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第1章 食いしん坊の幽霊

7. 蓮雫

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『どうした? 何を騒いでいる?』

蓮雫れんげ様!』

 蓮雫と呼ばれた鬼は、警備系の鬼達とは異なり、文人系の小綺麗な姿をしていた。我々の方を見て片眉を上げると、こちらに向かって歩いてくる。

『お前達、その格好は……。ん、貴方は精霊……いや、まさか神……?』

『そうじゃよ』

 神様はあっけらかんと答える。

『何故、神が冥府の入り口に……? 其方は人間の魂のようだが……?』

 蓮雫は俺の顔を覗き込むように呟いた。

『コイツ、名前が載っていないんです!』

 小鬼が大鬼の持つ巻物を指差して言った。

『何、未登録の魂……またか』

(また……?)

 俺は蓮雫の言葉に引っ掛かったが、彼は我々二人を見比べると、鬼達に向かって言った。

『彼等は私が直接調べてみよう。別室に連れていくぞ。ここは引き続き頼んだ』

『はっ!』

 小鬼が敬礼のようなポーズをすると、蓮雫はこちらに向き直る。

『ついてきたまえ』

 そう言うと、彼は壁の垂幕の向こうへと歩きだした。俺は神様と顔を見合わせたが、どうせここで逆らっても屈強な鬼達に勝てる訳もない。

 我々は大人しく蓮雫の後に続いた。


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