13 / 37
第2章 幽霊屋台を追いかけて
7.昼食
しおりを挟む
ダッシュボードの上に地図を広げ、これから回る道順を宵山と相談しながら食事を摂る。
同時に、私は宵山に気付かれないように、座席の間にさりげなくおにぎりやお茶を置いて、神様に幽霊を摘み出させた。
(野良犬を親に内緒で飼ってる気分だな……)
またしても神に対して失礼な感想を抱きながら、私はポーカーフェイスを維持する事に努めた。
宵山に気取られないか多少緊張したが、温かいお茶とおにぎりを口にすると、なんだかほっとさせられる。
おにぎりの味は悪くない。むしろどこか懐かしいような美味しさであった。
『生姜焼き弁当、美味いか?』
『え? ああ、思った以上に美味いよ。摘んでみるか?』
宵山は弁当を突き出す。すかさず手を伸ばしてくる神様を横目で牽制しつつ、私は手を振った。
『いや、大丈夫だ。ありがとう。ほんと、意外と美味いよな。店の雰囲気的にちょっと心配だったけど……』
そう言っている間に、神様はまんまと一枚宵山の生姜焼きを摘み上げて、嬉しそうに口に運んでいた。
姿が見えないというのも、つまみ食いには便利なものだ。
その後も、宵山は後部座席の神様に気が付いた様子は無く、我々は昼食を平らげると目的地へと向かった。
同時に、私は宵山に気付かれないように、座席の間にさりげなくおにぎりやお茶を置いて、神様に幽霊を摘み出させた。
(野良犬を親に内緒で飼ってる気分だな……)
またしても神に対して失礼な感想を抱きながら、私はポーカーフェイスを維持する事に努めた。
宵山に気取られないか多少緊張したが、温かいお茶とおにぎりを口にすると、なんだかほっとさせられる。
おにぎりの味は悪くない。むしろどこか懐かしいような美味しさであった。
『生姜焼き弁当、美味いか?』
『え? ああ、思った以上に美味いよ。摘んでみるか?』
宵山は弁当を突き出す。すかさず手を伸ばしてくる神様を横目で牽制しつつ、私は手を振った。
『いや、大丈夫だ。ありがとう。ほんと、意外と美味いよな。店の雰囲気的にちょっと心配だったけど……』
そう言っている間に、神様はまんまと一枚宵山の生姜焼きを摘み上げて、嬉しそうに口に運んでいた。
姿が見えないというのも、つまみ食いには便利なものだ。
その後も、宵山は後部座席の神様に気が付いた様子は無く、我々は昼食を平らげると目的地へと向かった。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
パーフェクトアンドロイド
ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。
だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。
俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。
レアリティ学園の新入生は100名。
そのうちアンドロイドは99名。
つまり俺は、生身の人間だ。
▶︎credit
表紙イラスト おーい
ルナール古書店の秘密
志波 連
キャラ文芸
両親を事故で亡くした松本聡志は、海のきれいな田舎町に住む祖母の家へとやってきた。
その事故によって顔に酷い傷痕が残ってしまった聡志に友人はいない。
それでもこの町にいるしかないと知っている聡志は、可愛がってくれる祖母を悲しませないために、毎日を懸命に生きていこうと努力していた。
そして、この町に来て五年目の夏、聡志は海の家で人生初のバイトに挑戦した。
先輩たちに無視されつつも、休むことなく頑張る聡志は、海岸への階段にある「ルナール古書店」の店主や、バイト先である「海の家」の店長らとかかわっていくうちに、自分が何ものだったのかを知ることになるのだった。
表紙は写真ACより引用しています
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後拾遺七絃灌頂血脉──秋聲黎明の巻──
国香
キャラ文芸
これは小説ではない。物語である。
平安時代。
雅びで勇ましく、美しくおぞましい物語。
宿命の恋。
陰謀、呪い、戦、愛憎。
幻の楽器・七絃琴(古琴)。
秘曲『広陵散』に誓う復讐。
運命によって、何があっても生きなければならない、それが宿命でもある人々。決して死ぬことが許されない男……
平安時代の雅と呪、貴族と武士の、楽器をめぐる物語。
─────────────
『七絃灌頂血脉──琴の琴ものがたり』番外編
麗しい公達・周雅は元服したばかりの十五歳の少年。それでも、すでに琴の名手として名高い。
初めて妹弟子の演奏を耳にしたその日、いつもは鬼のように厳しい師匠が珍しくやさしくて……
不思議な幻想に誘われる周雅の、雅びで切ない琴の説話。
彼の前に現れた不思議な幻は、楚漢戦争の頃?殷の後継国?
本編『七絃灌頂血脉──琴の琴ものがたり』の名琴・秋声をめぐる過去の物語。

おにぎり屋さんの裏稼業 〜お祓い請け賜わります〜
瀬崎由美
キャラ文芸
高校2年生の八神美琴は、幼い頃に両親を亡くしてからは祖母の真知子と、親戚のツバキと一緒に暮らしている。
大学通りにある屋敷の片隅で営んでいるオニギリ屋さん『おにひめ』は、気まぐれの営業ながらも学生達に人気のお店だ。でも、真知子の本業は人ならざるものを対処するお祓い屋。霊やあやかしにまつわる相談に訪れて来る人が後を絶たない。
そんなある日、祓いの仕事から戻って来た真知子が家の中で倒れてしまう。加齢による力の限界を感じた祖母から、美琴は祓いの力の継承を受ける。と、美琴はこれまで視えなかったモノが視えるようになり……。
耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
汐埼ゆたか
キャラ文芸
准教授の藤波怜(ふじなみ れい)が一人静かに暮らす一軒家。
そこに迷い猫のように住み着いた女の子。
名前はミネ。
どこから来たのか分からない彼女は、“女性”と呼ぶにはあどけなく、“少女”と呼ぶには美しい
ゆるりと始まった二人暮らし。
クールなのに優しい怜と天然で素直なミネ。
そんな二人の間に、目には見えない特別な何かが、静かに、穏やかに降り積もっていくのだった。
*****
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
※他サイト掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる