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第1章 食いしん坊の幽霊
2. 食いしん坊の神様は突然に
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この神様とは、数年前の夕暮れ刻に近所の坂道で出会った。
この辺りは田舎なので田畑や雑木林がほとんどだ。民家もぽつぽつとあるが、家の前を通り過ぎる人間は大抵知った顔だった。
それがどういう訳か、その時現れたのは白く癖のある髪をのび放題にして、着流し一枚で歩いている男だ。怪しいにも程がある。
面倒事に巻き込まれるのは御免だったので、顔を伏せて通り過ぎたが、そいつはそこで踵を返すと、ずっと俺の後をつけて来た。
(このまま行くと、家までついて来ちまうな……)
それはそれで面倒になりそうなので、俺は少しだけ振り返って男の様子を確認した。
男はどうやら、俺の持っている紙袋が気になるらしく、じっと袋を見つめたまま歩き続けている。
袋の中身は何の事はない、商店街で買った鶏のから揚げ弁当がひとつ入っているだけだ。
『アンタ、もしかして腹が減っているのか?』
関わりたくは無かったが、彼のあまりに必死な様子に、俺はつい声を掛けてしまっていた。
『その唐揚げ弁当、なんとも旨そうじゃのう……』
男は袋を凝視したまま言った。
『え、なんで中身が分かるんだ……?』
袋は無地の茶色い紙袋で、中は見えない。この弁当を買った肉屋には、他にも生姜焼き弁当など数種類の弁当があり、匂いも多少はするだろうが正確に当てられるものだろうか。
(犬でも難しいんじゃないか……? 毛量は多いが、コイツはさすがに人間だろう)
俺はふわふわのポメラニアンを想像したが、そんなに可愛らしいものでは全くなかった。
もふもふした犬は好きだが、もふもふした怪しい成人男性は嫌いだ。
『わしは神じゃからな。そのくらいの事はお見通しじゃ。』
男はそう言うと、ふん反り返った。
『神……?』
やっぱりおかしな奴だ。話しかけなきゃ良かったか。俺は早速後悔し始めた。
『ん? お主、墓か何かを調べておるのかの?』
無視して逃げようかとも思ったが、この自称神様が突然意外な事を口走るので、その場に踏みとどまる。
俺は考古学者として、この山間部で去年発見された遺跡の調査手伝いをしていた。
普段は大学の非常勤講師として教鞭を取っているが、日本の神話研究を専攻している俺に、今回の発掘チームから調査参加の依頼がきていたのだ。
これまでに本も何冊か出しているが、知名度は大して高くない。偶然すれ違って、俺だと分かる人間は殆どいないはずだ。
『だとしたら何か?』
『いや、お前さん少し妙な気配を纏っておったからの。まあ、まずわしが見えとる事自体、霊力が高い証拠なんじゃろうが……』
自称神様は、紙袋から視線を上げて、俺の顔をまじまじと見つめだした。
(話が胡散臭くなってきやがった。どんな手品か知らないが、とっとと切り上げて帰ろう)
俺がそいつの視線から逃れるように振り返ると、家の方から隣に住む西原の奥さんが歩いてくるのが見えた。
『あら! 友和さん今帰り?』
奥さんは俺に向かって挨拶するも、着流し男には目もくれない。
(まさか怪しい人間に関わるまいと、ガン無視するつもりだろうか。そんな人ではなかった筈だが……)
隣の奥さんは、明るく誰にでも気さくに話しかける人だ。
すると、横から神様がぬるりと出てきて奥さんの前に立ち、指をさして言った。
『彼女は知り合いかい?』
『おい……!』
俺が男を引き戻そうと手を伸ばすと、俺の手は彼の腕をすり抜けてしまった。
『えっ?』
空振りした右手と、男を交互に見やる。男の姿は先程と変わらず、はっきりとそこに在る。
『どうかされました?』
奥さんは心配そうに、神様越しに俺を見つめる。
『彼女には見えておらんのじゃよ』
自称神様はニヤニヤしながら言った。
『友和さん?』
奥さんが神様をすり抜けてこちらに手を伸ばした。その光景に俺はギョッとしながらも、なんとかその場を取り繕う言葉を探す。
『あっ、いやその、虫が飛んでたもので……。ハハ……。そ、そう今から帰って飯にするとこです……』
『そこのお弁当美味しいわよね! そうそう、良かったらまた週末にでも主人の料理を食べにいらしてくださいな。また新作を思い付いたらしいのよ!』
奥さんは朗らかに笑うと、坂下に向かって歩いて行った。隣に住む西原家のご主人は、街のホテルでシェフをしている。
趣味らしい趣味もない俺が、唯一楽しんでいたのは「食べる事」だった。
西原氏の料理はただ美味しいだけではなく独創的で、食べる度に新しい発見があった。
そんな彼の料理に魅力された俺は、隣の家同士という事もあり、西原夫妻と親交が深かった。
なので、奥さんの今の態度は疑い様もなく自然であったと分かる。
つまり、コイツは正真正銘の化物である可能性が出てきた。
『これで分かったじゃろ? わしは神様じゃ。唐揚げ弁当をささげよ!』
自称神様は得意顔でふん反り返る。
『神様か化物かは分からんが、人間ではないらしいな。だがそれで、何で俺が飯を分けてやらなきゃならんのだ』
『むぐ……』
男は言葉に詰まって苦しそうな顔をしたが、突然真顔になって俺をじっと見つめると言った。
『護堂友和……教師をしているのか、いや、神々の歴史や大昔の人間の痕跡の研究をしていると……ふむ、四十になっても独り身とな。寂しくはないのかの?』
本当に気色悪いが、言っている事はほぼ正解だ。
『余計なお世話だ。アンタ本当に何者なんだ? 仮に神だとしても何の神なんだ?』
『何の……? ふーむ、何じゃったかの?』
男は腕を組み、空を見上げて考え込んだ。
(やっぱり出任せか……?)
『いや、わしゃ人間の作る食べ物が大好きでな、人里に降りてあれこれ摘んでいる内に、色々忘れてしまっての』
そんな間抜けな神が居たものだろうか。俺は疑うより呆れてきた。
『人里に降りて来る前は何処に居たんだ?』
『それも、忘れてしまったわい』
神様は両手を上げてみせる。なんでリアクションは欧米人なんだ。
『神様の癖に迷子って訳か?』
『そうなるのー。まあそれより、お前さん、昔の墓を探しているんじゃったら、わしが手伝えるかもしれんぞ』
『自分の社すら忘れちまった奴に、古墳なんて見つけられる訳ないだろ』
確かに俺は、今後の発掘調査に当たり、現時点で部分的にしか見つかっていない遺跡の全体像を予測する必要があった。
『場所が分かっているのであれば、一緒に行けば思い出せる。どうせ、大きな柱の跡か何か見つかったんじゃろ?』
(こいつには、本当に何もかもお見通しなのか……)
先程からぞっとする程言い当てられている。発見された遺跡は、確かにチームでも柱の跡と考えられていた。今日も現地で議論してきたところだ。
『多分、そいつは月の神に関係がありそうじゃ。匂いで分かる』
『月の神……って、』
『おっと、』
俺が質問しかけると、神様は手を上げてそれを制した。
『続きは弁当を食べながらじゃ』
まんまと情報に釣られた形になったが、俺は仕方なくこの自称神様を家に連れて帰る事にした。
この辺りは田舎なので田畑や雑木林がほとんどだ。民家もぽつぽつとあるが、家の前を通り過ぎる人間は大抵知った顔だった。
それがどういう訳か、その時現れたのは白く癖のある髪をのび放題にして、着流し一枚で歩いている男だ。怪しいにも程がある。
面倒事に巻き込まれるのは御免だったので、顔を伏せて通り過ぎたが、そいつはそこで踵を返すと、ずっと俺の後をつけて来た。
(このまま行くと、家までついて来ちまうな……)
それはそれで面倒になりそうなので、俺は少しだけ振り返って男の様子を確認した。
男はどうやら、俺の持っている紙袋が気になるらしく、じっと袋を見つめたまま歩き続けている。
袋の中身は何の事はない、商店街で買った鶏のから揚げ弁当がひとつ入っているだけだ。
『アンタ、もしかして腹が減っているのか?』
関わりたくは無かったが、彼のあまりに必死な様子に、俺はつい声を掛けてしまっていた。
『その唐揚げ弁当、なんとも旨そうじゃのう……』
男は袋を凝視したまま言った。
『え、なんで中身が分かるんだ……?』
袋は無地の茶色い紙袋で、中は見えない。この弁当を買った肉屋には、他にも生姜焼き弁当など数種類の弁当があり、匂いも多少はするだろうが正確に当てられるものだろうか。
(犬でも難しいんじゃないか……? 毛量は多いが、コイツはさすがに人間だろう)
俺はふわふわのポメラニアンを想像したが、そんなに可愛らしいものでは全くなかった。
もふもふした犬は好きだが、もふもふした怪しい成人男性は嫌いだ。
『わしは神じゃからな。そのくらいの事はお見通しじゃ。』
男はそう言うと、ふん反り返った。
『神……?』
やっぱりおかしな奴だ。話しかけなきゃ良かったか。俺は早速後悔し始めた。
『ん? お主、墓か何かを調べておるのかの?』
無視して逃げようかとも思ったが、この自称神様が突然意外な事を口走るので、その場に踏みとどまる。
俺は考古学者として、この山間部で去年発見された遺跡の調査手伝いをしていた。
普段は大学の非常勤講師として教鞭を取っているが、日本の神話研究を専攻している俺に、今回の発掘チームから調査参加の依頼がきていたのだ。
これまでに本も何冊か出しているが、知名度は大して高くない。偶然すれ違って、俺だと分かる人間は殆どいないはずだ。
『だとしたら何か?』
『いや、お前さん少し妙な気配を纏っておったからの。まあ、まずわしが見えとる事自体、霊力が高い証拠なんじゃろうが……』
自称神様は、紙袋から視線を上げて、俺の顔をまじまじと見つめだした。
(話が胡散臭くなってきやがった。どんな手品か知らないが、とっとと切り上げて帰ろう)
俺がそいつの視線から逃れるように振り返ると、家の方から隣に住む西原の奥さんが歩いてくるのが見えた。
『あら! 友和さん今帰り?』
奥さんは俺に向かって挨拶するも、着流し男には目もくれない。
(まさか怪しい人間に関わるまいと、ガン無視するつもりだろうか。そんな人ではなかった筈だが……)
隣の奥さんは、明るく誰にでも気さくに話しかける人だ。
すると、横から神様がぬるりと出てきて奥さんの前に立ち、指をさして言った。
『彼女は知り合いかい?』
『おい……!』
俺が男を引き戻そうと手を伸ばすと、俺の手は彼の腕をすり抜けてしまった。
『えっ?』
空振りした右手と、男を交互に見やる。男の姿は先程と変わらず、はっきりとそこに在る。
『どうかされました?』
奥さんは心配そうに、神様越しに俺を見つめる。
『彼女には見えておらんのじゃよ』
自称神様はニヤニヤしながら言った。
『友和さん?』
奥さんが神様をすり抜けてこちらに手を伸ばした。その光景に俺はギョッとしながらも、なんとかその場を取り繕う言葉を探す。
『あっ、いやその、虫が飛んでたもので……。ハハ……。そ、そう今から帰って飯にするとこです……』
『そこのお弁当美味しいわよね! そうそう、良かったらまた週末にでも主人の料理を食べにいらしてくださいな。また新作を思い付いたらしいのよ!』
奥さんは朗らかに笑うと、坂下に向かって歩いて行った。隣に住む西原家のご主人は、街のホテルでシェフをしている。
趣味らしい趣味もない俺が、唯一楽しんでいたのは「食べる事」だった。
西原氏の料理はただ美味しいだけではなく独創的で、食べる度に新しい発見があった。
そんな彼の料理に魅力された俺は、隣の家同士という事もあり、西原夫妻と親交が深かった。
なので、奥さんの今の態度は疑い様もなく自然であったと分かる。
つまり、コイツは正真正銘の化物である可能性が出てきた。
『これで分かったじゃろ? わしは神様じゃ。唐揚げ弁当をささげよ!』
自称神様は得意顔でふん反り返る。
『神様か化物かは分からんが、人間ではないらしいな。だがそれで、何で俺が飯を分けてやらなきゃならんのだ』
『むぐ……』
男は言葉に詰まって苦しそうな顔をしたが、突然真顔になって俺をじっと見つめると言った。
『護堂友和……教師をしているのか、いや、神々の歴史や大昔の人間の痕跡の研究をしていると……ふむ、四十になっても独り身とな。寂しくはないのかの?』
本当に気色悪いが、言っている事はほぼ正解だ。
『余計なお世話だ。アンタ本当に何者なんだ? 仮に神だとしても何の神なんだ?』
『何の……? ふーむ、何じゃったかの?』
男は腕を組み、空を見上げて考え込んだ。
(やっぱり出任せか……?)
『いや、わしゃ人間の作る食べ物が大好きでな、人里に降りてあれこれ摘んでいる内に、色々忘れてしまっての』
そんな間抜けな神が居たものだろうか。俺は疑うより呆れてきた。
『人里に降りて来る前は何処に居たんだ?』
『それも、忘れてしまったわい』
神様は両手を上げてみせる。なんでリアクションは欧米人なんだ。
『神様の癖に迷子って訳か?』
『そうなるのー。まあそれより、お前さん、昔の墓を探しているんじゃったら、わしが手伝えるかもしれんぞ』
『自分の社すら忘れちまった奴に、古墳なんて見つけられる訳ないだろ』
確かに俺は、今後の発掘調査に当たり、現時点で部分的にしか見つかっていない遺跡の全体像を予測する必要があった。
『場所が分かっているのであれば、一緒に行けば思い出せる。どうせ、大きな柱の跡か何か見つかったんじゃろ?』
(こいつには、本当に何もかもお見通しなのか……)
先程からぞっとする程言い当てられている。発見された遺跡は、確かにチームでも柱の跡と考えられていた。今日も現地で議論してきたところだ。
『多分、そいつは月の神に関係がありそうじゃ。匂いで分かる』
『月の神……って、』
『おっと、』
俺が質問しかけると、神様は手を上げてそれを制した。
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