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第7話《彼女、いや、彼の悩み》
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「ど、どうしたの柳くん?大丈夫?」
「あ、ああ……大丈夫だけど……なんでそんなこと聞くんだ?」
「い、いや……なんかすごく悲しそうな顔をしてるから……大丈夫かなって。何かあったの?」
「何もない……そう……何もないんだ……何もなかったんだ……」
実際は、全然大丈夫じゃない。
現実逃避しないと喋れないのが現状だ。
「そ、そう……?なら良いんだけど……でも、何かあるなら相談に乗るからね!柳くん!」
そう言って渡部はにっこりと笑った。
その笑った顔がとてつもなく可愛い。
……やばい……何かに目覚めそうだ……
いや!落ち着け!いくら可愛いとはいえ、男を好きになっちゃ駄目だろ!
落ち着け……心頭滅却……心頭滅却……
「や、やっぱり苦しそうだよ……?大丈夫……?」
渡部はそう言って、俺に上目遣いをしてきた。
……もう、男でも良いかもしれない……だって可愛すぎるのだから。
「可愛い……」
「え……?今……なんて……?」
「え?……あっ……」
しまった。
声に出てしまった。
でも、本当に可愛いのだから仕方ない。
「……ちょっと二人で話したいことができたから、僕に付いて来てくれないかな?」
「え?わ、分かった」
可愛いと言われたことに怒ったのだろうか?
だとしたら謝らなければ。
「おい、ユウ。どこに行くんだ?帰らないのか?」
シンは新しいクラスメイトたちとの話を終えたようだ。
シンのことだから、もう大勢と友達になったのだろう。
「いや、ちょっと渡部と話すことがあってな。先に帰ってくれ」
「分かった。じゃあ、また明日な。明日のテストの勉強ちゃんとやれよ」
「分かってるよ」
シンに別れを告げ、俺は渡部と一緒に教室を出て歩き始めた。
「……なぁ、どこに向かってるんだ?」
「二人きりになりたいから屋上に向かってる。多分開いてると思うから。流石に入学式で屋上使う人はいないでしょ」
「なるほど。確かに入学式の日に屋上を使うやつはいなさそうだな。まぁ、俺達今から使うんだけど」
「ははっ、そうだね!今から使う人、ここにいたね!でも、話したいことがあるからさ」
そう言って渡部は屋上のドアを開けた。
「それで?話したいことってなんだ?」
俺は可愛いと言ったことを怒られる覚悟をして渡部に聞いた。
「あのさ……僕って可愛いの?」
「え……?」
怒られると思っていたら、予想外な質問だった。
「い、いや……何を言ってるんだ……?」
「いいから真剣に答えて!」
「は、はい!!とても可愛いです!!なにせ女の子を可愛いと思ったことがなかった俺が初めて可愛いと思った人ですから!!」
「そっか……僕ってやっぱり可愛いんだ……って今まで僕以外可愛いって思ったことないの!?」
「お、おう……で、でもそれは置いておいて……自分が可愛いのが嫌なのか?」
「う、うん……僕さ……男なのに可愛いって言われるのが嫌なんだ……」
「あ、ああ……大丈夫だけど……なんでそんなこと聞くんだ?」
「い、いや……なんかすごく悲しそうな顔をしてるから……大丈夫かなって。何かあったの?」
「何もない……そう……何もないんだ……何もなかったんだ……」
実際は、全然大丈夫じゃない。
現実逃避しないと喋れないのが現状だ。
「そ、そう……?なら良いんだけど……でも、何かあるなら相談に乗るからね!柳くん!」
そう言って渡部はにっこりと笑った。
その笑った顔がとてつもなく可愛い。
……やばい……何かに目覚めそうだ……
いや!落ち着け!いくら可愛いとはいえ、男を好きになっちゃ駄目だろ!
落ち着け……心頭滅却……心頭滅却……
「や、やっぱり苦しそうだよ……?大丈夫……?」
渡部はそう言って、俺に上目遣いをしてきた。
……もう、男でも良いかもしれない……だって可愛すぎるのだから。
「可愛い……」
「え……?今……なんて……?」
「え?……あっ……」
しまった。
声に出てしまった。
でも、本当に可愛いのだから仕方ない。
「……ちょっと二人で話したいことができたから、僕に付いて来てくれないかな?」
「え?わ、分かった」
可愛いと言われたことに怒ったのだろうか?
だとしたら謝らなければ。
「おい、ユウ。どこに行くんだ?帰らないのか?」
シンは新しいクラスメイトたちとの話を終えたようだ。
シンのことだから、もう大勢と友達になったのだろう。
「いや、ちょっと渡部と話すことがあってな。先に帰ってくれ」
「分かった。じゃあ、また明日な。明日のテストの勉強ちゃんとやれよ」
「分かってるよ」
シンに別れを告げ、俺は渡部と一緒に教室を出て歩き始めた。
「……なぁ、どこに向かってるんだ?」
「二人きりになりたいから屋上に向かってる。多分開いてると思うから。流石に入学式で屋上使う人はいないでしょ」
「なるほど。確かに入学式の日に屋上を使うやつはいなさそうだな。まぁ、俺達今から使うんだけど」
「ははっ、そうだね!今から使う人、ここにいたね!でも、話したいことがあるからさ」
そう言って渡部は屋上のドアを開けた。
「それで?話したいことってなんだ?」
俺は可愛いと言ったことを怒られる覚悟をして渡部に聞いた。
「あのさ……僕って可愛いの?」
「え……?」
怒られると思っていたら、予想外な質問だった。
「い、いや……何を言ってるんだ……?」
「いいから真剣に答えて!」
「は、はい!!とても可愛いです!!なにせ女の子を可愛いと思ったことがなかった俺が初めて可愛いと思った人ですから!!」
「そっか……僕ってやっぱり可愛いんだ……って今まで僕以外可愛いって思ったことないの!?」
「お、おう……で、でもそれは置いておいて……自分が可愛いのが嫌なのか?」
「う、うん……僕さ……男なのに可愛いって言われるのが嫌なんだ……」
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