女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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魔物肉は、普通にお肉

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 今夜の予定が決まったので、明るいうちにワイルドボアを“食肉”にすることにした。

「猪じゃなくて、ワイルドボアを食べるの?」

 ワイルドボアの方が高く売れそうなんだけど……。

「そうにゃ! ボアを食べるのにゃ♪」

 期待いっぱいのハクを裏切るわけにもいかず、妥協案として聞いてみる。

「ワイルドボアの毛皮って、売れるよね? 傷が無いほうが良いだろうから、足の肉でもいい?」

「今日はそれでいいにゃ」

 今日は、ね。了解。 ハクの1番は食欲か~。

 インベントリから出した枯れ枝を組み、少し離れた場所に追加分の枯れ枝を積んでおく。

 安全とスキルのレベルアップの為に1本ずつ鑑定をしておいたので、食べ物に刺したり燃やしたりしても有毒なガスが出る心配は無い。

 【鑑定】は本当に便利なスキルだ。

 せっかくのワイルドボアおにくだったので、足を切り落とす前に複製しようと試みたけど出来なかった。

 レベルが低いせいかな? レベルが上がったら再チャレンジしてみよう!

 枯れ枝の細いものを選び、<鴉>で串のように削った。すね肉を一口大に切って、昼に採取した椎茸と交互に串に刺していく。

「ハク~、火をつけて?」

 2本ずつの合計6本を準備してハクに声をかけた。

 ライムと引っ付いて転がっていたが(可愛かった!)、警戒はしてくれていたと信用して、2匹を手招きする。

 どうやって火をつけてくれるのかとわくわくしながら見ていると、ハクは枯れ木を左前足で勢い良く引っかいた。木が削れるだけじゃないかと思ったが、あっさりと小さな炎があがる。

「摩擦熱?」

「魔法にゃ」

 私の想像する魔法とは随分違ったけど。

「魔法って、声に出さなくても使えるんだ?」

「声に出したほうが威力が大きくなる傾向があるにゃ。でも、いちいち面倒にゃ。威力を気にしないなら、“無詠唱”の方が便利にゃ」

 使う魔法をいちいち声に出さないでもいいんだ。そういえば、【マップ】も【鑑定】も、慣れたら頭の中で思うだけでいいって言ってたっけ。

 威力が欲しければ、スキルや魔法の名前を声に出す“詠唱”で、そうじゃないなら“無詠唱”。 覚えておこう。

 火が大きくなった焚き木のそばに6本の串を等間隔に刺すと、ハクが火の側に近づいてきた。

 お皿代わりの大き目の葉っぱを捜すと、茂みの陰に葉蘭はらんが生えていたので多めに採取して湖の水で洗っておく。 簡単にクルクル巻いたら、簡易のコップ代わりにも使えそうだ。

 ふと、焚き火の方を見ると、ハクが土に刺した串を器用に回している側で、ライムがワイルドボアの血と足の皮を消化している。足を切り落とす時に出た血と皮を吸収した直後はうっすらと赤みがかった色になっていたのが、ゆっくりと乳白色に戻っていくのが面白い。

 肉串はハクが見てくれているので、今のうちに複製について考えてみる。

 複製できるのは1日3回。3つしかできないのだから、きちんと考えて使わないといけない。

 優先は水と食料。

 水袋の水を鑑定してみるとごく普通の水だったので、必要なら明日、出発するときに湖の水で皮袋をいっぱいにしてから複製すればいい。

 食料は、りんごが20個ほどインベントリに残っているし、木苺はまだいっぱい木に生っているから、明日採取すればいい。

 そうすると、今日の複製は着替え、かな。

<ドレスアーマー>は<破壊不可>になっているから、複製できたとしても(複製できる気がしない)後回しにして大丈夫だと思う。

 後は、インナー類。 インナーは、どれも洗い換えに数枚ずつ欲しいけど、直接身につけるものが優先かな。スパッツとシャツは、後日、傷む前に複製しよう。

 さて、初めての複製だけど……。

 幸いなことに、身に着けたままでも複製できた。洗い直してインベントリにしまっておく。 

 乾かすのは明日、陽が昇ってからだ。寝ている間に干しておいて、もしもの時に回収するのは手間だしね。












 複製が済んで、ぼんやり、ハクとライムを眺めていると、肉の焼けるいい香りがして来た。

 ハクがそわそわしている。

「ボア、もう、いいにゃ?」

「ううん、まだ。 お肉はしっかりと焼いておこう。先に果物を食べようか?」

 待ちきれない様子のハクに聞いてみると、

「待つにゃ」

 と言いながらも、串を睨んでいるのでおかしくなって笑ってしまう。

 ビジューから貰った水入りの皮袋を取り出して、水を飲むかと聞いてみると、

「いらないにゃ。喉が渇いたら、直接湖から飲むにゃ」

 と言うハクに、ライムも縦に伸び縮みして同意している。 

 インベントリから水袋と果物を取り出し、ボアが焼けるのをじっくりと待つ間、ライムはお行儀良くぷるりとも動かないので火の側が苦手なのかと心配になったけど、ハクが言うには大丈夫らしいので安心して放っておいた。

「焼けたにゃ? もう焼けたにゃ?」

 騒ぐハクを宥めながら肉の状態を見ると、美味しそうに焼けている。

「焼けたみたいだね♪」

 串を抜き、採取した葉蘭をお皿代わりにして2本分ずつ置いてやり、自分の分は葉の上に串のまま置いてから2匹を見てみると、お行儀良く私を待ってくれているようだ。

「お待たせ。食べようか!」

「にゃん!」
「ぷきゃ~!」

 声を掛けると、2匹は一声鳴いて嬉しそうに食べ始めた。

「いただきます」

 私はいつもの習慣で手を合わせる。 自分で仕留めた命だからか、本当に『いただく』という気持ちになった。

 噛り付いたワイルドボアの肉は鮮度がいいせいか、味付けをしていなくても、臭みもそれほど感じずに食べられた。

 きっと、美味しい肉なんだと思う。 でも、塩が欲しい。椎茸も美味しいけど、醤油が欲しいな……。

「おいしいにゃ~♪」
「ぷきゃ~♪」

 調味料がないのがちょっとだけ辛いけど、2匹が美味しそうに食べているから、良しとする。

 ライムはともかく、ハクは小さい体でよく食べるな~。 私の握りこぶしくらいの体で、私と同じ量を食べてるよ…。 どこに入ってるんだろう?










 果物まで美味しく完食すると、急に眠くなってきた。 今日はハードな1日だったから、心身ともに疲れているようだ。

 なけなしの根性で水辺まで行き、顔を洗って口を濯ぎ、葉蘭を洗ったら限界が来た。

「ハク、火を消して一緒に休もう。警戒だけしてくれたら嬉しいよ」

「本当に大丈夫だから、今夜は僕に任せてゆっくりと寝るにゃ!」

 少しでも休んでもらおうと提案したが、ハクは胸を張って「火の番をする!」と言う。(白いぽわぽわの胸毛がとっても可愛かった♪)

「本当に休ませてもらって大丈夫?」

「大丈夫にゃ~!」

 じゃあ、任せる。

「ライム、従魔部屋に入る?」

 インベントリを開けても入ろうとしないので、葉蘭だけ収納してそのまま閉じた。

「魔物が出たら起こしてね。ハク、ライム、無理を……しないで…ね」

 そこまで言って、意識が無くなったので、

「おやすみ、アリス。ゆっくりと休むにゃ~」
「ぷきゅきゅ~」

 2匹が私を夜露から護るように寄り添ってくれたことにも気がつかなかった。
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