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鑑定の続き 装備品

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 ハクの言うとおりに【インベントリ】と唱えてみると、目の前の空間が裂け、また半透明の羊皮紙にリストが展開された。

 入っていたのは2点だけ

 ・剣
 ・水の入った皮袋

 水を取り出して一口飲んでみると、身に沁みる様においしかった。 どうやら自分が思っていた以上に緊張しているらしい。

 次に剣を取り出してみる。

「日本刀…?」

 それは時代劇で見るような形の刀だった。

 でも、色が違う。 刀身が鋼の色ではなく、闇を吸い込んだような漆黒に濃紅の波紋が浮き出ている、妖しくも美しい刀身。

 それを包む鞘は、漆を何重にも重ねたような艶やかな濡羽色に白いアマリネの花が華やかでいて上品に咲いている。 美術品としても通用する美しい拵えだ。

「なんて優美な……」

「鑑定してみるにゃ♪」

 あまりの美しさに見蕩れていると、ハクに鑑定を勧められた。

「鑑定したら強さがわかる?」

「強さが知りたいなら、持った状態で自分を鑑定してみるにゃ。
 今は鑑定のレベルを上げるためにも、この世界を知るためにも、積極的に鑑定を使ってみるにゃ」

 なるほど! ハクの言うとおりに鑑定をしてみる。


<剣>
 名前:
 種類:破魔の太刀
 特性:成長・破壊不可
 備考:創造神ビジューが地球の日本の神と相談して創り上げた太刀。
    アンデッドや実態のない敵にも有効。
    鞘は世界樹しんぼくから切り出した一品。盾として使用可能。
    アリスの所有時のみ、重量が軽減される。


この世界ビジューの剣って、成長するの?」

 私の知っている日本刀は壊れはしても、成長はしない。

「ビジュー様の特製にゃ。見た目は変わらないけど、敵を倒せば倒すほど強く成長するにゃ。この世界で一振りだけだから、大切にするにゃよ!」

「うん。 あと、名前のところが空欄なんだけど……。 名前、いる?」

「いるにゃ! 武器は愛情を持って大切に扱うものにゃ!」

 また、名づけの試練……。

「……(刀身も漆黒だし、鞘も黒いから)鴉」

「にゃっ!?」

「黒いから<鴉>。 ダメなら<コク>。 それもダメなら、ハクが考えて?」

私には無理。

「わかったにゃ…。 <鴉>でいいにゃ……」

 名付けが通ってほっとしたけど、鑑定を続けるのが少し怖い……。


<ドレスアーマー>
 種類:ドレスアーマー
 特性:成長・破壊不可・サイズ自動調整・外傷自動治癒
 備考:創造神ビジューが地球の日本の神と相談して作り上げた渾身のアーマー。
    物理攻撃や魔法攻撃を吸収し、装着者にダメージを通さない。
    どんなに汚れても、水で洗えば綺麗に落ちる。


 説明を読めば、とっても優れている性能の、アーマー。

 でも、どう見てもこれはアーマーではない。

 これはアレだ、『着物ドレス』

 襦袢の代わりに柔らかなシャツだから浴衣ドレス? 膝上のミニ丈の着物の襟と袖口と裾にふんだんにレースをあしらっている。 艶やかな黒地にとき色の桜が美しく咲き、豪奢な純白のレース部分には、同じく純白のアマリネが咲いていて目に楽しい。
 袂が短いので、太刀を振るう邪魔にはならなさそうだけど、どう見ても防具には見えない。

 帯は20cm程の幅で素材は正絹。 金地の帯に金糸で猫…、ハクらしき子虎が可愛く刺繍されている。結ぶのではなく、巻いた帯の中に端を挟み込んでいる。
 

<ダイヤのネックレス>
 特性:HP自動回復・破壊不可
 備考:創造神ビジューの加護により、ドラゴンに踏まれても壊れず、マグマの中に落としても溶けない。


 これは流威からもらった大切なネックレス。ビジューが加護を付けてくれて、どうやっても壊れないようになっているようだ。本当にありがたい。


<ロングブーツ>
 種類:ロングブーツ
 特性:疲労回復・破壊不可
 備考:青毛のヒッポグリフの革のロングブーツ。長時間歩いても疲れにくい


 膝上までのロングブーツ。どういう作りなのか、膝を曲げるのに支障がない。

 アーマーとお揃いで黒に桜の刺繍がされている。  どうやらビジューの私に対するイメージカラーは黒らしい。

 だが、どれも素晴らしく手の込んだ、美しくもハイスペックのものばかりだ。

 ビジュー、本当にありがとう! 大切に使って長生きするからね!









 さて、ここで新たな疑問が発生した。

 着ている防具を確認する時に目に入った、自分の体。

 私が16歳の頃よりも色が白く、手足も長い。

 髪は元のまま黒だけど、元々の私の髪色より黒みが強い。 少し短く、ボブ丈になっている。

 鏡で確認してみたいけど持っていないから、人のいる集落までしばらくお預けなのが残念だ。



<破魔の太刀・鴉>を装備したら、攻撃力が485になった。私の攻撃力が85だったから、『鴉』の攻撃力は400になる。

「ハク、私の能力ってどれくらいの強さなの? ハクが基準なら、私のステータスってほとんど紙みたいなものだよね?」

「僕はこの世界の創造神、女神ビジュー様に創りうみ出された神獣にゃ! ステータスだって、神獣にふさわしい強さにゃ~♪
 今のアリスは装備が無いと、並の冒険者よりは少し強いくらいにゃ。 レベルが1だから、仕方がないにゃん。
 早くレベル上げして、強くなるにゃ!」

 並みの冒険者くらいの強さって言われても、あまりピンとこない。

 ちょっと怖いけど、なるべく弱そうな魔物と戦ってみようかな。
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