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第6章 あやかし子狐と三日月オムライス
24.名前
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『あっ……そう言えば、私達勝手にこの子をこむぎって呼んでましたけど、本当の名前は何て言うんですか?』
私が尋ねると、少し呆然とした様子だった銀胡が目を上げた。
『……名前? ……無い、特に……付けて無かったな』
私は少し驚いたが、ずっと二人だけで暮らしていたようだし、もしかすると必要に迫られなければ、気にしないものなのかもしれない。
(それなら、これからもこむぎって名前を使ってくれないかな……)
私は心の中でそっと期待した。
『こむい、たべう!』
こむぎはまた口を開けてオムライスを催促する。私はもう一口すくって口に運んだ。丸いほっぺも嬉しそうだ。
『銀胡さんも、召し上がってくださいね』
『……ああ』
銀胡はスプーンを使い慣れていない様子で、少し手間取りながらオムライスを一口食べた。
その瞬間、彼の曇っていた目が、少しだけ晴れたように見えた。二口、三口と続けて口にする様子を見て、どうやら口には合ったようだと安心する。
『……美味い』
掻き込むような彼の食べっぷりを見ていて、そういえば私もまだ食べていなかった事に気が付く。
一口すくって頬張ると、卵の半熟具合もチキンライスの味付けも、手前味噌だが良い塩梅だった。やはり叔父のレシピは間違いない。
『これ美味いっすよ、夏也さん! ケチャップも甘すぎないし、酸っぱ過ぎないし、丁度良いっす!』
『このケチャップ手作りなんだよ! 俺も作るの手伝ったんだ』
『マジで?』
背後で天太君とシュンが盛り上がっている。しかし、隣の銀胡は再び浮かない表情をしていた。
『……俺は親というものに向いていないのかもしれないな』
私が尋ねると、少し呆然とした様子だった銀胡が目を上げた。
『……名前? ……無い、特に……付けて無かったな』
私は少し驚いたが、ずっと二人だけで暮らしていたようだし、もしかすると必要に迫られなければ、気にしないものなのかもしれない。
(それなら、これからもこむぎって名前を使ってくれないかな……)
私は心の中でそっと期待した。
『こむい、たべう!』
こむぎはまた口を開けてオムライスを催促する。私はもう一口すくって口に運んだ。丸いほっぺも嬉しそうだ。
『銀胡さんも、召し上がってくださいね』
『……ああ』
銀胡はスプーンを使い慣れていない様子で、少し手間取りながらオムライスを一口食べた。
その瞬間、彼の曇っていた目が、少しだけ晴れたように見えた。二口、三口と続けて口にする様子を見て、どうやら口には合ったようだと安心する。
『……美味い』
掻き込むような彼の食べっぷりを見ていて、そういえば私もまだ食べていなかった事に気が付く。
一口すくって頬張ると、卵の半熟具合もチキンライスの味付けも、手前味噌だが良い塩梅だった。やはり叔父のレシピは間違いない。
『これ美味いっすよ、夏也さん! ケチャップも甘すぎないし、酸っぱ過ぎないし、丁度良いっす!』
『このケチャップ手作りなんだよ! 俺も作るの手伝ったんだ』
『マジで?』
背後で天太君とシュンが盛り上がっている。しかし、隣の銀胡は再び浮かない表情をしていた。
『……俺は親というものに向いていないのかもしれないな』
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