護堂先生と神様のごはん あやかし子狐と三日月オムライス

栗槙ひので

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第1章 迷子の子狐とたまごサンド

3.座敷童子

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 叔父は寡黙な人で、生前あまり交流もなかったが、料理が好きだったという事は記憶していた。そういった面からは、叔父も神様も一緒に美味しいものが食べられて、結構楽しく暮らしていたのかもしれない。

 使い込まれた皮の表紙は私の手にもよく馴染んだ。この手帳は叔父が遺したものだった。
 中にはスケジュールや日記のようなメモの他に、様々なレシピが記載されていたので、よく参考にさせてもらっていた。

『昼ごはんねぇ……』

 毎日の献立を考えるのは骨が折れるものだ。そんな時はこの手帳をぱらぱらとめくって決めるようにしていた。

『夏也、俺も手伝おうか?』

 背後から声がして振り返ると、中学生くらいの大きな猫目をした、少し気が強そうな少年が立っていた。

『ありがとうシュン、今干し終わったところだよ。昼ご飯どうしようかと思ってたんだ』

 彼はシュン。勿論、私の子どもではない。去年我が家にやってきた迷子の座敷童子だ。
 さらっと説明すると妙な感じだが、彼は元々棲みついていた家の人間が亡くなり、独りぼっちでこの町を彷徨っていたのだ。
 実年齢はさておき、教え子と同年齢に見える少年を放っておく訳にもいかず、他に行くあても無さそうだったので一緒に暮らすようになった。

 元より妙な神様と暮らしており、家も広いので、妖怪の子が一人増えたところで問題はないと考えたのだ。

 実際、彼は神様より余程私の家事を手伝ってくれている。

『そーいえば、最近商店街に新しくパン屋さんが出来たってチラシが入ってたね』
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