せめて1話だけでも。orz

RaRi/daruma

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1章 終末(週末)は君と。

4話 色眼鏡

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 刀祢の中に湧き上がる様々な感情は勇気にそして殺意に変わっていった。




 刀袮は戦斧の進路に手を出した。

 すると戦斧は刀袮の腕をたやすく切り裂くと思われたが刀袮の手の骨に当たり止まった。




(マジか。コイツ人のくせして私の戦斧を手で止めやがった)そうゲッケイジュが思っていると、刀袮は立ち上がりドアの方に走った。




「あ」




 ゲッケイジュの喉から、小さな声が漏れた。




「よし、母さんごめん。後で洗脳は説いてあげるから」




 ヤルダバオトは申しわけなさげにそう告げると、その姿を消した。その瞬間刀袮達が入ってきたドアも消えていた。




「くっ、くそがぁぁぁぁ。私がぁ、私がぁ怒られる」




 そう言いうと、ゲッケイジュは、戦斧を振り回し怒りを露わにする。




「仕方がない、一度帰るぞ。」




 そう赤甲冑が告げる。




「で、でも」




 そう続けようとすると、赤甲冑が静止させる。




「お前に意見を求めているわけではない。ゲッケイジュ」




「そうね、ごめんなさい取り乱したわ、、、行きましょう」




 ゲッケイジュは静かに頷くと、戦斧をしまう。

 その数秒後、赤甲冑とゲッケイジュはいつの間にか消えていた。




「はぁ、はぁ、はぁ」




 刀袮は走る。ただ逃げるためだけに。いつの間にか変わっていた景色も気にせず。

 すると、目の前にヤルダバオトが現れる。




「わぁぁぁ!!」




 刀袮は急に出てきたヤルダバオトに対して驚きの声を上げた。

 だが直ぐ平常心を取り戻しヤルダバオトに強く問いかける。




「おい、どうなってるんだ。てかなんなんだよここ。もう帰らせろよ。」




「そうだよね」




 そうゆうとヤルダバオトは残念そうにそして申し訳なさそうに「でも」と続ける。




「でも、それをしよにも一度代理様に会わないと。それにここじゃあ魔法も使えないし」




「ま、魔法?」




 刀袮は、日頃から読書が趣味の一つだった。子供の頃、施設に入ってから、本を読みふけった。




 そして、刀袮の好きなジャンルの、一つが図鑑などの専門書だった。刀袮は世界の広さを知った頃から色々な事を調べ学んだ。

 だがそれと同じ程好きなジャンルがある。それがライトノベルなどの、フィクション作品だ。

 刀袮は、自分に無いものを欲すタイプだったため物語の中で自分のできない事をしているのが、珍しく映ったのだろう。

 そして特に刀袮の求めたものそれが魔法や魔術などの非科学的なものだった。まぁいわゆるヲタクや中二病な一面もあったのである。




「ま、魔法って手から炎を出したりする奴?」




 刀袮は、真剣な表情で、しかし何処か欲しい玩具を前にした子供のようにヤルダバオトに問う。




「まぁ、その世界にもよるけどそうゆうのもあるね」




 ヤルダバオトは少し戸惑いながら答えた。

 刀袮は、喜悦した。それも無理はないだろう。誰だって欲しいが手に入らないとわかっているものが手に入るかもしれないと思えば喜ぶものだろう。

 刀袮は、暫し喜悦した後、真剣な表情になりヤルダバオトに問う。




「なぁ、ヤルダバオト、君は一体何だ?あと、この世界のことももう一度教えてほしいそして、、、魔法って?」




 ヤルダバオトはひと呼吸置いたあとに答える。




「まず、この後の事を聞いたら、もう後戻りはできないかもしれないよ、、、いいの?」




 刀袮は暫し思考する。

 後戻りとは、今まで通りの、起きて、学校に行き、帰り、寝る。それがいつもどうりにできなくなると言う事だろう、そんな、つまらない人生はいらない。と、刀袮は軽く考えていた。

 確かに日本には、大事な人がいないわけではない。施設の育ての親だ。だが感謝はすれど信頼も信用もしない、【自身が危なくなれば切り捨てる。】、【どうせ、裏切る】だったら最初から信用しない。

 いつからだろうか、刀袮は人を色眼鏡無しで見られなくなったのは。

 それに、、、魔法それが刀袮の心を動かした。




「あぁ」




 刀袮は、小さく、しかし確かな決意を持って答えた。

 ヤルダバオトはそれだけ聞くと満足そうに頷き語り始める。




「まず、僕はヤルダバオト。この世界の、神だよ

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