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第5章 神々の宴

2.料理の審査

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 今日の昼の献立は、定食がぶりの照り焼き、丼メニューが牛丼、麺メニューがパスタカルボナーラだった。

 麺メニューはうどんやそば、ラーメン等が多いが、意外とパスタも人気だったりする。鬼達が並んでパスタを食べている姿を見るのは、なんだかシュールだった。

『ふーん、なるほどね。じゃあ全部持って来て! 早く出来たやつからどんどん持ってきてね♪』

『え、全部? か、畏まりました!』

 宇迦様はサングラス越しに、にっこりと微笑んだ。西原は戸惑いながらも厨房に向かう。俺もその後に続いた。

『少しずつ味見でもするつもりかね……。変わった雰囲気のお嬢さんだが、凄い神様なんだろ?』

『ああ。彼女を祀った神社は日本中数限りなくあるだろう。穀物、特に稲との関係も深いとされているから、昔から農家の信仰も多く集めた筈だ』

 俺が説明すると、西原はなるほどと言いながら白飯を丼に盛った。

『だから農家のおばさんみたいな格好してるのか?』

『ああそうか、それは気付かなかった……』

 確かに彼女は、普段から特に見守っている農作業者達の姿を真似たのかもしれない。何故あんな眩しいピンク色を選んでしまったのかは分からないが。

 西原は大鍋からしっかり煮込んだ牛肉と玉ねぎをすくい、ご飯に乗せて俺に手渡した。

『よし、味噌汁と漬物と一緒に持ってってくれ!』

『分かった』

『あら、早いのね!』

 俺が牛丼を盆に乗せて運んで行くと、サングラスを外した女神が瞳をキラキラさせて待っていた。
 あどけない顔は中学生くらいにも見える。

(豊月の方が余程歳上に見えるな……)

 俺がチラリと豊月を見ると、何故かキツく睨まれた。

『……どうぞ』

『いただきます!』

 俺が丼を女神の前に置くと、彼女は良く出汁の染みた牛肉と玉ねぎを白米と一緒に思い切り頬張った。
 その瞬間に彼女の瞳は大きく開かれて輝く。だが何も語る事はなく、そのまま黙々と食べ続ける。

(キレイに食べるもんだな……)

 箸は滑らかに彼女の口に飯を運んでいく。味噌汁と漬物を挟みながらサクサクと食べ進め、掻き込んだりした訳でもないのに、ものの数分で彼女は大きな牛丼をペロリと平らげていた。器には米粒一つ残していない。

『はい! カルボナーラお待ちです……ってもう、食べ終ってるのか!?』

 パスタを運んで来た西原が、空になった丼を見て驚いた声を上げる。

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