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第一章 追放対策
第十五話
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徹也は窓から入ってくる光を感じ、目を覚ました。そして隣に、何かの気配を感じる。徹也は少しずつ意識が覚醒していき、現状を認識した。
(……あれ?なんで望月が……。……え?これが、朝チュンってやつか?……いやいやいや!)
自分は治伽に何もしていないと、徹也は朝チュンを否定する。そして、なぜこのような状態になったのか、徹也は寝る前の状況を掘り起こし始めた。すると、徹也は枕元に本を発見した。その本を見て、徹也は全てを理解した。
(……そうか。あの後、そのまま寝ちまったんだ。望月は切りがついたら戻るって言ってたのに……)
徹也は治伽を早めに帰さなかったことに対して後悔した。早く帰していれば、もしくは帰る時間を決めていれば、こんなことにはならなかったと。
徹也ははぁ、とため息を吐き、治伽の方を見た。治伽は未だ、気持ちよさそうに眠っていた。徹也はそんな治伽を見て、少し顔を赤く染め治伽から視線を逸した。
(望月の奴、無防備すぎじゃないか!?そ、それに、寝顔が……!)
徹也は治伽の寝顔を直視することができなかった。徹也にとって治伽の寝顔は、見てはいけないと思うほど神聖なものだったからである。徹也の心臓の鼓動は、とても速くなっていた。
徹也はそんな治伽の寝顔が頭から離れず、いけないことだとは思いつつも、もう一度見たいと思い、チラリと見ようとした。だがその瞬間、扉を叩く音が徹也の部屋に響いた。
徹也はそれに驚き、すぐにベッドから立ち上がって扉の方に向かう。その扉を開くと、そこには刀夜がいた。
「先生……?どうしたんですか?」
徹也がそう刀夜に問いかけると、刀夜は体を震わせながらこう答えた。
「……どうしたもこうしたもないわ。もう皆、朝食を食べてるわよ。何をしていたの……?」
「す、すいません……。寝坊しました……」
「……本当ね?」
「は、はい」
(う、嘘は言ってない。寝坊したのは本当のことだし……)
徹也はそう思いながら、刀夜にそう言葉を返す。事実、徹也は嘘はついていない。ただ、治伽を隠しているだけだ。
「……そう。実は、望月さんもまだ来ていないのよ」
「そ、そうなん、ですか……」
「……まさかとは思うけど、この部屋にいたりしないわよね……?」
「い、いいい、いませんよ!や、やだなー。望月が俺なんかの部屋に来るわけ――」
「ご、ごめんなさい才無佐君!あの後、寝ちゃって――」
徹也が刀夜に否定の言葉を述べようとした瞬間、目を覚ました治伽が徹也と刀夜がいる扉付近まで声を出しながら来てしまった。徹也と治伽はお互いに言いたかった言葉を最後まで言えず、途中で止まって顔を見合った。
だが、それは一瞬だった。そんな状況を見た刀夜が額に青筋を浮かべてこう言ったからである。
「……才無佐君?望月さん?どういうことか、説明してもらえるかしら?」
(あっ……終わった……。終わったわこれ……)
徹也は死を覚悟した。社会的な、ではあるが。徹也も治伽も、刀夜に問いかけられているにも関わらず、その場で固まってしまっていた。
刀夜は質問に答えない徹也と治伽を見て、更に強く言う。
「説明しなさい!場合によっては、厳しい処罰を――!」
「刀夜殿?徹也殿は見つかりましたか?」
刀夜が言い切る前に、廊下からマディーの声が聞こえた。刀夜は徹也と治伽に言おうとしていた言葉を中断し、マディーの問に答える。
「はい。寝坊したそうです」
「そうですか。後は治伽殿だけですね。治伽殿の部屋に向かいましょう」
「いえ、それは――」
行く必要がないと、刀夜は言おうとしたが、固まっていた治伽が手を合わせて刀夜に無言で懇願した。刀夜はそんな治伽を見て踏みとどまり、ため息を吐いてから改めてマディーに話す。
「……それでいいと思います。私は才無佐君を連れていきますので、先に望月さんの部屋に向かっておいてください」
「分かりました。では」
マディーは刀夜にそう言葉を返すと、治伽の部屋に向かって歩き出した。そして、刀夜からマディーが見えなくなってから、刀夜はまたため息を吐いて徹也と治伽に話しかける。
「……取り敢えず、少し遅く望月さんの部屋に向かうわよ。望月さんは、偶然途中で会ったということにしましょう。幸い、望月さんは寝間着ではないようだし」
「ありがとうございます……。先生……」
「あ、ありがとうございます……」
刀夜の言葉に、治伽、徹也の順に感謝を述べた。刀夜が事実を黙っていてくれたからだ。刀夜は徹也と治伽の感謝を受け止めた上で、徹也と治伽にこう伝えた。
「ただし!朝食を食べ終わった後にはきちんと説明してもらうわ!覚悟しておきなさい!」
「は、はい……」
「分かりました……」
「よろしい。じゃあ、行きましょう。才無佐君は早く着替えなさい」
「は、はい」
刀夜がそう言ったので、徹也は一度部屋の中に戻り急いで服を着替える。そして徹也が着替え終えてから、徹也と治伽は刀夜の後に続いて歩き出した。
(……あれ?なんで望月が……。……え?これが、朝チュンってやつか?……いやいやいや!)
自分は治伽に何もしていないと、徹也は朝チュンを否定する。そして、なぜこのような状態になったのか、徹也は寝る前の状況を掘り起こし始めた。すると、徹也は枕元に本を発見した。その本を見て、徹也は全てを理解した。
(……そうか。あの後、そのまま寝ちまったんだ。望月は切りがついたら戻るって言ってたのに……)
徹也は治伽を早めに帰さなかったことに対して後悔した。早く帰していれば、もしくは帰る時間を決めていれば、こんなことにはならなかったと。
徹也ははぁ、とため息を吐き、治伽の方を見た。治伽は未だ、気持ちよさそうに眠っていた。徹也はそんな治伽を見て、少し顔を赤く染め治伽から視線を逸した。
(望月の奴、無防備すぎじゃないか!?そ、それに、寝顔が……!)
徹也は治伽の寝顔を直視することができなかった。徹也にとって治伽の寝顔は、見てはいけないと思うほど神聖なものだったからである。徹也の心臓の鼓動は、とても速くなっていた。
徹也はそんな治伽の寝顔が頭から離れず、いけないことだとは思いつつも、もう一度見たいと思い、チラリと見ようとした。だがその瞬間、扉を叩く音が徹也の部屋に響いた。
徹也はそれに驚き、すぐにベッドから立ち上がって扉の方に向かう。その扉を開くと、そこには刀夜がいた。
「先生……?どうしたんですか?」
徹也がそう刀夜に問いかけると、刀夜は体を震わせながらこう答えた。
「……どうしたもこうしたもないわ。もう皆、朝食を食べてるわよ。何をしていたの……?」
「す、すいません……。寝坊しました……」
「……本当ね?」
「は、はい」
(う、嘘は言ってない。寝坊したのは本当のことだし……)
徹也はそう思いながら、刀夜にそう言葉を返す。事実、徹也は嘘はついていない。ただ、治伽を隠しているだけだ。
「……そう。実は、望月さんもまだ来ていないのよ」
「そ、そうなん、ですか……」
「……まさかとは思うけど、この部屋にいたりしないわよね……?」
「い、いいい、いませんよ!や、やだなー。望月が俺なんかの部屋に来るわけ――」
「ご、ごめんなさい才無佐君!あの後、寝ちゃって――」
徹也が刀夜に否定の言葉を述べようとした瞬間、目を覚ました治伽が徹也と刀夜がいる扉付近まで声を出しながら来てしまった。徹也と治伽はお互いに言いたかった言葉を最後まで言えず、途中で止まって顔を見合った。
だが、それは一瞬だった。そんな状況を見た刀夜が額に青筋を浮かべてこう言ったからである。
「……才無佐君?望月さん?どういうことか、説明してもらえるかしら?」
(あっ……終わった……。終わったわこれ……)
徹也は死を覚悟した。社会的な、ではあるが。徹也も治伽も、刀夜に問いかけられているにも関わらず、その場で固まってしまっていた。
刀夜は質問に答えない徹也と治伽を見て、更に強く言う。
「説明しなさい!場合によっては、厳しい処罰を――!」
「刀夜殿?徹也殿は見つかりましたか?」
刀夜が言い切る前に、廊下からマディーの声が聞こえた。刀夜は徹也と治伽に言おうとしていた言葉を中断し、マディーの問に答える。
「はい。寝坊したそうです」
「そうですか。後は治伽殿だけですね。治伽殿の部屋に向かいましょう」
「いえ、それは――」
行く必要がないと、刀夜は言おうとしたが、固まっていた治伽が手を合わせて刀夜に無言で懇願した。刀夜はそんな治伽を見て踏みとどまり、ため息を吐いてから改めてマディーに話す。
「……それでいいと思います。私は才無佐君を連れていきますので、先に望月さんの部屋に向かっておいてください」
「分かりました。では」
マディーは刀夜にそう言葉を返すと、治伽の部屋に向かって歩き出した。そして、刀夜からマディーが見えなくなってから、刀夜はまたため息を吐いて徹也と治伽に話しかける。
「……取り敢えず、少し遅く望月さんの部屋に向かうわよ。望月さんは、偶然途中で会ったということにしましょう。幸い、望月さんは寝間着ではないようだし」
「ありがとうございます……。先生……」
「あ、ありがとうございます……」
刀夜の言葉に、治伽、徹也の順に感謝を述べた。刀夜が事実を黙っていてくれたからだ。刀夜は徹也と治伽の感謝を受け止めた上で、徹也と治伽にこう伝えた。
「ただし!朝食を食べ終わった後にはきちんと説明してもらうわ!覚悟しておきなさい!」
「は、はい……」
「分かりました……」
「よろしい。じゃあ、行きましょう。才無佐君は早く着替えなさい」
「は、はい」
刀夜がそう言ったので、徹也は一度部屋の中に戻り急いで服を着替える。そして徹也が着替え終えてから、徹也と治伽は刀夜の後に続いて歩き出した。
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