護堂先生と神様のごはん あやかし子狐と三日月オムライス

栗槙ひので

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第6章 あやかし子狐と三日月オムライス

9.神木の力

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『えっ!?』

 手を伸ばす銀胡と私の間に、突然強風が吹き抜けた。私はよろけそうになりながらも、何とか後退る。
 銀胡は思い切り風に煽られて、一度後ろへ飛び退った。

『何故わざわざこの場所を選んだか分かるかの? わしの力を最大限引き出せるからじゃよ』

 神様がニヤリと笑っている。そして後ろにそびえる桜の大木が怪しく光っていた。

(今の風は神様が……!?)

 この神はやれば出来るのに、なんでいつもはぐうたらしているのか。

『……ちっ』

 銀胡は、今度は神様に向かって走り出した。

『気を付けてください!』

『言われんでも分かっとるわい!』

 神様はひらりひらりと銀胡の突進を躱す。私は振り向いて真白さんに抗議した。

『襲わないって言ったじゃないですか!?』

『すいません……危害を加えるつもりは無いんです。ただ……』

『わっ!?』

 真白さんは急に私の顔に向かって、何か粉のようなものを投げ付けた。

『此処で少しの間だけじっとしていていただきたいんです……』

『な……かはっ!』

 粉を吸い込んでしまい、むせながら膝から地面に崩れた私の目の前に、今度は白い煙が広がった。

 何だか手足の先が痺れてくるようだ。なんとか顔を上げると、目の前に立っていたはずの真白さんは、黒髪に眼鏡の地味な印象の男性に変わっていた。
 それはいつも、鏡の前で出会う男だ。

(……わ、私!?)
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