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護衛旅 野営2 4
しおりを挟む「………本当に美味しい」
「ああ、美味しいな……。少しクセがあるが、それがまた良い……」
お豆腐やこんにゃく、味噌などがまだ手に入っていないので私の理想とは違う<なんちゃって熊汁>なんだけど、オデッタ&アルフォンソさん夫妻には好評だった。
うちの仔たちも気に入ってくれたようで、早くもおかわりを催促されている。
そして赤ワイン煮込みの方は、
「……オウルベアがどうしてこんなに美味しいの? ……きっとこれは貴族の食べ物なのね!?」
「オウルベアがこんなにもしっとりとした甘さに満ちているなんて、私はこれまで知らなかったよ……。これは王族クラスの晩餐に饗されていてもおかしくないのではないかな」
家庭料理であるはずの<熊肉の赤ワイン煮込み>が、王侯貴族の食べ物だと勘違いされるほどの出来になっていて、これも大好評だった。
丁寧に作った<ジャガイモのピューレ>も赤ワイン煮込みとの相性が抜群で、
(赤ワイン煮込みおかわりなのにゃ! ピューレは大盛なのにゃ~!)
(ぼくもおかわり~! ピューレはやまもりなの!)
(我はピューレをメインでお願いしたく)
(わたくしもですわ! このなめらかさが素敵な品ですこと!)
一度で作った分を全て食べ尽くす勢いでおかわりしていた。【複製】していて本当に良かったよ。
馬型の魔物であるニールとスレイにジャガイモはどうかと迷っていたんだけど、問題ないとハクが断言してくれたので出してみたんだけど、思った以上に気に入ってくれて、2頭が自分たちが魔物であることに感謝するくらいだった。
自分が作った料理を嬉しそうに食べてもらえた私も大満足!な朝ごはんだったんだけど、
「ああ、このまま美味しい食事の余韻に浸っていたい……」
オデッタが❝1日が終わりました!❞モードに入りかけたのは誤算だったよ。朝ごはんじゃなくて夜ごはんに出せばよかったかな。
この旅はお金を稼ぎながら商売しやすい土地を見つけるのが目的で、移動速度を重視する必要はない。
なので、今日は移動するのは止めて、
「アルフォンソ! ちょっとこっちを手伝って~! ここを持ち上げて欲しいの!」
「ここかい? くっ、これは重たい……、ああ、ライムくん、ありがとう!」
熊肉の解体&料理の為の下処理をすることにした。
オデッタの提案で次の集落では、熊汁を販売することに決まったんだ。蜂蜜を採りに行った時についでに狩ったオウルベアがまだインベントリにあるからね。
朝ごはんの熊肉料理の余韻が残っていたオデッタとアルフォンソさんが嬉しそうにはりきってくれたので、簡単ではないはずの解体がどんどん進み、オデッタが使いやすい大きさのブロックに切り分けてくれたので大助かりだ。
不要な部位はその都度ライムが食べてくれるし簡単な力仕事も手伝ってくれるから処理をしやすいと、オデッタもアルフォンソさんもご機嫌だし、ライムがお仕事中で暇だったハクが、キラービーの解体(チマチマと本体と毒針を分ける面倒なお仕事)を手伝ってくれたので、私もご機嫌だよ! だって、もふもふの手と爪を駆使して真剣に働くハクが可愛いんだもん!
移動中に頑張ってくれているニールとスレイも、今は周りを見張りながらゆっくりと体を休めている。その向こうでは、アルフォンソさんのお家のお馬さんがだらりと寝そべっていて……。
この時間を一番楽しんでいるのは、きっとあのお馬さんに違いない!!と、思わず声をあげて笑ってしまった。
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