楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~

杜本

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第一章

9.スキルゲットスライム

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 なんてこった! まだかまだかと思ってたのに、既にスキルが取れていたとは!
 ちくしょー、一体いつだ! いつからあったんだ?!

『そ、それで?! どういうスキルか教えてくれない? ボク、自分じゃ分からなくてさ』

『ニイムさんが今感じている空腹感……それがスキルの正体ですよ』

 え……お腹が空くだけのスキル?
 めちゃくちゃ要らないんですけどぉ~。
 空腹度が追加されるって、ゲームの難易度アップじゃないんだからさ……。

『先程ニイムさんが言っていた通り、元々の感覚に引っ張られたのかもしれませんね。スキル名は「吸収」。相手の一部を取り込むことで、相手の特性やスキルを自分のものにするスキルですよ』

『うわぁっ、ホント?!』

 良かったー! 空腹度追加で難易度アップじゃなかったー!

『じゃあ、ボクがスライムの残骸を食べたいって思ってたのは、「吸収」をしようとしてたから……? 取り込むって、食べて消化するってこと?』

『はい、今の貴方はスライムなので、相手を食べることになりますね。スキルを新たに得た時にはスキルに合った行動をとりたくなると言いますから、その感覚を食欲と勘違いしてしまったのではないでしょうか』

『は~なるほど~。 良かったー、同種喰らいに目覚めたんじゃなくて!』

『まぁ「吸収」は同じ種にも使えますから、モンスター間であれば気にせずに行われてるとは思いますよ?』

『え~……そうなんだ……』

『そもそも「吸収」を使う種は、そうやって強くなり生き残るような生態を持っていますからね。弱い者を吸収し、強い者が生き残る。そうして他の種に対抗できるようにするのです』

『な、なるほど……』

 野生って厳しい……。
 でもスライムなんて、同種しか勝てる相手いないし仕方ないのか。
 うう、ボクも同種(スライム)を食べるしかないのかなぁ……。

『もしスライムを食べるのがお嫌なら、薬草や鉱石などの自然物を食べられてみてはどうでしょうか』

『それだぁー!! って、食べるのは別にモンスターじゃなくてもいいんだ?』

『自然物からはあまり吸収できるものは無いかと思いますが、食べようと思えば何でも食べられますよ。少しぐらいは得るものもあるはずです』

『わぁ~い、良いこと聞いたー! ありがとー!』

『うふふ、お役に立てて何よりです』

 つまり人が作った料理とかも食べれるってことだよね?
 実はボク……料理の知識はあるけど、味がどんなのかっていうのは覚えてないんだよね。
 料理、食べてみたいな~!
 スイーツなんか特に美味しそうだよね~!

 あっ、味覚……。
 スライムって味は分かるのかな……。
 というか、スライムが人の料理にありつけるのか……?

 ……とにかくッ!!
 まずは、何か手近な素材でボク自身が強くならないといけないよね。
 今のままじゃ一生ここから出られなさそうだし。

『じゃあ、強くなれそうなもの探してくる! またねー、リーリオ!』

『はい、また』

 狙うは、硬そうな鉱石や効能のありそうな薬草だ!
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