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第1章 迷子の子狐とたまごサンド
19.春キャベツ
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『これね、今朝知り合いの農家の人が、たーくさん持って来てくれたの! 採れたての春キャベツよ~。良かったら持っていって!』
おばちゃんは満面の笑みで、大きなキャベツを私に差し出した。
(そうきたかーー!!!)
次々と課せられる試練の過酷さに心震わせながら、私は何と切り返すべきか必死に考えた。
この至近距離で「護堂君、その子は……?」の質問が無いという事は、おばちゃんに子狐は見えていない。
だが、私の腕の中には子狐が居るので、おばちゃんの差し出した丸々としたキャベツを受け取れないのだ。
チラりと神様の方を見ると、私の困る様子を見てニヤニヤと笑っている。
(コイツは本当に……!)
『キャベツ、嫌いだったかしら?』
おばちゃんは不思議そうに首を傾げた。私は慌てて答える。
『いえ! 大好きです春キャベツ! 葉が柔らかくて、色もなんか鮮やかな感じがして……あ、ありがとうございます!』
しまった。これでもう完全に貰う流れになってしまった。子狐を神様に渡したいが、彼は横で腹を抱えて笑っている。許さん。絶対に。
『そう? じゃあ良かったわ……腕、どうかしたの?』
ついにその質問がきてしまった。
『こ、これはその……。さ、さっきそこで派手に転んでしまって、ちょっと捻ってしまいまして……。手も汚れているので、一度洗ってきます。本当に申し訳ないのですが、キャベツ……そこの玄関前に置いておいていただけないでしょうか……?』
おばちゃんは満面の笑みで、大きなキャベツを私に差し出した。
(そうきたかーー!!!)
次々と課せられる試練の過酷さに心震わせながら、私は何と切り返すべきか必死に考えた。
この至近距離で「護堂君、その子は……?」の質問が無いという事は、おばちゃんに子狐は見えていない。
だが、私の腕の中には子狐が居るので、おばちゃんの差し出した丸々としたキャベツを受け取れないのだ。
チラりと神様の方を見ると、私の困る様子を見てニヤニヤと笑っている。
(コイツは本当に……!)
『キャベツ、嫌いだったかしら?』
おばちゃんは不思議そうに首を傾げた。私は慌てて答える。
『いえ! 大好きです春キャベツ! 葉が柔らかくて、色もなんか鮮やかな感じがして……あ、ありがとうございます!』
しまった。これでもう完全に貰う流れになってしまった。子狐を神様に渡したいが、彼は横で腹を抱えて笑っている。許さん。絶対に。
『そう? じゃあ良かったわ……腕、どうかしたの?』
ついにその質問がきてしまった。
『こ、これはその……。さ、さっきそこで派手に転んでしまって、ちょっと捻ってしまいまして……。手も汚れているので、一度洗ってきます。本当に申し訳ないのですが、キャベツ……そこの玄関前に置いておいていただけないでしょうか……?』
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