71 / 93
第二章 財政対策
第二十五話
しおりを挟む
ボスリーの方に駆けていった徹也は、《腕力上昇》を使って剣を振るう。現在剣を持っていないボスリーには、接近戦で攻めようと考えたのだ。
「今は、お前じゃねえんだよ……!《サンダー・ジャゲット》!」
だが、ボスリーは笑みを消して徹也に魔法を放った。それにより、徹也は足を止めて雷を剣で受けるしかなかった。
「っ!これはっ……!」
剣で受けたことにより徹也に外傷はないが、その威力によって徹也が吹き飛ぶ。徹也はそんなボスリーの《サンダー・ジャゲット》の威力に驚愕した。
(疾い……!威力もそうだが、何よりも注目すべきはあの速度……!恐らく、《腕力上昇》を使ってなければ防御が間に合わなかった。そして、それでも完全に弾けないこの威力……!)
強い。徹也は率直に、ボスリーのことをそう表現した。そして同時に、徹也は自分では勝てないことを悟る。
だが、クリスが来るまでの時間稼ぎぐらいなら出来る。徹也はふう、と息を吐いてから、《腕力上昇》を《脚力上昇》に切り替えた。
更に、徹也は剣を鞘に納めて、弓を手に取る。そして徹也は、横に駆け出した。
一方、治伽は賊との戦闘を有利に進めていた。《シャイニング・カット》を使い、賊を近づけないように立ち回っているからだ。
ボスリー程強くないと感じた治伽は、チラリと徹也の方を見る。徹也のことが心配になったからである。
徹也は、走って《サンダー・ジャゲット》を避けながら、矢を放って応戦していた。その様子を見た治伽は、一応ながらも安心した。
だが、この一瞬。本当に一瞬であったが警戒を緩めてしまった。そこを、賊は見逃さない。
「敵を前に、余所見は厳禁だろう?」
「っ!?しまっ――!」
治伽は賊に気付き、迫る剣を躱そうとした。だが、その剣は治伽を完全に捉えることは出来なかったものの、治伽の顔にかすり傷を付けた。
治伽はすぐに反撃に出て、剣を振るう。賊はそれを、風を纏わせた剣で受け止めた。
「なっ!?」
治伽は賊が風属性の魔法を使ってきたことに驚いた。今の今まで、出してきていなかったからである。
「危ない危ない。まさか、魔法を使うことになるとはな。魔力が少ないから、あまり使いたくはなかったが……」
「……っ!風属性……!」
治伽は一度、賊と距離を取った。賊もまた、風属性魔法を使えることが分かったからだ。
油断しなければ負けることはないと、治伽は思う。だが、徹也の方にリソースを割くことが出来ない。早く片付ける。今度は、躊躇しない。
治伽はそう決意し、息を吐いた。治伽の顔に付いたかすり傷から、血が流れている。そして治伽は、賊に集中した。
「今は、お前じゃねえんだよ……!《サンダー・ジャゲット》!」
だが、ボスリーは笑みを消して徹也に魔法を放った。それにより、徹也は足を止めて雷を剣で受けるしかなかった。
「っ!これはっ……!」
剣で受けたことにより徹也に外傷はないが、その威力によって徹也が吹き飛ぶ。徹也はそんなボスリーの《サンダー・ジャゲット》の威力に驚愕した。
(疾い……!威力もそうだが、何よりも注目すべきはあの速度……!恐らく、《腕力上昇》を使ってなければ防御が間に合わなかった。そして、それでも完全に弾けないこの威力……!)
強い。徹也は率直に、ボスリーのことをそう表現した。そして同時に、徹也は自分では勝てないことを悟る。
だが、クリスが来るまでの時間稼ぎぐらいなら出来る。徹也はふう、と息を吐いてから、《腕力上昇》を《脚力上昇》に切り替えた。
更に、徹也は剣を鞘に納めて、弓を手に取る。そして徹也は、横に駆け出した。
一方、治伽は賊との戦闘を有利に進めていた。《シャイニング・カット》を使い、賊を近づけないように立ち回っているからだ。
ボスリー程強くないと感じた治伽は、チラリと徹也の方を見る。徹也のことが心配になったからである。
徹也は、走って《サンダー・ジャゲット》を避けながら、矢を放って応戦していた。その様子を見た治伽は、一応ながらも安心した。
だが、この一瞬。本当に一瞬であったが警戒を緩めてしまった。そこを、賊は見逃さない。
「敵を前に、余所見は厳禁だろう?」
「っ!?しまっ――!」
治伽は賊に気付き、迫る剣を躱そうとした。だが、その剣は治伽を完全に捉えることは出来なかったものの、治伽の顔にかすり傷を付けた。
治伽はすぐに反撃に出て、剣を振るう。賊はそれを、風を纏わせた剣で受け止めた。
「なっ!?」
治伽は賊が風属性の魔法を使ってきたことに驚いた。今の今まで、出してきていなかったからである。
「危ない危ない。まさか、魔法を使うことになるとはな。魔力が少ないから、あまり使いたくはなかったが……」
「……っ!風属性……!」
治伽は一度、賊と距離を取った。賊もまた、風属性魔法を使えることが分かったからだ。
油断しなければ負けることはないと、治伽は思う。だが、徹也の方にリソースを割くことが出来ない。早く片付ける。今度は、躊躇しない。
治伽はそう決意し、息を吐いた。治伽の顔に付いたかすり傷から、血が流れている。そして治伽は、賊に集中した。
0
お気に入りに追加
260
あなたにおすすめの小説
ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手
Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。
俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。
そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。
理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。
※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。
カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

同級生の女の子を交通事故から庇って異世界転生したけどその子と会えるようです
砂糖琉
ファンタジー
俺は楽しみにしていることがあった。
それはある人と話すことだ。
「おはよう、優翔くん」
「おはよう、涼香さん」
「もしかして昨日も夜更かししてたの? 目の下クマができてるよ?」
「昨日ちょっと寝れなくてさ」
「何かあったら私に相談してね?」
「うん、絶対する」
この時間がずっと続けばいいと思った。
だけどそれが続くことはなかった。
ある日、学校の行き道で彼女を見つける。
見ていると横からトラックが走ってくる。
俺はそれを見た瞬間に走り出した。
大切な人を守れるなら後悔などない。
神から貰った『コピー』のスキルでたくさんの人を救う物語。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

追放王子の気ままなクラフト旅
九頭七尾
ファンタジー
前世の記憶を持って生まれたロデス王国の第五王子、セリウス。赤子時代から魔法にのめり込んだ彼は、前世の知識を活かしながら便利な魔道具を次々と作り出していた。しかしそんな彼の存在を脅威に感じた兄の謀略で、僅か十歳のときに王宮から追放されてしまう。「むしろありがたい。世界中をのんびり旅しよう」お陰で自由の身になったセリウスは、様々な魔道具をクラフトしながら気ままな旅を満喫するのだった。

無能と呼ばれた魔術師の成り上がり!!
春夏秋冬 暦
ファンタジー
主人公である佐藤光は普通の高校生だった。しかし、ある日突然クラスメイトとともに異世界に召喚されてしまう。その世界は職業やスキルで強さが決まっていた。クラスメイトたちは、《勇者》や《賢者》などのなか佐藤は初級職である《魔術師》だった。しかも、スキルもひとつしかなく周りから《無能》と言われた。しかし、そのたったひとつのスキルには、秘密があって…鬼になってしまったり、お姫様にお兄ちゃんと呼ばれたり、ドキドキハラハラな展開が待っている!?

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる