女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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人型の魔物との初戦闘

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「そろそろ行くかにゃ?」

 魚の頭まできっちりと食べ終わったハクが、満足げに前足で顔を洗いながら促す。

「ちょっと待って。 水をどうするか考えたい」

【複製】の回数が回復しているから、水袋を複製しても良いんだけど…。

 バンバイアバットの血が流れているままでインベントリに収納したけど、朝食用にインベントリから出したりんごは血で汚れてはいなかった。

 もしかしたら、水もそのまま収納できるかも知れない。

 湖の水を直接収納してみる? どうやって? 直接水面に触って収納を試してみる? でも、もしも、中が水浸しになったら…?  ん~……。

 水袋の中の水を少しインベントリの中に注いでみよう。

 まずは勇気と諦めの気持ちでもってお試しだ!


 お試しの結果

 ・水を容器に入れることなく収納しておくことは可能だが、収納時には中に注ぎ入れる必要有り。水面に手を触れても直接収納はできない。
 ・どういった仕組みになっているのか、水と中の物が混ざることはない。 液体同士も混ざらない。
 ・空の水袋を収納し、インベントリ内で水を補充することはできない。
 ・水を出すときは、インベントリの空間の裂け目から、ホースの先からのように出てくる。

 お試しついでに湖の水をたっぷりと収納したので、これで安心して移動ができる。 貴重な複製も無駄に使わずに済んでよかった♪

「水の補充も十分にできたから、そろそろ移動しようか」

「待ってたにゃ! 今日もいっぱい獲物を狩るのにゃ!」
「ぷっきゅきゅ!」

 いや、ライムは従魔部屋で待機だから、ね?








 ハクを肩に乗せて、リニューアルしたマップを確認しながら、名前が表示されない赤ポイントへ向かう。

 しばらく歩くと魔力感知に反応が出てきた。マップ上ではこの先にいるのは未遭遇の生物が3体と、猪が1頭。 どうやら猪が襲われているようだ。

「ハク、正面20m先に……、メートルって、わかる?」

「大丈夫にゃ。 長さの単位は、ここ数百年ほどでメートルになっているにゃ」

「そっか、良かった。 この先20m程の位置に、猪1頭を襲っているらしい3体の生物がいるよ。気をつけて行こう!」

「頑張るにゃ!」

 相手次第で保護者ハクは見物に回るだろうから、本当に気を付けよう。

 できるだけ足音を消して近づき、木の陰から3体の正体を確認する。

「……ッッ!!」

(【鑑定】)

 名前:ゴブリン
 状態:空腹


 猪を襲っているのは、背が低くやせっぽちで不健康そうな緑色の肌をした、人型の魔物。 ゴブリンだった。

 ゴブリン達は錆びた剣や短い木の棒を持って猪に襲い掛かっていたが、初めて見る人型の魔物に大きく動揺した私に気がついてしまった。 

 何故か、私を見るなり猪を放って走り寄って来る。

「アリス! ゴブリンは女・子供の肉が大好物にゃ! 散々、嬲り者にされた後で食料えさにされたくなければ、全力で退治するにゃ!!」

「!! わかったっ!」

 昨日、覚悟を決めたつもりだったのに、一瞬だけ迷いが出てしまった。 でも、もう、逃げる余裕はないっ!

(『殺らなければ、殺られるだけ』! 躊躇をするな!!) 

 3匹のゴブリンは横並びで私に向かって襲い掛かってくるから、横には避けられない。 太刀と木の棒のリーチの差に賭けて正面から<鴉>を振りかぶり、向かって右側のゴブリンの首めがけて斜めに力いっぱい振り下ろした。

「ガッ…」
「グギャッ!!」

「ゲッ…」

<鴉>は右端のゴブリンの首を飛ばし、そのまま真ん中のゴブリンの肩を引き裂き胴に刃を食い込ませた。

 とっさにゴブリンの腹を蹴り付けて<鴉>を引き抜き、左端のゴブリンの頭に向けて大上段から振り下ろすと、<鴉>は軽い抵抗だけを感じさせて、ゴブリンの頭から体を真っ二つに引き裂いた。

 真ん中にいたゴブリンに目をやると、倒れたまま這って逃げようとしていたので、首を切り離して止めを刺す。

「くっ…、ふぅぅ……」

 詰めていた息を吐き出し、ゆっくりと呼吸を整える。

 人型の魔物を倒した。 この手で止めを刺し、息の根を止めた……。 

 ゴブリンは魔物で私に襲い掛かってきた。 殺らなければ、殺られていた…!

「アリス、やったにゃ~♪ ゴブリンは討伐対象の魔物にゃ。 よくやったにゃん!」

 ハクが私の頬を舐めながら褒めてくれる。  

 ビジューの神力が残っているおかげか、思ったほどの忌避感は沸かないけど、それでも自分の中の何かが変わった気がする。 

 改めて、この世界で生きていくことの厳しさを感じた。


 名前:ゴブリンの死骸  (食用不可)
 状態:優

 名前:ゴブリンの死骸  (食用不可)
 状態:普通

 名前:猪の死骸     (食用不可)
 状態:劣        (汚染)


 鑑定をした結果、状態が“優”なのが右端と左端にいたゴブリンで、“普通”なのが真ん中にいたゴブリン。

 食用不可なのだから、状態はあまり関係はないか。

 討伐対象とのことなので、インベントリに収納しておく。錆びてるけど、剣も売れるかな?

 ゴブリンを食料と同じ所に入れるのは抵抗があったので、気持ちだけでも隅っこの方に入るようにイメージしておいた。

 水の収納実験で、他の収納物には影響がないことはわかっていても、食料の側には入らないように強く強くイメージした。

「ゴブリンに襲われていた猪は、食用不可になってるね。汚染って出てる」

「ゴブリンは不衛生だから仕方がないにゃ~」

 棚ぼたの猪だったけど、食料Getならず。 

 気を取り直して次、行こう!






 マップを確認すると、まだ未遭遇の生物が近くにいる。

「次は美味しい獲物だといいね~」

 あ、ゴブリンを斬ったまま、食べられる獲物おにくに触るのはイヤだな。 <鴉>の刀身は曇りなく美しいけど、水洗いだけでもしておこう。 湖の水を大量に収納しておいて良かった^^

 薬草を採取しながら向かった先に、小型の斧を担いだ2本足で歩く犬がいた。

 <コボルト>という魔物だ。犬は好きだけど、この魔物は顔が凶暴で可愛くない。

「退治する?」

「コボルトの毛皮は売れるにゃん(やっすいけどにゃ~)」

 そっか。売れるのか。2本足だけど、犬の魔物だし、ね。

 先手必勝!

 意気込んだのが悪かったのか、コボルトはこちらに顔を向けると斧を掲げて襲い掛かって来た。

「匂いで気が付かれたにゃ。犬の鼻は馬鹿にできないにゃ…」

 そういうことか! 

 振り下ろされる斧を避けながら<鴉>を振り下ろし、斧を持つ腕を切り飛ばして、返す刀で力任せに胴を切りつけた。

 牽制のつもりの一振りはコボルトの胴を簡単に切り裂き、命を奪う。

 ビジューが言った『どんな魔物も盗賊も一振りで仕留められる、強くて美しい武器』は、本当に一振りで魔物を倒し、私の命を繋いでくれている。

「ビジュー、本当にありがとう!」

 少しでも、感謝の気持ちが届けばいい。 そう思いながら大声で空に向かってお礼を言った。










 名前:コボルトの死骸   (食用可、味は良くない)
 状態:普通
 備考:毛皮は装備や衣類に使用可


 リニューアルした鑑定スキルは本当に素晴らしい♪

 毛皮は使える素材なので、切り飛ばした腕も忘れずに回収しておく。

 肉は食用可になっているけど、ハクに言わせると、

「コボルトの肉は食料じゃないにゃ!」

 らしいので、毛皮とだけ見ておこう。

 美味しくなくても食べないといけない状況にならないように、食料おにく調達を頑張らなくては!!


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