護堂先生の芋掘り怪奇譚

6.畑の下見

　そんなこんなで私達は、お爺さんの地図を頼りに山の麓まで歩いてきた訳だが、

『広すぎますよね……これ？』

　手書きの地図の縮尺が異常である事に気がついた時はもう遅かった。

『確かに目印は、このmap通りありマシタが、Intervalがオカシイですね……』

　我々は完全に田舎の地主の管理する土地の広さを舐めていた。
　先程まで、あんなに無駄に張り切っていた西園寺先生ですら、散々歩き回ってくたびれた表情を浮かべている。

『下手すると、この山全部中山さんの土地ですね。近道はこっちの道ですけど、明らかに山に入っていく感じになりますが……』

　携帯の地図アプリも開いてはいるのだが、建物が少ないため一面黄緑色で何の参考にもならない。
　近道と思われる小道は、アプリの地図には表示すらされておらず、現実にも頼りない細さで、薄暗い林の中に続いていた。

『Time is money！　近道に行きまショー！』
『そうですね……』

　疲れていた私達は、珍しく意見を同じくしたものの、こうして更なる深みにはまっていき、気付けば山の奥深くで、すっかり帰り道を見失っていた。