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8.梨花の部屋
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玄関先でアルトと合流し、イトナの言っていた【星寮】へ向かう。
昨日の無人の夕暮れが嘘みたいに道のりは人(と言っても人間ではない)がまばらにいた。
やがて星寮に近付き、そこでようやく俺は違和感を察知することができた。
「ねえアルト……なんか、俺やたらと見られてない?」
アルトがふわふわの金髪を揺らして振り返り、笑う。
「そりゃそうだよ!花嫁は特別なんだって僕言ったじゃん!人間は匂いがついてないからすぐ分かるんだよ~」
「ふうん……?」
特別だ、と言う割にはその視線は突き刺さるものがある。
睨め回す、ような、上から下まで値踏みされてる、ような。そんなとてつもなく不快な視線。
アルトを急かして、梨花が住んでいたという部屋まで案内してもらう。
ついでにここはカードキーのロックなんてものはなく、玄関の管理人室に許可をもらって入っている。
さすがに女子の部屋には通されないのでは……と思ったがそんなことはなかった。花嫁は特別発言、伊達じゃない。
梨花の部屋の扉を開けると、なんと先に人がいた。窓際でプラチナブロンドが光にキラキラ反射している。
驚いて振り向いた彼女は、以前骨董屋で見かけたビスクドールのような整った顔立ちに、綺麗なピンク色の瞳をしていた。
後ろでアルトが「げっピンクアイだ」とボソッと呟く。なるほどピンクアイ。……いや、見たまんまだけど。
彼女のピンクの瞳が僅かに見開かれ、その薄桃色のぷっくりした麗しい唇から──
「アンタ誰よ!ここどこだと思ってるの!梨花の部屋にどうして男がいるのよ!信じらんない!寮監呼んでつまみ出すわよ!!」
罵倒が発せられた。
「いやあの!俺はここの部屋にいた立花梨花の弟で!決して怪しいものではないでひゅ!」
ちょっと噛んだ。
「弟ぉ~???」
その美少女は怪訝そうに俺を上から下まで眺め、
「似てないじゃない!」
ですよねー!!俺もそう思うよ!ようやく分かり合える人が来た!
「梨花はもっとおっとりしてて黒髪がツヤツヤで肩まであってなで肩だし目付きも柔らかいわ!おっぱいだって大きいしすぐ照れて赤くなるしそれでいてとってもいいにおいがするんだから!あんたと梨花の似てる所なんて気配と身長だけじゃない!!」
梨花のこと本当によく見てるなこの美少女。
「僕らにとっては気配が似てるってそれだけで充分でしょお~?」
というアルトのフォローも、「うるさい!」と一括されてしまった。
「その、落ち着いて!ピンクアイ?さん?」
「なっ.......!」
後ろであちゃ~と頭を抱える気配がする。俺何か地雷踏んだ?
「どっ.......どうせ私はピンクアイよ!あんたも私の事バカにするわけ?ヴァンパイアのくせに落ちこぼれだって!能無しのピンク目だって!」
激情。彼女の恫喝は止まらない。
「ごめん!俺ただ、君のそのピンクの目綺麗だなって.......素敵だなって思ったんだ。まさか悪口だなんて思わなくて」
「なっ.......!!!ん、じるわ」
「え?」
「信じるわよ!あんたは梨花の弟で間違いないわね!よく見るとそのぼさっとした黒髪もちょっと反抗的な目も細くて頼りなさげな肩も、よく似てるじゃないの!!」
彼女は突然意見を翻したのだった。
昨日の無人の夕暮れが嘘みたいに道のりは人(と言っても人間ではない)がまばらにいた。
やがて星寮に近付き、そこでようやく俺は違和感を察知することができた。
「ねえアルト……なんか、俺やたらと見られてない?」
アルトがふわふわの金髪を揺らして振り返り、笑う。
「そりゃそうだよ!花嫁は特別なんだって僕言ったじゃん!人間は匂いがついてないからすぐ分かるんだよ~」
「ふうん……?」
特別だ、と言う割にはその視線は突き刺さるものがある。
睨め回す、ような、上から下まで値踏みされてる、ような。そんなとてつもなく不快な視線。
アルトを急かして、梨花が住んでいたという部屋まで案内してもらう。
ついでにここはカードキーのロックなんてものはなく、玄関の管理人室に許可をもらって入っている。
さすがに女子の部屋には通されないのでは……と思ったがそんなことはなかった。花嫁は特別発言、伊達じゃない。
梨花の部屋の扉を開けると、なんと先に人がいた。窓際でプラチナブロンドが光にキラキラ反射している。
驚いて振り向いた彼女は、以前骨董屋で見かけたビスクドールのような整った顔立ちに、綺麗なピンク色の瞳をしていた。
後ろでアルトが「げっピンクアイだ」とボソッと呟く。なるほどピンクアイ。……いや、見たまんまだけど。
彼女のピンクの瞳が僅かに見開かれ、その薄桃色のぷっくりした麗しい唇から──
「アンタ誰よ!ここどこだと思ってるの!梨花の部屋にどうして男がいるのよ!信じらんない!寮監呼んでつまみ出すわよ!!」
罵倒が発せられた。
「いやあの!俺はここの部屋にいた立花梨花の弟で!決して怪しいものではないでひゅ!」
ちょっと噛んだ。
「弟ぉ~???」
その美少女は怪訝そうに俺を上から下まで眺め、
「似てないじゃない!」
ですよねー!!俺もそう思うよ!ようやく分かり合える人が来た!
「梨花はもっとおっとりしてて黒髪がツヤツヤで肩まであってなで肩だし目付きも柔らかいわ!おっぱいだって大きいしすぐ照れて赤くなるしそれでいてとってもいいにおいがするんだから!あんたと梨花の似てる所なんて気配と身長だけじゃない!!」
梨花のこと本当によく見てるなこの美少女。
「僕らにとっては気配が似てるってそれだけで充分でしょお~?」
というアルトのフォローも、「うるさい!」と一括されてしまった。
「その、落ち着いて!ピンクアイ?さん?」
「なっ.......!」
後ろであちゃ~と頭を抱える気配がする。俺何か地雷踏んだ?
「どっ.......どうせ私はピンクアイよ!あんたも私の事バカにするわけ?ヴァンパイアのくせに落ちこぼれだって!能無しのピンク目だって!」
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「なっ.......!!!ん、じるわ」
「え?」
「信じるわよ!あんたは梨花の弟で間違いないわね!よく見るとそのぼさっとした黒髪もちょっと反抗的な目も細くて頼りなさげな肩も、よく似てるじゃないの!!」
彼女は突然意見を翻したのだった。
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