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第6章 あやかし子狐と三日月オムライス

12.集合

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『反魂の秘宝なんて呼ばれる事もあるが、実際には魂を呼び戻す程の力はない。ただ少しの間だけ、死者の魂と対面する事が出来る。それだけの物じゃ。そんな物を、何でお前さんが欲しがっているのかのう?』

 銀胡に視線を戻すと、彼は黙ってその場で俯向いていた。

 すると、遠くから何かが近づいて来る音が聞こえる。

『夏也!?』

 それはシュンの声だった。

『ごめん……俺、すっかり騙されちゃって……』

 足音が近づいて来る。そこには、シュンを抱えた真白さんが立っていた。シュンの腕の中で、こむぎが目をぱちくりしている。

『シュン君がどうしてもこむぎちゃんを離してくれなくて……。仕方が無いので一緒に連れて来てしまいました』

 そう言って笑いながら、真白さんはシュンを地面に下ろした。シュンは弾けるように私の元に駆け寄って来る。

『夏也、動けないの? 大丈夫? 何でこんな事……』

 シュンは振り返って真白さんを睨み付けた。

『ごめんなさい。でも、もう少しの辛抱ですよ。さあ銀胡、こむぎちゃんに見せてあげて……って、あれ? 黄泉の珠……取られちゃったの? お面も?』

『……ああ』

 銀胡は肩を竦めた。こうして見ると、露わになった目元は、さほど恐ろしさを感じなかった。

『この場で使い終わったら、直ぐに天狗に返すと約束してくれるなら、コイツを渡してやっても良いぞ?』

 神様は黄泉の珠を突き出して、ふふんと鼻を鳴らすとふんぞり返った。

『……ああ、約束しよう』

『そりゃ良かった。コイツはわしの専属料理人なんでな』

 神様はニヤリと笑うと、珠を銀胡に向かって投げ渡した。
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