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第3章 墓場とラーメン
1.最後のポイント
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海辺を離れて、我々は最後のポイントへ向かった。まだ18時前だが日は沈みきって、辺りはすっかり暗くなっている。
『ちょっと車停められる所探してくるわ!』
着いた場所は道が狭く、車を停められなかったので、私だけ先にその場で降りた。私が取材をしている間、宵山は駐車場を探しに行くと手分けしたのだ。
最後のポイントはよりによって、霊園の真横に位置していた。自分の目の前にある高い壁の向こうには、お墓がずらりと並んでいるのだろう。
ここは電灯も少なく暗いので、余計に不気味だった。
(先にこっちを回っておけば良かったな……)
ましてや宵山と分かれて、知らない場所に一人きりだ。
『そろそろ腹が減ってきたのう』
『うわっ!』
不安になってきたところで、突然背後から声がして思わず飛び上がってしまった。
振り向くと、神様が退屈そうに頭の後ろで手を組んで立っている。
『い、いつの間に車から降りたんですか!?』
『なんじゃ、驚いたのか? 夏也は怖がりじゃのう』
神様は馬鹿にしたように、こちらを見てニヤニヤと笑う。
(おのれ、さっきまで後部座席でぐうたらしていたくせに……)
私がぐらぐらと怒りを溜め込んでいると、神様はマイペースに道の先を指差して言った。
『良かったのう、あっちに来ておるようじゃぞ。早速食いに行くのじゃ!』
『え、来てるって……』
『ちょっと車停められる所探してくるわ!』
着いた場所は道が狭く、車を停められなかったので、私だけ先にその場で降りた。私が取材をしている間、宵山は駐車場を探しに行くと手分けしたのだ。
最後のポイントはよりによって、霊園の真横に位置していた。自分の目の前にある高い壁の向こうには、お墓がずらりと並んでいるのだろう。
ここは電灯も少なく暗いので、余計に不気味だった。
(先にこっちを回っておけば良かったな……)
ましてや宵山と分かれて、知らない場所に一人きりだ。
『そろそろ腹が減ってきたのう』
『うわっ!』
不安になってきたところで、突然背後から声がして思わず飛び上がってしまった。
振り向くと、神様が退屈そうに頭の後ろで手を組んで立っている。
『い、いつの間に車から降りたんですか!?』
『なんじゃ、驚いたのか? 夏也は怖がりじゃのう』
神様は馬鹿にしたように、こちらを見てニヤニヤと笑う。
(おのれ、さっきまで後部座席でぐうたらしていたくせに……)
私がぐらぐらと怒りを溜め込んでいると、神様はマイペースに道の先を指差して言った。
『良かったのう、あっちに来ておるようじゃぞ。早速食いに行くのじゃ!』
『え、来てるって……』
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