が引きつります。
けれど彼が半端な術式を紹介するはずがありませんよね。
もちろんわたしは「お願いします」と頭を下げました。
気恥ずかしさを感じて赤くなるわたしは俯きますが、ヴェルターは撫でるのをやめません。
「私を信じてくれてありがとう。けれど私を全肯定なのは良くないよ」
「良いのです。自分が選んだ道ですから」
「何だか教祖や神にでもなった気分だよ」
「ヴェルター教ですか。何か象徴でも掲げましょうか?」
「冗談でもやめてほしいね」
手が離れた頭を上げると、苦い顔をしていたので何か過去にあったのかもしれませんね。
何を話していても飄々としているイメージのヴェルターでも嫌なことってあるみたいです。
すぐに視線をわたしに戻して「さて、では講義を始めようか」といつものセリフを聞かせてくれます。
わたしは元気よく「はいっ!」と答えて講義を待ちます。
「魔力が少ない原因は、さっきも話したように消費ができず増やせる機会がないからだ。
このままではスタートラインにすら立てず、君はいつまで経っても魔法が使えない。
そもそも『魔力』なんて見えないモノをイメージしにくいだろうから、体内で生成され、全身に栄養を行き渡らせる『血』に置き換えて考えてみよう」
「血、ですか?」
「失えば力が抜けるところまでそっくりだろう?」
ヴェルターはいたずらを思いついたような意地悪そうな顔で笑う。
たしかに見えなくて実感もわかない『魔力』を考えるのは難しいかもしれません。
「……そのたとえでなら、わたしは貧血状態になるのかもしれませんね」
「そうだね。そして君は人と違って『貧血状態』でも平然としていられる」
「代わりに運動が不得意で、ちゃんと倒れてしまう、ということですね?」
「そのままでも人並み以上に動けてしまうんですけどね。ではそんな貧血の原因は何だと思う?」
「栄養の少なさ……血の薄さ……?」
「そう、体内であれば『個人差』はもちろん許容されるが、ひとたび体外に持ち出せば基準が変わってしまう」
「それが魔法で、だからわたしは使えない……」
「ではその個人差を無くすにはどうすれば良いかな?」
「え……いきなり言われても……」
想像してみても全然形になりません。
ずっと魔力ゼロのわたしでは、魔力がある人のことなんてわかりません。
血に置き換えたところでお医者さんでも治癒士でもありませんし……。
「もっと気楽に考えれば良い。見るべきは『魔力量が多い者たちの共通点』。それを揃えれば自然と魔力が増えているはずだ」
「それが分かればみんなしているのでは? 魔力多い方が良いわけですし」
「つまり知られていないと見るべきだろうね。ちなみにティアナはどんな共通点があると思う?」
問われてすぐに答えが出るわけがありません。
けれどヴェルターが『考えること』を望んでいるならば……。
ともあれ、貧血が原因だとしましょう。
栄養が足りないならもっともっといっぱい食べた方が良い?
あ、わたしの場合は消費自体が少ないのでしたっけ。
では小食な人では?
少ないごはんからいっぱい栄養を吸収する?
うーん……答えがそれだけならヴェルターがわざわざ訊きそうにありませんが。
「なんでも構わないよ?」
「……食べる量を増やせばいいと思います」
「一つの答えだね。他にはあるかな?」
「魔力もそうですが、血のことなんて考えたことが……」
「確かに。では答え合わせといこうか。
量が多ければ出血に耐えられ、濃いほど高い結果を得られ、血管が太いほど潤滑な運用ができる。
君にはこのすべてが足りておらず、どれか一つを何かの手段で得られても、魔法を使うことは難しい」
「……絶望的ですか?」
聞けば聞くほど自分の体質が魔法を受け付けないのだと思い知らされます。
これでどうやってヴェルターはわたしを魔法士にするのでしょうか。
魔法が使える使えない以前に、そろそろそちらの方が気になってきますね。
「いいや? むしろ希望的な話をしようと思っているよ。
まずはティアナが示した『食事』ができるようにしよう」
「食事ですか?」
「仮想戦場や山を下りる時に回復したように、呼吸や皮膚からも魔力を取り込めるが余りに非効率すぎる。
そこで本来は身体の中にしかない魔力の道を直接外部にも接続できるようにする方法だ。血が足りないから、と身体に穴を開けて取り込むと思えば危険度がわかると思うが――」
「やりましょう」
「……その決断の速さは美徳だが、やはり危険ではあるね。
魔力の漏洩や汚染を防ぐための術式も刻むとして、体内の魔力路に併設する必要がある。
要は身体に直接術式を書き込む必要があって……まぁ、刺青の形になる。
取り込む必要がなくなっても、消すことのできない一生モノの傷がティアナの肌に残ることになるが――」
「構いません」
そんなことでわたしの返事は変わりません。
魔法を使うための努力を惜しんでしまえば、ヴェルターに顔向けができませんしね。
「承知した。君の覚悟に改めて感服する。これから刻む術式は、邪法《神気剥奪》というものだ」
「邪法?」
「他者の魔力を奪うと同時に、自らを削り傷付く邪法だ。
そして術者の魔力容量を越えて取り込めばどうなるか。
なだれ込む魔力は風船を膨らませるように魔力路は広げられ限界を迎えるが、流入を止めてはいけない。
壊れないために、全身をめぐる魔力路を強く太く作り変える第一歩にようやくたどり着いたのだから。
魔力が循環して行き渡り、満たされてからが本番だ。
量から質へ。体内をめぐる大量の薄い魔力を維持することは不可能だ。
量を減らすために精製し、純度を上げて貯蔵する機能を作り始める。それでも流入を止めてはいけない。
魔力路と同様に、限界を迎えた容器を押し広げる軋みが聞こえ出す。
これは君の魔力の容量を拡張する大事な軋みだ。もちろん、流入は止めてはいけない」
ヴェルターは朗々と唄うように説明してくれる。
けれどイメージが沸かないわたしは、とても端的に返答します。
「えっと……とにかく溜めていくということですか?」
「その通り。すべてティアナの体内を魔法士へと変えるための破壊と創造に他ならない。
自然に行えば五年以上掛かる工程を、数十倍、数百倍も短縮しながら同時進行する術式だ。そこまでやってようやく神秘に手が届く」
入らない容器に無理やり魔力を詰め込み、風船のように膨らまるのですね。
でもそれって魔力が抜ければ萎びてしまうだけでは?
「術式を施してから試しに少し私の魔力を与えよう。そこで壊れてはいけないよ?」
不吉なことを言うヴェルターに思わず顔が引きつります。
けれど彼が半端な術式を紹介するはずがありませんよね。
もちろんわたしは「お願いします」と頭を下げました。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
散々許嫁の私を否定にしたくせになぜ他の人と結婚した途端に溺愛してくるのですか?
ヘロディア
恋愛
許嫁の男子と険悪な関係であった主人公。
いつも彼に悩まされていたが、ある日突然、婚約者が変更される。
打って変わって紳士な夫に出会い、幸せな生活を手に入れた彼女だったが、偶然元許嫁の男と遭遇し、意表を突かれる発言をされる…
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる