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第3章 卵焼きと仲良しキャンプカレー

10.追跡者

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『なーや! ご!』

 歩いている間も、こむぎは私の服を引っ張って何かを主張していた。

『なんだなんだ?』

『ご!』

(ご……?)

 私が理解しかねていると、こむぎからぐーという音がした。

『あ、お腹が空いているのか……! ごはんって事だなこむぎ?』

 確かに、こむぎは朝からリュックに詰まっていたせいで、ご飯を食べ損ねているのだ。

『分かった分かった。そりゃお腹すいたよな』

 私はレジャーシートを敷くと、弁当箱と水筒を取り出した。アルミホイルに包んだおにぎりも二つある。

『おかずはお前の好きな……』

 そう言いかけたところで、草を踏み分け何者かが此方に近付いて来る音に気が付いた。私は咄嗟に黙ると、こむぎを強く抱き寄せた。

『Mr.護堂!!』

 それは、何処で買ったのか蛍光ペンのようなピンク色のジャージに身を包んだ西園寺先生だった。
 こんな所までやって来るとは、彼の追跡能力は侮れない。

『さ、西園寺先生……もう大丈夫なんですか?』

 私は少し身を捩る。こむぎは彼に見えていないと分かっていても、つい隠そうとしてしまう。

『I'm very very sorry! もう大丈夫です! お詫びにこちらを召し上がっていただこうと思って参上しました!』

 そう言う西園寺先生は、重箱のようなものを抱えている。

『え、もしかしてお弁当ですか?』
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