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第2章 お稲荷様とふわふわスフレ
12.影
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その手は西園寺先生の持っているパンを掴むと、その幽霊を摘み出した。
『ちょっと!』
私は制止したが、神様は構わずコーヒーロールの幽霊に齧り付いた。
『what? どうしました?』
『え? あ、いやその……パン屑が落ちましたよ……?』
思わず声を上げてしまい、私はその場を取り繕うべく、西園寺先生のスーツから落ちてもいないパン屑を拾うフリをした。
『Oh……Thank you! Mr.護堂はKindnessデスね!』
『いえ、偶然気付いてしまっただけで……』
神様はニヤニヤしながら私達のやり取りを見物している。そこで私は気が付いた。
(さては神様、西園寺先生のパンもつまみ食いしたかっただけだな……)
恐らく、先程の説教は建前で、私と西園寺先生を仲良くさせる目的はさらさら無かったと見える。
恐るべし、神の策謀。
まんまと彼の手の平で踊ってしまった事を悔しく思っていると、先程まで砂場を見ていたこむぎが、今度は上の方を向いているのに気が付いた。
(何を見ているんだ……?)
視線の先は、どうやらアーケードの屋根に向いているようだ。その時、ドーム型の屋根と空の境目の辺りを、何か黒い影が過った気がした。
(今のは……)
『Mr.護堂!』
『え、なっ、どうしました?』
突然叫んだ西園寺先生に驚き、私は慌てて視線を戻す。すると彼は、私の方に手を伸ばし、シャツから何かを摘み取った。
『Breadcrumb!(パン屑)』
そう言ってウインクする彼に脱力し、私はその後、屋根の上の影の事などすっかり忘れてしまったのだった。
『ちょっと!』
私は制止したが、神様は構わずコーヒーロールの幽霊に齧り付いた。
『what? どうしました?』
『え? あ、いやその……パン屑が落ちましたよ……?』
思わず声を上げてしまい、私はその場を取り繕うべく、西園寺先生のスーツから落ちてもいないパン屑を拾うフリをした。
『Oh……Thank you! Mr.護堂はKindnessデスね!』
『いえ、偶然気付いてしまっただけで……』
神様はニヤニヤしながら私達のやり取りを見物している。そこで私は気が付いた。
(さては神様、西園寺先生のパンもつまみ食いしたかっただけだな……)
恐らく、先程の説教は建前で、私と西園寺先生を仲良くさせる目的はさらさら無かったと見える。
恐るべし、神の策謀。
まんまと彼の手の平で踊ってしまった事を悔しく思っていると、先程まで砂場を見ていたこむぎが、今度は上の方を向いているのに気が付いた。
(何を見ているんだ……?)
視線の先は、どうやらアーケードの屋根に向いているようだ。その時、ドーム型の屋根と空の境目の辺りを、何か黒い影が過った気がした。
(今のは……)
『Mr.護堂!』
『え、なっ、どうしました?』
突然叫んだ西園寺先生に驚き、私は慌てて視線を戻す。すると彼は、私の方に手を伸ばし、シャツから何かを摘み取った。
『Breadcrumb!(パン屑)』
そう言ってウインクする彼に脱力し、私はその後、屋根の上の影の事などすっかり忘れてしまったのだった。
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