護堂先生と神様のごはん あやかし子狐と三日月オムライス

第4章 お祭りクレープとカルボナーラ

13.お好み焼き

　開いた容器の上から、お好み焼きを覗き込んでいたこむぎが、上に乗っかっていた目玉焼きだけ、ペロリと食べてしまっていた。

『たーご！　しゅき！』

『うんうん、知ってるよ……』

　楽しみな部分を食べられてしまってガッカリしたが、残された方のお好み焼きも、キャベツだけではなく豚肉もしっかり入っていて美味しかった。

『なるほど、生地と具材とソースが混ざり合っていてとても美味しいですね！　鰹節と青海苔、マヨネーズを取り合わせるなんて思いつきませんでした……』

　真白さんは料理をする者らしく、味の組合せに感心しながら食べている。神様はあっという間に食べ終わって、次のお店に狙いを定めていた。

（これじゃ作戦会議どころじゃないな……）

　私は一口サイズに切ったお好み焼きを、こむぎの口元へ運ぶ。彼はにこにこしながらそれを頬張った。

　取材する廃寺は、ここから森の奥へと入って行く必要がある。
　私達は現場へ向かう前に、イカ焼きやじゃがバター、たこ焼きまでしっかり堪能してお腹を満たした。

『じゃあ、そろそろ行きますか。何が現れるか分かりません。此処からは慎重に進みましょう！』

『任せておけい！』

『あーい！』

　ほっぺにソースをつけた、緊張感の無い二人が揃って手を上げる。

（本当に大丈夫かなぁ……）

　些かの不安を感じつつ、我々は暗い森に足を踏み入れたのであった。