女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

文字の大きさ
上 下
13 / 754

森に入ってみよう

しおりを挟む


「現在地の情報を知りたい時には、【鑑定】や【インベントリ】の時みたいに【マップ】でいいの?」

「そうにゃ♪」

「【マップ】!」

 唱えると、視界の左下におなじみの半透明の羊皮紙が現れ、地図が写し出された。

「ハク…、マップにはここがモルガ王国っていうことと、前方のあの森、<シーダの森>しか表示されないんだけど…。 それ以外の町とか村とか、人の集落らしきものがないの…」

「それはマップスキルのレベルが1だから、表示される範囲が狭いのにゃ。 いっぱい使って、早くレベルをあげるにゃ!」

 スキルレベルが低いと使い勝手が悪いってことか。

「鑑定は、レベル1でもいっぱい情報が出てきたから、マップももっといっぱい情報が出てくると思ってた」

「鑑定も同じにゃ~」

 思わず不満を呟くと、ハクがびっくりすることを言った。 全然同じじゃなかったし…。

「さっき鑑定したのは、アリス自身と従魔の僕、それとアリスの装備品にゃ。
 アリス自身と従魔の情報は鑑定のレベルが低くても、全部見られるにゃ。 装備品はビジュー様のお創りになった装備品自体が、アリスに特別に情報を開示しているだけで、他の装備品なら鑑定レベルに添った情報しか出ないにゃー」

 どうやらビジューお手製の装備品が特別なだけだったらしい……。


 とりあえずの方針は、

・食料の確保
・鑑定とマップのレベルを上げて使い勝手を良くする
・人のいる集落を探す
・レベル上げ

「人の集落の位置がわからないから、とりあえず<シーダの森>で食料の確保をしよう! 果物とかがあるといいね!
 それと、強い魔物に遭わないうちに、弱そうな魔物を倒してレベルアップを図ろうと思う。
 遠出の準備が整うまでは森で野宿とかも考えたいけど、さすがに危険かな?」

 どんな魔物がいるかもわからないし、野宿セットなんかも持っていない。 でも、むやみに歩いて体力切れで行き倒れとかは遠慮したいし……。

「あの森は、奥のほうに行かなければ、強い魔物はいなさそうにゃ。アリスの装備とステータスなら、脅威にはならないにゃー」

「ハクはそんなことがわかるの?」

 森を見ただけで脅威度がわかるなんて、すごい!

「【魔力感知】を使うにゃ~」

「【魔力感知】」

 あ、森の方から、ざわざわとした嫌な感じがするような?

「魔物の気配をを感じたにゃ? その感覚の強弱で魔物の強さが大体わかるにゃ。 少しでも危険がありそうな場所では、常に魔力感知を使っておくといいにゃ~」

 このざわざわする感じが魔物の気配らしい。でも、強さとかは全然わからない。 ……比較する対象がないから当たり前か。

「常に魔力感知を使っていても、私のMPは大丈夫なの?」

 魔物の気配を探るだけで、MP切れで回復ができなくなるのは困る。

「魔力感知を使いっぱなしにしておいても、アリスのMP量なら問題はないのにゃ。ちゃんと忘れずに鑑定とマップも使って、レベルを上げるにゃ!」

「わかった。 じゃあ、森の中の生物の反応に気をつけながら行こう!」

 まずは森に入らないと何も始まらない。

 数歩毎に【マップ】の発動と、辺りに生えている草や石を片っ端から【鑑定】しながら森へと移動した。










 森の入り口まで来ると、ざわざわとした嫌な感じが少しだけ強くなった。マップを見ると赤い反応があるが、見える範囲に生物はいないようだ。

「?」

 マップ上の赤い反応のある場所を見てみると、草が生えている。鑑定をしてみると『薬草』だった。

「マップには生物だけじゃなくて、植物も反映されるの? こんな森の中で木の1本1本に反応があっても……」

 ややこしくなって困る。と思ったら、ハクがため息を吐いた。

「落ち着いて見てみるにゃ~。木の1本1本には反応がないにゃ? アリスのマップは特別にゃ! アリスに有益だと思われる植物が反映されているだけにゃ」

 ハクに言われてマップを確認してみると、確かに木々はマップに赤く反映されていない。

 【薬師スキル】が、薬草はポーションの製作に使えると教えてくれたので、ハクの言うとおりなのだろう。 丁寧に採取しておく。

 目の前の木を鑑定してみると、


 名前:シーダの木


 だった。森の名前と同じだが、名前だけでは有益かどうかわからない。 日本で見た杉の木に似ている気がするが、確かに今は使いみちがない。

 マップを信じて、赤いポイントだけを片っ端から採取していく。


 薬草、薬草、しびれ草、椎茸、薬草、椎茸、薬草


 しびれ草は今のところ使い方がわからないけど、薬草はポーションや薬の製作に必須の草で、椎茸は大事な食料だ! 

 初めての食料をGetした! 夜になったら焼いて食べよう♪

 インベントリのおかげで傷む心配がないので、喜んで採取作業にいそしんでいると、ゾワリとした感覚と共に赤いポイントがふいに動いた。

「!?」

 視線を向けると薄い水色のプルプルした、まぁるいラインの生物。

「【鑑定】」


 名前:スライム


 うん。知ってた。 ゲームとかでもおなじみのモンスター、スライム。

 ここでも魔物として存在していたんだ。 ゲームじゃスライムは最弱のモンスターだったけど、

「スライムって、強いの?」

 念のため、ハクに確認してみる。

「個体によるにゃ。この大きさでこの色のスライムなら、腕自慢の農夫がくわで刈るにゃー」

「退治、するべき?」

「魔物にゃ! 狩ると【経験値】と【魔石】と【素材】が手に入るにゃ~♪」

 スライムの見覚えのあるフォルムに親しみを感じて退治するのを躊躇していると、突然スライムが液体を飛ばしてきた。

「!!」

 かろうじて避けたが、液体が飛んだ方を見てみると生えていた草と石が溶けていた。スライムは酸を飛ばすらしい。

 とっさに<鴉>を鞘から抜き、スライムに切り付けた。

「プギャッ!」

 <鴉>は私の手にしっくりと馴染み、重さをほとんど感じさせず、何の抵抗も無くスライムを切り裂いた。

 真っ二つに分かれたスライムはゼリー状の体液を飛び散らし、そのまま地面にへばって動かなくなる。

「【素材】とか【魔石】はこれから手に入れるんだよね? どうすればいいの?」

 ハクに聞いてみると、

「解体するにゃー。 僕は解体の知識は持ってるけど、手がこんなだしにゃあ…」

 困ったように可愛い肉きゅうを見せてきたので、

「じゃあ、集落に着いたら、できる人を探して教わろう?」

 スライムはそのままインベントリに収納しておくことにした。

 鞘を持ったままの戦闘は不便なのでインベントリにしまおうかと思ったが、太刀緒が付いていたので腰に佩いておくことにする。

 <鴉>を握って森の中をしばらく歩くと、赤い実をたくさんつけた木と、わらわらとたむろしているスライムがいた。

 鑑定スキルのレベル上げに、できるだけ1匹ずつ鑑定しながら退治していると、一匹だけ乳白色のスライムがいた。

 鑑定してみても、<スライム>としか出なかったので、ただの色違いだと判断して<鴉>を振りかぶると、

「アリス! そのスライムキープ!!」

 ハクが『にゃ』を忘れてまで制止してきた。不思議に思いながらも、乳白色のスライムと距離を取り、もう一度鑑定を掛けてみる。

 先ほどと同じく<スライム>としか出なかったので、とりあえず、乳白色以外のスライムを全て駆逐し、件のスライムから目を離さないように気をつけながらインベントリに収納しつつ、ハクに理由を聞いてみた。

「そのスライムは変異種にゃ! おとなしい種で、吸収したものを養分として吐き出せる珍しいスライムだから、アリスが農業を始めようと思ったときに、いると便利にゃ! 
 それにスライムがいると魔物の解体で要らない部分を処分する時に手間が減るにゃ~。従魔にするにゃ!!」

 ハクが興奮するほど、とても便利なスライムだったらしい。

「どうやって従魔にするの?」

「<従魔>にするには【テイム】スキルが必要にゃ。でも、スライムの同意が得られたら、一緒に行動することは可能にゃ。人前では隠しながら連れ歩いて、スキルを入手したら従魔にするにゃ~♪」

「スライムの同意って…。 ハクは魔物と会話できるの? それにこの大きさのスライムを隠しながら連れ歩くのは無理だよ」

 私の頭くらいの大きさがある。

「会話は従魔契約をしてからしか無理にゃ。でも、手なずけるだけなら、何か食べ物を与えてみるといいにゃ。相性がよければ一緒についてくるにゃ。
 インベントリに入れておけば人前では隠したまま連れ歩けるにゃ♪」

「インベントリって、生き物の収納できたっけ?」

「僕の『従魔の部屋』があるにゃ。そこで同居するにゃ~」

「そんな部屋のこと聞いてないけど…。 それに従魔契約をしてなくても従魔の部屋に入れるの?」

「ビジュー様が僕の為に追加してくれた機能にゃ。僕とアリスが認めた魔物なら、大丈夫にゃ~。 普通の魔物はダメにゃ!」

 ハクの為に追加したものなら、知らなくても仕方ない。

 じゃあ、餌付け、してみますかね~♪
しおりを挟む
感想 1,118

あなたにおすすめの小説

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)

土岡太郎
ファンタジー
 自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。 死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。 *10/17  第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。 *R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。  あと少しパロディもあります。  小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。 YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。 良ければ、視聴してみてください。 【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮) https://youtu.be/cWCv2HSzbgU それに伴って、プロローグから修正をはじめました。 ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」 ────何言ってんのコイツ? あれ? 私に言ってるんじゃないの? ていうか、ここはどこ? ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ! 推しに会いに行かねばならんのだよ!!

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

転生少女、運の良さだけで生き抜きます!

足助右禄
ファンタジー
【9月10日を持ちまして完結致しました。特別編執筆中です】 ある日、災害に巻き込まれて命を落とした少女ミナは異世界の女神に出会い、転生をさせてもらう事になった。 女神はミナの体を創造して問う。 「要望はありますか?」 ミナは「運だけ良くしてほしい」と望んだ。 迂闊で残念な少女ミナが剣と魔法のファンタジー世界で様々な人に出会い、成長していく物語。

【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~

ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~ 大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。 話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。 説明口調から対話形式を増加。 伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など) 別視点内容の追加。 剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。 高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。 特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。 冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。 2021/06/27 無事に完結しました。 2021/09/10 後日談の追加を開始 2022/02/18 後日談完結しました。 2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

処理中です...