楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

文字の大きさ
上 下
44 / 58
第二章

7.体当たりスライム

しおりを挟む
「ミノタウロスはこの先の大部屋にいる。取り巻きはソルジャースケルトンが二体。たぶん罠は無し」

「よし、大方予想通りだな。ありがとうシーロ」

 野営を終えたボク達は、中ボスがいるっていう部屋の近くまで来ていた。
 こういう時、シーロの斥候スカウタースキルや技術がすごく役に立つ。
 おかげで準備万端で戦えるもんね!

「俺がミノタウロス、シーロとフェリがソルジャースケルトンを一体ずつ受け持つ。セシリアは火の矢ファイア・アローでソルジャースケルトンを一体ずつ確実に仕留めていってくれ。二体とも仕留められたら、全員でミノタウロスと交戦だ」

「オーケー」「わかったわ!」「はい」『ばっちこーい!』

 ボクはもちろんフェリとセットだ。
 ボクが人並みに考えるスライムだってことはクリス達も知ってるけど、戦力的には一人前って言えないからねぇ。

「アインは入り口で待機を。他のモンスターが来るようなら、そっちは任せても良いかな」

「ああ」

 アインなら一人でもバッサバッサなぎ倒せるもんね~。
 頼もしい限りだよ!

「よし、じゃあ……行くぞ!」



 ボク達はボスがいる部屋に素早く駆け込み、作戦通り散開した。

 うん、クリスとシーロは予定通りのモンスターに行ったね。
 よーし、ボク達もまずはソルジャースケルトンをやっつけるぞ!

「ニイム、行くよ……!」

『オッケー、任せてっ!』

 フェリはクリスにならって盾持ちスタイルだ。
 小さめの盾だけどフェリがさばくにはちょうど良い大きさで、ボクと二人で戦う時は盾役をしてくれる。

「っく……はぁっ!」

『おりゃおりゃー! てやーっ!』

 ――ごぼいんっ! ごぼいんっ!

 フェリが注意を引きつけてくれてる間に、背後から体当たりアターック!
 ……って、骨だからあんまり効かないよぉ……。

『フェリ、ボクの体当たりじゃすきを作れないかも! 頭を吹っ飛ばせない~!』

「う、うん……!」

 スケルトン系は頭を壊すのが定番の倒し方だ。
 別に体から切り離さなくてもいいんだけど、セシリアは魔法を当てるのが苦手らしくて……動かなくしてからじゃないと難しいんだって。

『ボクが注意を引きつけるから、代わりにフェリが頭をお願い!』

「で、でも……ぼく……!」

 フェリが何かを躊躇ためらってる。
 ぬうぅ、それならここはボクが頑張って体当たりを極めるしか……!

「おい坊主、そっちまだか!」

 ボク達がもたもたしていると、シーロの声が飛んできた。
 あっちのソルジャースケルトンは倒し終わっていて、セシリアも次の魔法の準備ができてるみたい。
 完全にボクら待ちだ!

 ――ごぼいんっごぼいんっ! ごぼいんっごぼいんっ!

『ぐぬぬぅ~! フェリ~、やっぱり難しい~!』

「うぅっ……」

 必死に体当たりを繰り返したけど、やっぱり頭を吹っ飛ばせない。
 位置が高くてよく動くし……あぁもう、こういう時もっと攻撃手段があればなぁ!

「ったく、何やってんだ……よっ!!」

――ガッキィーン!

 応援に駆けつけてくれたシーロがソルジャースケルトンの頭をカッ飛ばしてくれた!
 そこに、すかさずセシリアの火の矢ファイア・アローがヒット。前の時と同じく、すすだらけになって沈黙した。

 ……命中したのは3本中の1本だけだったね、今回も。

『ありがとう、シーロ! セシリア!』

「ご、ごめんなさい……」

「しっかりしろよ! ほれ、次だ次!」

「は、はいっ!」

 そうだ、次こそが本命。ミノタウロスとの戦闘が待ってる。
 クリスを早く楽にしてあげなくちゃ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

だらだら生きるテイマーのお話

めぇ
ファンタジー
自堕落・・・もとい楽して生きたい一人のテイマーのお話。目指すのはスローライフ!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...