護堂先生の芋掘り怪奇譚

1.秋の味覚

『焼き芋、大学芋、スイートポテト……』

　秋といえば、読書の秋、スポーツの秋と色々あるが、食欲の秋をイメージする方も多いだろう。

　さんまや、柿、栗なんかもあるが、中でもさつまいもは、親しみやすく老若男女に愛されている気がする。

　私自身も好んで食べる食材のひとつであるが、私の勤務する中学校では、毎年秋にさつまいも掘りの授業がある。

　みんなで育てて、収穫したさつまいもは、家庭科の授業で調理して、給食の時間に食べたり、それぞれの家庭に持ち帰ってもらう。生徒達も楽しみにしている行事のひとつだ。

『さて夏也なつや、今年はどの料理にしようかのう？』

　そして我が家にも、そんなさつまいもを心待ちにしている者がいた。

『煮物や炊き込みごはん、ケーキなんていうのも良いのう……！』

　彼は私の同居人なのだが、食べる事が大好きで、その食い意地において右に出るものはいない。

『沢山採れるかも分からないですし、あまり期待しないでくださいね、神様』

　そして、彼は神様であった。