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終章 さよならは春の日に
13.祝勝会
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『え、記憶が無い?』
『……ああ。夏也の意識は戻ったが、俺と会ってから遺跡を出るまでの記憶がすっぽり抜けちまってるらしい』
俺は焼きそら豆を摘みながら、西原に返答した。
霊界食堂の無愛想な入り口には、赤い提灯がいくつもぶら下げられて、ちょっとした祭のような雰囲気だ。
蛮神の封印に成功したという事で、今日は皆を呼んで、ささやかな祝勝会をしていたのだった。
『じゃあ、幽霊のお前と会った事も覚えてねぇってのか?』
『ああ。まあ、その方が好都合だよ』
『でもよ……それじゃあ』
そう西原がもごもご言うのを遮って、俺の前に人影が割って入った。そいつは俺の肩を揺さぶりながら大声で言う。
『いやー! こんな馬鹿馬鹿しい作戦思い付く奴なんて神界には居ないよ! 本当最高だね友和は♪』
酒瓶を片手に宇迦様がはしゃぐ。すると後ろから呆れた声がした。
『宇迦様、めでたい席ではありますが、ちょっと飲み過ぎですよ……』
振り返ると、豊月が腰に手を当てて困り顔をしている。
『ええー? 別に酔ってないわよ! ちょっとツマミが美味しすぎるから進んじゃってるだけでぇ~』
そう言う宇迦様の背後には、一升瓶が山のように転がっていた。
『確かに、西原さんのツマミ美味すぎるわ。一ノ瀬さんも来れば良かったのにな~。勿体ねえ』
そう言って俺の隣でビールを片手に、ベーコンポテトを口に放り込んでいるのは天太だ。
霊界の食事は、人間界に置いてきた身体に害を与えないと閻魔から聞いて、彼は安心して飲み食いしていた。
『あれから一ノ瀬はどうしてる?』
『どーもしないっすよ? 連続不審死の捜査チームは解体したみたいですけど、相変わらず忙しそうにしてて、相変わらず冷たい』
天太は苦笑しながらビールを煽った。
『神職の家系だと言っていたが、彼もかなりの霊力の持ち主だったな……。何故、家を継がなかったのだろう』
その隣で、蓮雫も静かに呟いた。
『ん~。どう見ても神主さんっぽくはないですけどね。まあ、色々あるんじゃないっすか?』
見た目の問題ではないと思うが。
『それで、友和は今後どうするんだ?』
『……ああ。夏也の意識は戻ったが、俺と会ってから遺跡を出るまでの記憶がすっぽり抜けちまってるらしい』
俺は焼きそら豆を摘みながら、西原に返答した。
霊界食堂の無愛想な入り口には、赤い提灯がいくつもぶら下げられて、ちょっとした祭のような雰囲気だ。
蛮神の封印に成功したという事で、今日は皆を呼んで、ささやかな祝勝会をしていたのだった。
『じゃあ、幽霊のお前と会った事も覚えてねぇってのか?』
『ああ。まあ、その方が好都合だよ』
『でもよ……それじゃあ』
そう西原がもごもご言うのを遮って、俺の前に人影が割って入った。そいつは俺の肩を揺さぶりながら大声で言う。
『いやー! こんな馬鹿馬鹿しい作戦思い付く奴なんて神界には居ないよ! 本当最高だね友和は♪』
酒瓶を片手に宇迦様がはしゃぐ。すると後ろから呆れた声がした。
『宇迦様、めでたい席ではありますが、ちょっと飲み過ぎですよ……』
振り返ると、豊月が腰に手を当てて困り顔をしている。
『ええー? 別に酔ってないわよ! ちょっとツマミが美味しすぎるから進んじゃってるだけでぇ~』
そう言う宇迦様の背後には、一升瓶が山のように転がっていた。
『確かに、西原さんのツマミ美味すぎるわ。一ノ瀬さんも来れば良かったのにな~。勿体ねえ』
そう言って俺の隣でビールを片手に、ベーコンポテトを口に放り込んでいるのは天太だ。
霊界の食事は、人間界に置いてきた身体に害を与えないと閻魔から聞いて、彼は安心して飲み食いしていた。
『あれから一ノ瀬はどうしてる?』
『どーもしないっすよ? 連続不審死の捜査チームは解体したみたいですけど、相変わらず忙しそうにしてて、相変わらず冷たい』
天太は苦笑しながらビールを煽った。
『神職の家系だと言っていたが、彼もかなりの霊力の持ち主だったな……。何故、家を継がなかったのだろう』
その隣で、蓮雫も静かに呟いた。
『ん~。どう見ても神主さんっぽくはないですけどね。まあ、色々あるんじゃないっすか?』
見た目の問題ではないと思うが。
『それで、友和は今後どうするんだ?』
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