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護衛依頼。選り好みも冒険者の権利です! 5
しおりを挟む「では改めて……。私はアルフォンソ、そして妻のオデッタです」
「オデッタよ。よろしくね!」
「ええ、よろしく! こっちの猫(虎だけど)がハクでスライムはライムって言うの。もう2頭従魔がいるんだけど、会ってから紹介するわね」
ディアーナが今回の条件を盛り込んだ新たな依頼票を作成してくれたので、依頼人と一緒に内容を確認してから受注のサインをし、改めて自己紹介をする。
話し合いの時はお互いに敬語を使っていたんだけど、これからしばらくの間は一緒に旅をするのだから堅苦しいのはやめにしよう、とオデッタさんに言われて、お互いに言葉を崩すことにした。……アルフォンソさんだけは「丁寧な言葉や物腰は商人の武器の一つだから」と言って、あまり口調を変えていないけど。
依頼人が丁寧に話すなら私もそれに合わせようと思ったんだけど(私も商人の端くれだしね)、それは依頼人に止められてしまった。
堅苦しい雰囲気になるから嫌!とのことだったし、ハクにも(アリスはいつものように話すのにゃ! 後見人のアドバイスを忘ちゃダメにゃ!)って言われちゃったから言葉を崩すことにした。別に言葉遣いにこだわりがあるわけでもないからね。依頼人も気にしていないようなので、私も気にしないことにした。
依頼を出してから時間が経っている様だったのですぐにでも出発するのかと思っていたら、❝準備❞の期間として1週間欲しいと言われた。
夫妻の持っている能力のブラッシュアップをする時間と、私のインベントリに荷物を預かる契約をしたので、預かる荷物と手元に置く荷物の選別や、持って行く予定だった商品を変更するのでその検討をする為の時間が必要になったらしい。
出発が遅くなればそれだけ渡されている資金が減るのではないかと心配したんだけど、この街にいる間の生活費は自分たちのお金を使っても問題ないそうだ。商品の仕入れなどは渡された資金からしか使えないし、この街を出る時には、自分たちの蓄財を全て商業ギルドに預けてから5年間凍結する手続きをしなくてはいけないようだけど。
……この条件、とっても厳しいようだけど、アイテムボックス(アルフォンソさんが持っていた)にこっそりとお金を隠し持つこともできると思うのは私だけ? 我が子はそんな卑怯なことをしないと信頼しているのか、逆に多少は目こぼししてあげようという親心なのかはわからないけどね。どっちにしても、元々の親子関係は悪くなかったことが窺えた。
商品の変更については幸いなことに、護衛を引き受けてくれる冒険者が見つかってから持って行く商品を仕入れる予定だったそうで、今から変更をしても損は出ないしどこにも迷惑は掛からないらしい。
だったらじっくり検討してもらって大丈夫。私のインベントリは時間の経過が遅い(本当は停止するんだけど、まあ、ここはね?)ので、大抵のものは品質の保持が可能だと改めて伝えておく。
契約は❝依頼人の馬車の荷台1台分❞。荷台をもう1台用意して(実家からタダで引っ張ってくる。自分の腕の見せどころだ!とアルフォンソさんがちょっと悪い表情で笑っているのが頼もしい)、私に預ける分と自分たちの馬で引いて行く分をその都度乗せ換えることになっている。
私の仕事は依頼人の目の前で荷台ごと荷物を預かるだけ。荷物は依頼人夫妻が自分たちで乗せ換えるので、どの集落でどんなものを売りたいかを考え、積み下ろしがしやすいように荷造りする必要がある。
……大変そうだな、と他人事のように思っていたら、
「次に会うのは出発の前日のお昼前くらいかな? アルフォンソの家の商会の裏手に来てね!」
と言われてびっくりした。
積み込み作業をしながら預かり品のリストを作成する必要があるらしい。
……うん、そうだよね。❝預かった、預かっていないトラブル❞を回避するためには、双方の立ち合いが必要だよね。うっかりしてた。
この護衛依頼の旅は、駆け出し商人としての私のスキルアップも兼ねた貴重な旅になりそうだ。
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