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第5章 神々の宴
10.神様のお節介
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俺と美帆は同時に聞き返す。
『会いたい人はもう一人おるんじゃないかと思ってな?』
『そ、そんな私は……護堂先生には特に用事も無いですし、し、失礼します! 本当にありがとうございました!』
何故か急に慌てだした美帆は、そのまま逃げるようにして坂道を下って行ってしまった。
『さっさと伝えてしまえば良いのに、人間というのはもどかしいのぅ……』
『何の事だ?』
『何でもない。さて、二階でお土産でもいただくとしようかの』
神様は目敏く俺の持っていた菓子袋に視線を送る。俺は溜息を吐くと、お地蔵さんに会釈して自宅へと歩き出した。
(何だか妙な様子だったが、まあいいか……)
一階では居間で夏也とシュンが話しているようだったので、俺達はそっと階段を上がって二階へ向かった。
神様が待ちきれなさそうなので、早速栗まんじゅうを食べながら、出雲での出来事と一週間後の課題について共有する。
『ほう……そりゃ大変じゃな。勝算はあるのか?』
『一応、アイデアは浮かんだんだが……』
俺は蕎麦屋で思いついたメニューについて、神様に話してみた。すると、彼は何かとても面白いものを見つけたように、キラキラと目を輝かせている。どうやら悪くないみたいだ。
『そいつはいいな。宴会当日も楽しみにしておるぞ!』
『まだ合格出来ると決まった訳じゃない……というか、アンタも参加するのか?』
『会いたい人はもう一人おるんじゃないかと思ってな?』
『そ、そんな私は……護堂先生には特に用事も無いですし、し、失礼します! 本当にありがとうございました!』
何故か急に慌てだした美帆は、そのまま逃げるようにして坂道を下って行ってしまった。
『さっさと伝えてしまえば良いのに、人間というのはもどかしいのぅ……』
『何の事だ?』
『何でもない。さて、二階でお土産でもいただくとしようかの』
神様は目敏く俺の持っていた菓子袋に視線を送る。俺は溜息を吐くと、お地蔵さんに会釈して自宅へと歩き出した。
(何だか妙な様子だったが、まあいいか……)
一階では居間で夏也とシュンが話しているようだったので、俺達はそっと階段を上がって二階へ向かった。
神様が待ちきれなさそうなので、早速栗まんじゅうを食べながら、出雲での出来事と一週間後の課題について共有する。
『ほう……そりゃ大変じゃな。勝算はあるのか?』
『一応、アイデアは浮かんだんだが……』
俺は蕎麦屋で思いついたメニューについて、神様に話してみた。すると、彼は何かとても面白いものを見つけたように、キラキラと目を輝かせている。どうやら悪くないみたいだ。
『そいつはいいな。宴会当日も楽しみにしておるぞ!』
『まだ合格出来ると決まった訳じゃない……というか、アンタも参加するのか?』
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