12 / 12
えぴそうど11
ナミダルマン
しおりを挟む
さっきまでワーワー泣いていたミウちゃんが、とつぜん泣きやみました。そしてなにかに気づいたようにお母さんのところへとんできました。
「あのね、ミウはいま、いっぱい泣いちゃった。そしたら、なみだがいっぱいでたの。それでね、お洋服がぬれちゃった」
お母さんはまたミウちゃんの不思議ナゼナゼが始まったと思いました。
「あのね、ミウのなみださんは、どこへ行くの? お洋服かわいたら、なみださんいなくなっちゃうよ」
さあ、ここからです。ミウちゃんはお母さんをじっとみて、答えを待っています。
「ねえ、ミウちゃんは、なみだをなめたことがあるかな」
ミウちゃんはうなずいて言いました。
「うん、ちょっとしょっぱいの」
「そうだね。なみだはちょっとしょっぱいね。それじゃあ海の水もなめたらしょっぱいって知っているかな」
ミウちゃんは目をキラキラさせてうなずきました。
「そう、海の水はなみだよりいっぱい、しょっぱいねえ。なみだはかわいてお空に行って、いろんなところを旅して、そうして海に行くんだよ。だから海の水にはたくさんの人のなみだがはいっているの」
ミウちゃんは首をかしげました。
「お洋服が乾くのは、なみだが目に見えないくらいの小さな粒になってお空へのぼっていくからだよ。お空の上では、その小さな粒が集まって雲になるんだよ」
「ふわふわうかんでいる雲?」
「そう、ミウちゃんのなみだも、小さな、小さな粒になって、お空にのぼって雲になるんだよ。雲の中で小さな粒がまたくっついて、だんだん大きくなるの。大きくなると、だんだん重くなるのね。重くなったら、ふわふわとは浮かんでいられないから、雨や雪になって空から降ってくるんだよ」
「雨や雪? ミウはそんなにいっぱい泣かないよ」
お母さんは、そうだねと相槌をうちながらつづけます。
「でも、泣くのはミウだけじゃないでしょ。世界じゅうの、たくさんの人だって泣くんだよ」
ミウちゃんはふしぎに思いました。
「みんなどこか痛いの? 悲しいの?」
「泣くのは痛いときや悲しいときだけじゃないよ。お母さんは、うれしいときも泣くよ」
ミウちゃんはまだうれしくて泣いたことはありませんので、少しびっくりしました。
「そう、ミウが産まれたときも、うれしくてうれしくて、お母さんはいっぱい泣いたな。これはないしょだけれど、お父さんも泣いたんだよ」
「ミウが産まれて、うれしかった?」
「うん、お父さんもとってもうれしくて、お母さんにありがとうって言ってくれた。雨や雪には、そんななみだがいっぱいはいっているかもしれないよ」
「でも、雨はしょっぱくないよ。ミウのお口にはいったことがある」
「それは、お空へのぼっていくときに、しょっぱいものだけ置いていくからよ。しょっぱくて、重いものを置いていくから軽くなり、お空へのぼっていけるのよ。だから、雨はしょっぱくないの」
「じゃあ、雪も? 雪はなめたことない」
「雪だって雨と同じ。水が氷っちゃうくらい寒いと、雨が雪になって降ってくるんだね。だから雪はしょっぱくないよ。その雪がたくさん降ると積もって、お外が真っ白になるね」
「うん、ミウ雪の上でおすべりしたことがある」
「そうだね、すべってあそんだね。それに雪ダルマも作ったね。
さてそれじゃあ、いっぱい降った雨や雪はどこへいくのかな。雨は流れて川へいくね、そのときに置いていった涙の重いものも雨といっしょに海へ流れていくんだよ。雪も融けて水になると川へいって、それから海へいく。海でもお日さまに暖められた水は小さな粒になってお空へのぼっていき、小さなつぶは雲になり、雲から雨や雪が降って水はまた川へ流れて海へいくことを繰り返すんだね。そして何十年、何百年も前の大昔から繰り返すうちに、海の水にはなみだがいっぱい入っているんだよ」
話が大きくてミウちゃんにはわかりません。
「海は、なみだでいっぱいなの?」
「海はとっても広くて大きいから、海の水が全部なみだになることはないのよ。でも、もしかしたら雨や雪の中にミウのなみだが混じって降ることがあるかもしれないね」
ミウちゃんは自分のなみだが雨に混じって降ってくることを想像しました。
「そしたら、雨はお空が泣いているみたいだね」
「そう、雨はお空が泣いているんだね。それじゃあ雪もなみだが混じっていたら、雪ダルマはナミダルマになるね。人間みたいだから、ナミダルマンかな」
お母さんの話が面白くてミウちゃんは大笑いして、いいことを思いついたように言いました。
「こんど雪が降ったらナミダルマン作ろう、おとうさんといっしょに」
お母さんはミウちゃんが納得してくれたようで、ホッとしました。
「あのね、ミウはいま、いっぱい泣いちゃった。そしたら、なみだがいっぱいでたの。それでね、お洋服がぬれちゃった」
お母さんはまたミウちゃんの不思議ナゼナゼが始まったと思いました。
「あのね、ミウのなみださんは、どこへ行くの? お洋服かわいたら、なみださんいなくなっちゃうよ」
さあ、ここからです。ミウちゃんはお母さんをじっとみて、答えを待っています。
「ねえ、ミウちゃんは、なみだをなめたことがあるかな」
ミウちゃんはうなずいて言いました。
「うん、ちょっとしょっぱいの」
「そうだね。なみだはちょっとしょっぱいね。それじゃあ海の水もなめたらしょっぱいって知っているかな」
ミウちゃんは目をキラキラさせてうなずきました。
「そう、海の水はなみだよりいっぱい、しょっぱいねえ。なみだはかわいてお空に行って、いろんなところを旅して、そうして海に行くんだよ。だから海の水にはたくさんの人のなみだがはいっているの」
ミウちゃんは首をかしげました。
「お洋服が乾くのは、なみだが目に見えないくらいの小さな粒になってお空へのぼっていくからだよ。お空の上では、その小さな粒が集まって雲になるんだよ」
「ふわふわうかんでいる雲?」
「そう、ミウちゃんのなみだも、小さな、小さな粒になって、お空にのぼって雲になるんだよ。雲の中で小さな粒がまたくっついて、だんだん大きくなるの。大きくなると、だんだん重くなるのね。重くなったら、ふわふわとは浮かんでいられないから、雨や雪になって空から降ってくるんだよ」
「雨や雪? ミウはそんなにいっぱい泣かないよ」
お母さんは、そうだねと相槌をうちながらつづけます。
「でも、泣くのはミウだけじゃないでしょ。世界じゅうの、たくさんの人だって泣くんだよ」
ミウちゃんはふしぎに思いました。
「みんなどこか痛いの? 悲しいの?」
「泣くのは痛いときや悲しいときだけじゃないよ。お母さんは、うれしいときも泣くよ」
ミウちゃんはまだうれしくて泣いたことはありませんので、少しびっくりしました。
「そう、ミウが産まれたときも、うれしくてうれしくて、お母さんはいっぱい泣いたな。これはないしょだけれど、お父さんも泣いたんだよ」
「ミウが産まれて、うれしかった?」
「うん、お父さんもとってもうれしくて、お母さんにありがとうって言ってくれた。雨や雪には、そんななみだがいっぱいはいっているかもしれないよ」
「でも、雨はしょっぱくないよ。ミウのお口にはいったことがある」
「それは、お空へのぼっていくときに、しょっぱいものだけ置いていくからよ。しょっぱくて、重いものを置いていくから軽くなり、お空へのぼっていけるのよ。だから、雨はしょっぱくないの」
「じゃあ、雪も? 雪はなめたことない」
「雪だって雨と同じ。水が氷っちゃうくらい寒いと、雨が雪になって降ってくるんだね。だから雪はしょっぱくないよ。その雪がたくさん降ると積もって、お外が真っ白になるね」
「うん、ミウ雪の上でおすべりしたことがある」
「そうだね、すべってあそんだね。それに雪ダルマも作ったね。
さてそれじゃあ、いっぱい降った雨や雪はどこへいくのかな。雨は流れて川へいくね、そのときに置いていった涙の重いものも雨といっしょに海へ流れていくんだよ。雪も融けて水になると川へいって、それから海へいく。海でもお日さまに暖められた水は小さな粒になってお空へのぼっていき、小さなつぶは雲になり、雲から雨や雪が降って水はまた川へ流れて海へいくことを繰り返すんだね。そして何十年、何百年も前の大昔から繰り返すうちに、海の水にはなみだがいっぱい入っているんだよ」
話が大きくてミウちゃんにはわかりません。
「海は、なみだでいっぱいなの?」
「海はとっても広くて大きいから、海の水が全部なみだになることはないのよ。でも、もしかしたら雨や雪の中にミウのなみだが混じって降ることがあるかもしれないね」
ミウちゃんは自分のなみだが雨に混じって降ってくることを想像しました。
「そしたら、雨はお空が泣いているみたいだね」
「そう、雨はお空が泣いているんだね。それじゃあ雪もなみだが混じっていたら、雪ダルマはナミダルマになるね。人間みたいだから、ナミダルマンかな」
お母さんの話が面白くてミウちゃんは大笑いして、いいことを思いついたように言いました。
「こんど雪が降ったらナミダルマン作ろう、おとうさんといっしょに」
お母さんはミウちゃんが納得してくれたようで、ホッとしました。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結済み】破滅のハッピーエンドの王子妃
BBやっこ
児童書・童話
ある国は、攻め込まれ城の中まで敵国の騎士が入り込みました。その時王子妃様は?
1話目は、王家の終わり
2話めに舞台裏、魔国の騎士目線の話
さっくり読める童話風なお話を書いてみました。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
⭐︎登録お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐︎登録して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
おねしょゆうれい
ケンタシノリ
児童書・童話
べんじょの中にいるゆうれいは、ぼうやをこわがらせておねしょをさせるのが大すきです。今日も、夜中にやってきたのは……。
※この作品で使用する漢字は、小学2年生までに習う漢字を使用しています。
フツーさがしの旅
雨ノ川からもも
児童書・童話
フツーじゃない白猫と、頼れるアニキ猫の成長物語
「お前、フツーじゃないんだよ」
兄弟たちにそうからかわれ、家族のもとを飛び出した子猫は、森の中で、先輩ノラ猫「ドライト」と出会う。
ドライトに名前をもらい、一緒に生活するようになったふたり。
狩りの練習に、町へのお出かけ、そして、新しい出会い。
二匹のノラ猫を中心に描かれる、成長物語。
きぼうのうた
ながい としゆき
児童書・童話
平成元年春から平成5年春まで旭川にある知的障がい児入所施設で広報を担当していた時に、地域の方たちに少しでも関心を持って手に取って読んでいただきたいとの想いから機関誌の表紙に独断で自作の詩を掲載していた。今思うと、よくお咎めがなかったなぁと不思議!あの頃は運動会や学園展のポスターを作ってみたり、道北愛護展で売り物の大根で招き猫を作って飾ったりと結構好き勝手にやらせてもらっていました(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる