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第1章 迷子の子狐とたまごサンド
1.私と神様
しおりを挟む風に揺れる木々の先、若葉がきらきらと陽の光に輝いている。
庭では、可愛らしい木香薔薇の黄色い花がぽんぽんと鈴なりに咲いて、濃いピンクと白色のサツキも見頃を迎えていた。
晴れた五月の縁側は、このオンボロな我が家の中でも特別心地が良い場所だ。寒がりな私は、上着がなくても過ごし易い、今くらいの季節が最も好きだった。
休日くらい仕事を忘れて、ゴロリと横になりたいくらいだが、
『夏也~、昼飯は何にしようかの~?』
しかし今、そんな極楽スペースを陣取っているのは私ではなく、白く長いくるくるヘアーに着流し姿という、珍妙な出立の男だった。
およそ現代の日本人とは思えない風体だが、何を隠そう彼は神様なのである。
『今さっき朝食を食べたばっかりでしょーが、本当に食べる事ばかり考えてないで家事くらい手伝ってくださいよ!』
それも、とんでもなく食いしん坊の。
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