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第6章 言葉たちを沈めて

4.天太の思い

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 去年の夏から、俺は何度も護堂家の二階に勝手にお邪魔させて貰っていた。最近ではまるで実家のように寛いでしまっている。

 平日の昼間であれば、この家の主人である夏也も仕事に出掛けているので、俺は警察官の身でありながら霊体になって住居侵入を繰り返していた。

『友和、最近来ないね~』

 シュンがつまらなそうに座布団の上で胡座をかいている。友和とは暫く会えていなかった。神々の宴に乗り込んだ時の話は、豊月から聞いていた。

 宴が終わった後で、西原さんと豊月は月神と話した内容を共有されたらしい。自分の発掘調査が、蛮神の封印を解くきっかけになったと知って、友和はかなりショックを受けていたそうだ。

 黒い霧の出現は、現在月神の力で抑えられているとも豊月は言っていた。
 なのでパトロールの必要はもう無いのだが、シュンの様子も気になるので、非番や休日に合わせて俺はなんとなくこの家に通い続けていた。

 シュンは座敷童子として、あまり外には出ないようにしているし、夏也も仕事で昼間は居ない。
 ヘンテコなあの神様も、最近は月神の所へ通って不在がちだった。蛮神を深く眠らせる術を編むのに協力しているらしい。正直俺には何を言っているのかあまり良く分からない。

 とにかくそこで優しいお兄さんの俺は、退屈しているだろうシュンの話し相手になってやろうと考えたのだ。

(あと単純に、寮より広くて居心地が良いんだよな~この家)

 俺が手足を伸ばして、ゴロゴロと畳に寝転がっていると、シュンも隣に転がって天井を見上げながら話し掛けてきた。

『天太ってさ~、何で警察官になったの?』

『おいおい、適当な感じだな。俺の人生の大事な選択を、暇つぶしのネタに聞くなよなー』

 俺は口を尖らせたが、ちょっとだけ考えてみる。

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