23 / 26
第一章 入学編
入学編第十八話 初陣
しおりを挟む
邪装竜機を吹き飛ばした光はその後止まり、ミリアの前に立ち塞がった。
ミリアは、自身の前に立っている光、いや、聖装竜機を見て、震える声で言った。
「ラ……ラノ、ハ……?」
そう。ミリアが後ろ姿でありながら今見ている聖装竜機は、入学式の日に一度だけ見た、ラノハの聖装竜機そのものであった。
「ラノハ……動かせたんだね……。良かった……。本当にっ……良かった……!」
「……ああ。俺も、お前が無事で、守れて、良かった」
「……え?」
ミリアはラノハの唐突なその言葉に驚き、開いた口が塞がらないでいた。
ラノハはそんなミリアに気づかず、吹き飛んでいった邪装竜機の方を向き、二本の剣を構える。
するとその方向から、先程ラノハが吹き飛ばした邪装竜機が、こちらに向かって飛んできて、ラノハに攻撃を仕掛ける。
邪装竜機が放った黒い斬撃がラノハに迫るも、ラノハは左手で持つ剣から白い斬撃を飛ばし、それを相殺した。
更にラノハは立て続けに右手で持つ剣から斬撃を放ち邪装竜機に反撃する。
邪装竜機はその斬撃を盾で防いだが、その斬撃は邪装竜機が今日受け止めたどの攻撃よりも重かった。
「……っ。なるほど。まだ生徒でありながら、いい反応、そしていい威力だ。お前は我々にとって、驚異たり得るかもしれん。成熟する前にここで潰しておいた方がいいな」
ラノハは、邪装竜機に乗る男のこの言葉を聞き、しっかりと相手を見据え、臨戦態勢をとった。
その時、ラノハは気づいた。
目の前にいる邪装竜機の正体に。
ラノハの脳内で思い出されるのは、幼き日の記憶。
それは、辺りを燃やし尽くすような真っ赤な炎。
その上に飛ぶ、漆黒の兵器である三機の邪装竜機。
その内の一機である、中央の邪装竜機と、今目の前にいる邪装竜機の姿が――重なる。
「お前……!お前は……!あの時の……!」
「……?あの時だと?……ああ。なるほど。お前が、あの時のエリス村の子供だというわけか」
「お前の……!お前のせいで……!」
ラノハの目にまた、復讐の炎が光を飲み込むように燃え上がる。
そんな様子のラノハに構わず、邪装竜機に乗る男は言葉を続けた。
「今の所、驚異足り得る者はお前だけだが、そこの女も少し危ういな。二丁拳銃……。今までなかったスタイルだ。経験を積めばあるいは……。念の為だ。潰しておくとしよう」
ラノハは、邪装竜機に乗る男のこの言葉を聞いて、顔に青筋を浮き立たせた。
しかしそれと同時に、光を飲み込みかけていた炎が、少しおさまった。
今は、ミリアを守らなければ。
それを再認識したラノハは、ミリアに声をかけた。
「……離れてろ。あいつは、俺が倒す」
「待っ――!」
ミリアの静止を聞かずに、ラノハは聖装竜機を動かし、邪装竜機に突っ込んでいく。
邪装竜機はそんなラノハに、黒い斬撃を飛ばした。
しかし、ラノハはその黒い斬撃がミリアに向かっていないことを理解してから、その斬撃を避ける。
そしてその反撃で、白い斬撃を二本連続で放つ。
邪装竜機はそれを盾で防いだ。
その一瞬の隙に、ラノハは聖装竜機を高速で動かし、邪装竜機に接近した。
邪装竜機は斬撃を防いだ盾をそのまま構えるが、ラノハの前では、その盾は無力である。
低い姿勢から、右手に持つ剣を盾の下にもっていって崩し、盾を跳ね除ける。
シュネイ流剣術、アウスシースン。
「なっ……!」
邪装竜機に乗る男は、ラノハが使ったシュネイ流剣術に驚いた。
ラノハはこの機を逃さず、左手に持つ剣で突きを繰り出す。
「っ!」
邪装竜機に乗る男は、ラノハが突き出した剣を辛うじて剣で防ぎ、距離をとる。
そしてラノハは、光と炎の両方を纏った目で邪装竜機を睨みながら、こう言った。
「……もう、失わない。失いたくない。だから、守り抜いてみせる。今度こそ、俺が!」
ミリアは、自身の前に立っている光、いや、聖装竜機を見て、震える声で言った。
「ラ……ラノ、ハ……?」
そう。ミリアが後ろ姿でありながら今見ている聖装竜機は、入学式の日に一度だけ見た、ラノハの聖装竜機そのものであった。
「ラノハ……動かせたんだね……。良かった……。本当にっ……良かった……!」
「……ああ。俺も、お前が無事で、守れて、良かった」
「……え?」
ミリアはラノハの唐突なその言葉に驚き、開いた口が塞がらないでいた。
ラノハはそんなミリアに気づかず、吹き飛んでいった邪装竜機の方を向き、二本の剣を構える。
するとその方向から、先程ラノハが吹き飛ばした邪装竜機が、こちらに向かって飛んできて、ラノハに攻撃を仕掛ける。
邪装竜機が放った黒い斬撃がラノハに迫るも、ラノハは左手で持つ剣から白い斬撃を飛ばし、それを相殺した。
更にラノハは立て続けに右手で持つ剣から斬撃を放ち邪装竜機に反撃する。
邪装竜機はその斬撃を盾で防いだが、その斬撃は邪装竜機が今日受け止めたどの攻撃よりも重かった。
「……っ。なるほど。まだ生徒でありながら、いい反応、そしていい威力だ。お前は我々にとって、驚異たり得るかもしれん。成熟する前にここで潰しておいた方がいいな」
ラノハは、邪装竜機に乗る男のこの言葉を聞き、しっかりと相手を見据え、臨戦態勢をとった。
その時、ラノハは気づいた。
目の前にいる邪装竜機の正体に。
ラノハの脳内で思い出されるのは、幼き日の記憶。
それは、辺りを燃やし尽くすような真っ赤な炎。
その上に飛ぶ、漆黒の兵器である三機の邪装竜機。
その内の一機である、中央の邪装竜機と、今目の前にいる邪装竜機の姿が――重なる。
「お前……!お前は……!あの時の……!」
「……?あの時だと?……ああ。なるほど。お前が、あの時のエリス村の子供だというわけか」
「お前の……!お前のせいで……!」
ラノハの目にまた、復讐の炎が光を飲み込むように燃え上がる。
そんな様子のラノハに構わず、邪装竜機に乗る男は言葉を続けた。
「今の所、驚異足り得る者はお前だけだが、そこの女も少し危ういな。二丁拳銃……。今までなかったスタイルだ。経験を積めばあるいは……。念の為だ。潰しておくとしよう」
ラノハは、邪装竜機に乗る男のこの言葉を聞いて、顔に青筋を浮き立たせた。
しかしそれと同時に、光を飲み込みかけていた炎が、少しおさまった。
今は、ミリアを守らなければ。
それを再認識したラノハは、ミリアに声をかけた。
「……離れてろ。あいつは、俺が倒す」
「待っ――!」
ミリアの静止を聞かずに、ラノハは聖装竜機を動かし、邪装竜機に突っ込んでいく。
邪装竜機はそんなラノハに、黒い斬撃を飛ばした。
しかし、ラノハはその黒い斬撃がミリアに向かっていないことを理解してから、その斬撃を避ける。
そしてその反撃で、白い斬撃を二本連続で放つ。
邪装竜機はそれを盾で防いだ。
その一瞬の隙に、ラノハは聖装竜機を高速で動かし、邪装竜機に接近した。
邪装竜機は斬撃を防いだ盾をそのまま構えるが、ラノハの前では、その盾は無力である。
低い姿勢から、右手に持つ剣を盾の下にもっていって崩し、盾を跳ね除ける。
シュネイ流剣術、アウスシースン。
「なっ……!」
邪装竜機に乗る男は、ラノハが使ったシュネイ流剣術に驚いた。
ラノハはこの機を逃さず、左手に持つ剣で突きを繰り出す。
「っ!」
邪装竜機に乗る男は、ラノハが突き出した剣を辛うじて剣で防ぎ、距離をとる。
そしてラノハは、光と炎の両方を纏った目で邪装竜機を睨みながら、こう言った。
「……もう、失わない。失いたくない。だから、守り抜いてみせる。今度こそ、俺が!」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
因果応報以上の罰を
下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。
どこを取っても救いのない話。
ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる