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感情と行動
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「晶?」
素っ気ない声で名前を呼ばれて、深く息を吸う。腕を掴まれた鈴が眉間に皺を寄せ、私を見た。視線が交わり、眉間の皺が深くなる。
感覚がないほど冷たいわけじゃない。けれど、私の手から、掴んだ腕の感触がわからないほど感覚というものが失われていた。それでも、腕を掴んだ手に力を入れ、彼女を引き寄せる。どん、と鈴の体が私に触れて、すぐに離れた。
「ちょっと、晶」
棘のある声が聞こえたけれど、腕を掴んだまま彼女に一歩近づく。鈴が私の肩を押して距離を取ろうとする。でも、構わずに顔を寄せた。
「やめてよ」
唇が触れる前に何をされるか理解した鈴にはっきりと言われて、石膏で固められたみたいに体が動かなくなる。私の唇は先輩とは違って、鈴に触れることができない。掴んでいた腕は、手に感覚が戻る前に逃げてしまう。
頭の中は白に塗り潰され、何も考えられなかった。私は錆び付いた関節を無理矢理動かし、のろのろと鞄を拾う。
「なんで? 私のこと、好きなんだよね?」
喉の奥から絞り出した声は、感情という物が欠けていた。平坦な抑揚のない声が屋上へ続く扉に当たって落ちる。
「好きだよ。晶が好きだから、晶とはそういうことをしたくない」
「それ、意味わかんないよ。先輩は良くて、私が駄目な理由ってなに?」
「キスとかそういうこと、しないって約束したよね?」
「答えになってない」
そもそも、その約束を持ち出したのは鈴で私じゃない。何もしないという約束は鈴が一方的にしたもので、それを私が守らなければならない理由はないと思う。私が明確に約束したのは、恋人になるというものくらいだ。
だから、私からキスしたっていいはずだと乱暴に結論付ける。けれど、もう一度それを実行しようとは思えず、扉に背を預けてずるずると座り込む。
「先輩のこと、好きなの?」
「好きなのは晶だよ。先輩じゃない」
返ってきた言葉に視線を上げかけて、私は鞄をぎゅっと握った。
鈴の顔は見ない。
どれくらい、なんて馬鹿らしい質問を口にしかけて飲み込む。
鈴と一緒にいると、ペースが狂う。いつもの自分がどこかに消えて、見たこともない自分が顔を出す。最初はそれが楽しかったけれど、最近は辛いことばかりだ。
大事なネジをなくしてしまったみたいで、私という存在が崩れかけている。ぽろぽろとこぼれていく自分の欠片を探すみたいに視線を落とすと、床の汚れがやけに目に付いた。
「晶」
鈴がゆっくりと私の名前を呼ぶ。
「好きって等価交換じゃないよ。私の好きと晶の好きは同じじゃないし、同じになったりしない。でも、好きの大きさや量が違っても好きなことには変わりないし、私は晶が好きだよ」
鋭く尖っていた言葉は丸みを帯びていて、随分と柔らかな声が聞こえてくる。言い聞かせるように紡がれる言葉は、私を包み込むような心地の良さを持っていた。
「そうかもしれないけど、同じになることだって……」
「じゃあ、晶と同じくらい好きだって私が言ったら、晶はそれを信じてくれるの?」
「鈴がそうだって言うなら、信じたいと思う」
「そう言うなら、信じて。同じくらい好きだって」
「…………」
信じたいと言った私は、彼女の言葉に応えられないことにすぐに気がつく。少し前なら信じることができたかもしれないけれど、今は無理だ。
鈴の言葉に反応するように、頭の中には先輩の姿が浮かんでいた。油断をすると自分と先輩を重ね合わせて、比較して、違いを見出そうとしてしまう。出来の悪い思考はヘドロのように頭の中に溜まり続け、捨てることができない。
視線の先にある階段が酷く長く見えて、私は目を閉じた。
「信じてないでしょ」
私の心の中を覗いたかのように、鈴が言った。間を開けずに、ふわりとした声が聞こえてくる。
「私も信じてないし、信じなくていいよ。だって、好きなんて目に見えないんだから、好きの大きさとか量なんてわかんないもん。それに、絶対に釣り合わない。だから、このままで良いと思わない?」
「このままって?」
「放課後、二人で寄り道して、私が好きだって言ったら、晶が好きだって言う。そういう関係。晶と先輩は違う。私は、晶とそういうことを続けたい」
「――もし、私がそういうのはもう嫌だって言ったら?」
「私は、それでも晶が好きだよ」
鈴は、どんなときも柴田鈴だった。彼女は揺るがない。私を好きだと言って、引っ張り回す。親しげに寄り添ってくるのに、頭の中は少しも覗かせてくれない。
私は汚れた廊下から顔を上げ、鈴を見る。
「ずっと晶を好きでいさせてよ。好きだって言ってよ。それだけでいいから」
わかりやすい我が儘と共に、手が伸ばされる。
私はその手を掴もうとして、躊躇う。素直に伸ばされた手を取るだけの力がない。制服がやけに重い。重力に逆らうことができず、腕は作り物のように床へと向かっていた。
けれど、鈴はそれを許さない。
「私は晶が好き。晶は私のこと、好き?」
約束の音が聞こえて、手を伸ばす。頼りなく上げた手は掴まれ、引っ張られて、私はゆっくりと立ち上がった。
「……好きだよ」
小さく呟くと、鈴が言った。
「じゃあ、明日も一緒に寄り道しようよ。ケーキ、食べに行こう」
「ねえ、鈴。それが鈴が私にして欲しいことなの?」
「そうだよ」
柴田鈴という人間が私の恋人になった日に聞いた声と同じトーンで告げられた言葉は、羽が生えているとしか思えないほど軽かった。繋いだままの手はただ繋がっているだけで、伝わってくる熱も頼りなく思える。
私は、鈴の手を強く握った。今なら、この手のようにこれまで繰り返してきた日々を繋いで続けていくことも、断ち切ってしまうことも選ぶことができる。
「明日、ケーキじゃなくてもいいなら行く」
鈴がケーキを選ぶなら、これで終わり。
そうじゃないなら、これまでと同じように鈴と一緒にいる。
選ぶべきは私だったけれど、どちらを選んでも後悔しそうで与えられた選択肢を彼女に委ねた。
「どこに行きたいの?」
「マグカップを買いに行きたい。割れちゃって新しいのが欲しいから、鈴が選んでよ」
マグカップが割れたのは随分前で、買うチャンスは何度もあった。鈴と一緒に行った雑貨屋で買おうともした。けれど、マグカップは未だに買っていない。
「わかった。クマのマグカップ売ってたお店でいい?」
雑貨屋で見たマグカップが頭に浮かぶ。
小さなクマのイラストが外側と内側に一つずつ。
あの日、買わなかったマグカップが明日もあるのか気になる。
「いいよ」
そう答えて、私の明日の予定が埋まる。
鈴とは、昨日の延長線上にある毎日を続けていく。そのことに不満がないと言えば嘘になるけれど、ほっとしたのも事実だった。でも、ただ繋がっているだけの手に気分が沈む。
放課後の行き先が決まっても、うきうきするような浮かれた気持ちは訪れない。それどころか、海の底にでも沈んでいくような苦しさがあった。
楽しいことや嬉しいことがいっぱいあって、明日になるのが待ち遠しくなるような鮮やかな世界を想像していた。そんな想像とは違って世界は歪んで見えるけれど、この気持ちはきっと恋だと思う。
今になって気付いた気持ちにため息がでる。
「帰ろうか」
そう言って、鈴に手を引かれる。二人で階段を下りて踊り場の窓を見れば、モノクロの空が雨を降らせていた。
素っ気ない声で名前を呼ばれて、深く息を吸う。腕を掴まれた鈴が眉間に皺を寄せ、私を見た。視線が交わり、眉間の皺が深くなる。
感覚がないほど冷たいわけじゃない。けれど、私の手から、掴んだ腕の感触がわからないほど感覚というものが失われていた。それでも、腕を掴んだ手に力を入れ、彼女を引き寄せる。どん、と鈴の体が私に触れて、すぐに離れた。
「ちょっと、晶」
棘のある声が聞こえたけれど、腕を掴んだまま彼女に一歩近づく。鈴が私の肩を押して距離を取ろうとする。でも、構わずに顔を寄せた。
「やめてよ」
唇が触れる前に何をされるか理解した鈴にはっきりと言われて、石膏で固められたみたいに体が動かなくなる。私の唇は先輩とは違って、鈴に触れることができない。掴んでいた腕は、手に感覚が戻る前に逃げてしまう。
頭の中は白に塗り潰され、何も考えられなかった。私は錆び付いた関節を無理矢理動かし、のろのろと鞄を拾う。
「なんで? 私のこと、好きなんだよね?」
喉の奥から絞り出した声は、感情という物が欠けていた。平坦な抑揚のない声が屋上へ続く扉に当たって落ちる。
「好きだよ。晶が好きだから、晶とはそういうことをしたくない」
「それ、意味わかんないよ。先輩は良くて、私が駄目な理由ってなに?」
「キスとかそういうこと、しないって約束したよね?」
「答えになってない」
そもそも、その約束を持ち出したのは鈴で私じゃない。何もしないという約束は鈴が一方的にしたもので、それを私が守らなければならない理由はないと思う。私が明確に約束したのは、恋人になるというものくらいだ。
だから、私からキスしたっていいはずだと乱暴に結論付ける。けれど、もう一度それを実行しようとは思えず、扉に背を預けてずるずると座り込む。
「先輩のこと、好きなの?」
「好きなのは晶だよ。先輩じゃない」
返ってきた言葉に視線を上げかけて、私は鞄をぎゅっと握った。
鈴の顔は見ない。
どれくらい、なんて馬鹿らしい質問を口にしかけて飲み込む。
鈴と一緒にいると、ペースが狂う。いつもの自分がどこかに消えて、見たこともない自分が顔を出す。最初はそれが楽しかったけれど、最近は辛いことばかりだ。
大事なネジをなくしてしまったみたいで、私という存在が崩れかけている。ぽろぽろとこぼれていく自分の欠片を探すみたいに視線を落とすと、床の汚れがやけに目に付いた。
「晶」
鈴がゆっくりと私の名前を呼ぶ。
「好きって等価交換じゃないよ。私の好きと晶の好きは同じじゃないし、同じになったりしない。でも、好きの大きさや量が違っても好きなことには変わりないし、私は晶が好きだよ」
鋭く尖っていた言葉は丸みを帯びていて、随分と柔らかな声が聞こえてくる。言い聞かせるように紡がれる言葉は、私を包み込むような心地の良さを持っていた。
「そうかもしれないけど、同じになることだって……」
「じゃあ、晶と同じくらい好きだって私が言ったら、晶はそれを信じてくれるの?」
「鈴がそうだって言うなら、信じたいと思う」
「そう言うなら、信じて。同じくらい好きだって」
「…………」
信じたいと言った私は、彼女の言葉に応えられないことにすぐに気がつく。少し前なら信じることができたかもしれないけれど、今は無理だ。
鈴の言葉に反応するように、頭の中には先輩の姿が浮かんでいた。油断をすると自分と先輩を重ね合わせて、比較して、違いを見出そうとしてしまう。出来の悪い思考はヘドロのように頭の中に溜まり続け、捨てることができない。
視線の先にある階段が酷く長く見えて、私は目を閉じた。
「信じてないでしょ」
私の心の中を覗いたかのように、鈴が言った。間を開けずに、ふわりとした声が聞こえてくる。
「私も信じてないし、信じなくていいよ。だって、好きなんて目に見えないんだから、好きの大きさとか量なんてわかんないもん。それに、絶対に釣り合わない。だから、このままで良いと思わない?」
「このままって?」
「放課後、二人で寄り道して、私が好きだって言ったら、晶が好きだって言う。そういう関係。晶と先輩は違う。私は、晶とそういうことを続けたい」
「――もし、私がそういうのはもう嫌だって言ったら?」
「私は、それでも晶が好きだよ」
鈴は、どんなときも柴田鈴だった。彼女は揺るがない。私を好きだと言って、引っ張り回す。親しげに寄り添ってくるのに、頭の中は少しも覗かせてくれない。
私は汚れた廊下から顔を上げ、鈴を見る。
「ずっと晶を好きでいさせてよ。好きだって言ってよ。それだけでいいから」
わかりやすい我が儘と共に、手が伸ばされる。
私はその手を掴もうとして、躊躇う。素直に伸ばされた手を取るだけの力がない。制服がやけに重い。重力に逆らうことができず、腕は作り物のように床へと向かっていた。
けれど、鈴はそれを許さない。
「私は晶が好き。晶は私のこと、好き?」
約束の音が聞こえて、手を伸ばす。頼りなく上げた手は掴まれ、引っ張られて、私はゆっくりと立ち上がった。
「……好きだよ」
小さく呟くと、鈴が言った。
「じゃあ、明日も一緒に寄り道しようよ。ケーキ、食べに行こう」
「ねえ、鈴。それが鈴が私にして欲しいことなの?」
「そうだよ」
柴田鈴という人間が私の恋人になった日に聞いた声と同じトーンで告げられた言葉は、羽が生えているとしか思えないほど軽かった。繋いだままの手はただ繋がっているだけで、伝わってくる熱も頼りなく思える。
私は、鈴の手を強く握った。今なら、この手のようにこれまで繰り返してきた日々を繋いで続けていくことも、断ち切ってしまうことも選ぶことができる。
「明日、ケーキじゃなくてもいいなら行く」
鈴がケーキを選ぶなら、これで終わり。
そうじゃないなら、これまでと同じように鈴と一緒にいる。
選ぶべきは私だったけれど、どちらを選んでも後悔しそうで与えられた選択肢を彼女に委ねた。
「どこに行きたいの?」
「マグカップを買いに行きたい。割れちゃって新しいのが欲しいから、鈴が選んでよ」
マグカップが割れたのは随分前で、買うチャンスは何度もあった。鈴と一緒に行った雑貨屋で買おうともした。けれど、マグカップは未だに買っていない。
「わかった。クマのマグカップ売ってたお店でいい?」
雑貨屋で見たマグカップが頭に浮かぶ。
小さなクマのイラストが外側と内側に一つずつ。
あの日、買わなかったマグカップが明日もあるのか気になる。
「いいよ」
そう答えて、私の明日の予定が埋まる。
鈴とは、昨日の延長線上にある毎日を続けていく。そのことに不満がないと言えば嘘になるけれど、ほっとしたのも事実だった。でも、ただ繋がっているだけの手に気分が沈む。
放課後の行き先が決まっても、うきうきするような浮かれた気持ちは訪れない。それどころか、海の底にでも沈んでいくような苦しさがあった。
楽しいことや嬉しいことがいっぱいあって、明日になるのが待ち遠しくなるような鮮やかな世界を想像していた。そんな想像とは違って世界は歪んで見えるけれど、この気持ちはきっと恋だと思う。
今になって気付いた気持ちにため息がでる。
「帰ろうか」
そう言って、鈴に手を引かれる。二人で階段を下りて踊り場の窓を見れば、モノクロの空が雨を降らせていた。
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