楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

文字の大きさ
上 下
11 / 58
第一章

11.ボーイズ・ミーツ・スライム

しおりを挟む
 ――ぽいんっ、ぽいんっ、ぽいんっ♪

 いや~順調順調♪
 あれからいくつか宝箱も見つかったし、スライム以外も倒せるようになったし!
 まだラットやワームぐらいだけどね。
 でもようやくお肉(?)にもありつけて満足だよ~。

 正直、ワームはちょっと抵抗感あったけどネ……。
 吸収と思えば何てことないんだろうけど、どうしても食べる・・・って感覚が強くて……。
 ま、それを言っちゃあ「生のネズミ肉はいいんか?!」ってなるよね、そうだよね。
 ってなわけで、とにかく倒したヤツは食べることにしたのです。

 ボク、もう随分と強くなったんじゃないかなぁ?
 色々食べてるし、スライム意外も倒せるし。
 そろそろ次のスキルか……いっそ進化とかしたいねー!
 どんなスライムに進化するのかなぁ、ワクワク♪

 お、考え事してるうちに宝箱もう一つはっけーん!

 ――ぱかっ!

 >ちゃららーん♪
 >スライム は やくそう? をてにいれた!

 むむ、また薬草(?)か~。
 今はさっき見つけたやつを消化してるところだし、とりあえず頭の上に乗っけておこうっと。

 そういえば、いつも何の疑問も持たずに薬草かと思って食べてるけど、毒草だったりしないよね……?
 見分け方なんてわかんないし、何でもかんでも食べてたらそのうち当たっちゃうかも……。

 ま、ネズミや虫を生で食べてる時点で手遅れか!
 うん、考えてもしょーがない、しょーがない!

「~~~、~~!」

 およ? 人の声……かな?
 このダンジョンで初めての人だぁ!
 どうしよう、すぐに逃げるべきか、様子を伺うべきか……。
 スライム的には一目散で逃げる方がいいんだろうけどねぇ。
 しかし! なんたってボクは考えるスライム!
 知的好奇心が勝っちゃうのさ~。

 というわけで足音を立てないように、のぞき見、のぞき見……。

 ――ぽにょにょにょ……

「ええ~、どうしよう! もう薬切れちゃったよ~」

「なにぃ! なんでもっと持って来なかったんだよ!」

「だって買うお金が無いんだもん! 他にも買う物いっぱいあったし……」

「どぉ~せ、またしょうもないモンに目移りして無駄遣いしたんだろ!」

「そんなことないよ、ちゃんと冒険に必要な物をちゃんと考えて……!」

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」

 ふむ。どうやら駆け出しの冒険者三人組って感じかな?
 それにしても、この階で四苦八苦する腕前じゃあ……冒険者としてはこの先厳しそうだなぁ。

 ボク? ボクはいいんだよ。
 だってスライムだもん!
 スタートがスライムか人間かじゃ、雲泥の差だよ!

「とりあえず一旦町に戻ろう。セシリア、応急手当だけでもしてやって」

「うん……シーロ、腕出して」

「しゃあねえな、失敗すんなよー」

 女の人がセシリア、口の悪い男の人はシーロって言うみたい。
 もう一人の男の人は何て言うのかな~、もっとよく見えないかな~。

「――ッ、クリス! 後ろ!」

「?!」

「きゃあっ、スライム!」

 あっ、見つかっちゃった?!
 やばいやばい、戦う気マンマンだ! 潰されちゃうよー!!

 えいっ、えいっ!
 ボ・ク・は・い・い・ス・ラ・イ・ム・だ・よ!

 ――ぷよぷよ、ぷよよよんっ

「何だ……あの動きは」

「スライムがいっちょ前に威嚇いかくしてんのか?」

「は、早く倒しちゃった方がいいんじゃ……」

 うわーん、ダメだ~全然伝わってない!
 そうだよね、こんなので誤魔化されるのはリーリオぐらいだよね!
 こうなったら逃げるしかないか!

「ん……? ちょっと待て。あのスライムの上、よく見てみろ」

「え?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

だらだら生きるテイマーのお話

めぇ
ファンタジー
自堕落・・・もとい楽して生きたい一人のテイマーのお話。目指すのはスローライフ!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...