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第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 最終節 学園が始まるまで遊び尽くす五人と新たな悩み!

第71話 新しい生活に慣れないレンとレイスの相談

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 突然の出来事でついていけなかったレンは、新しい家での生活が始まっていた。

「レン様、食事が進んでいませんが、どうかしましたか?」

 クレアが心配そうに見ていた。

「いや、急にお姉さんが来たり、家が変わったから中々、生活に馴染まなくて」

 あまり豪華な部屋の為に目移りして、落ち着かなかった。

「レン、僕も最初は落ち着かなかったよ。暫くすれば慣れるよ。レンは帰って来たばかりでしょう」

 レンは昨日帰って来たばかりなので、まだ日が浅かった。

「それもそうですね、僕は普通の食事がしたいです」
「そうか、やっぱり家庭料理が良いんだね」
「なら、今晩は私が作りますわ。セリアさん、料理の指導お願いします」

 クレアがセリアに頼んでいた。

「分かったわ、一緒に作りましょう。クレアにも私達の家族料理を食べて欲しかったのよ」
「レン、たまには良いことを言うな」
「やっぱり、レンは僕達の事を理解しているよ」

 レイジとマイクが喜んでいた。食事が終わると、レン達は外に出て庭を歩いていた。

「はぁ、朝から凄いご馳走だぜ。カイトが中で苦笑いしながら、話していたよ。ちょっと多すぎないかとな」
「そうだね、僕も食べきれないよ。レイビィスも満腹だって」

 二人は朝食の様子を話していた。

「アハハッ、僕も朝からあの量は辛いよ」
「僕も食べるの大変だった。兄さんは喜んでいたけど、お腹に入らない」

 レンとレオスも朝食の量に驚いていた。

「確かにな。だけど夜はお前の家庭料理が食べれるから楽しみだよ」
「そうですね、僕も楽しみです」

 朝食や夕食を話していると、門の方から声が聞こえていた。

「早くここを開けなさい」
「アリスが叫んでいるぜ」
「そうだね、警備兵に捕まっているよ」

 声がする方を見ると、大勢の警備兵に囲まれて、事情を聞かれていた。

「無視しませんか」
「なんかアリスお姉ちゃんが可哀想」

 四人は無視して、庭を散策していると警備兵が数人やって来た。

「レン様、あちらの門にいるのは、あなたのご友人ですか」

 レンは改めて、門の方を見るとアリスが暴れていた。

「アハハッ、そうですね。これから、あの子が来たら、身分を確認しないで通して下さい」
「分かりました。おいお前ら、そこのお嬢さんを通してあげろ」

 警備兵が大声で叫ぶと、仲間の警備兵がアリスを解放してあげていた。

「酷いわ、私を無視して、庭を見ているなんて」

 アリスが怒っていた。

「いや、お前がいるとメンドー‥‥‥イテーよアリス」
「今、面倒くさいと思ったでしょう」

 アリスがファングを殴っていた。

「それにしても、この庭凄いわね」

 広大な庭を見ていた。

「凄いでしょう?」
「レイジ兄さん、クレア姉さん」

 レイジとクレアが仲良くやって来た。

「うぁ、本当に付き合っているのね」

 二人がくっついて歩いているので、アリスが驚いていた。

「アハハッ、こんな姿を君達に見られたくなかったけど仕方ないよね」
「それよりも、この庭は私が設計したのよ。レン様が魔法や剣の練習が出来るようにね。もちろん練習スペースもありますわ」

 クレアはレン達に自慢していた。

「レイジ兄さん、クレア姉さんに話したんですか」
「えっ、うん話したら、クレアが急に暴走して」
「当たり前です。こんなに可愛い弟はいませんよ。しかも銀髪なんて珍しいでしょう。それにレン様はリズワール王国の学園で魔法騎士科何でしょう。なら、レン様が学園で一番になるように手助けしないと」

 クレアは興奮していた。

 なんでレイジ兄さんはペラペラ話すんだよ。これじゃ、学園のイベントなど絶対に呼べない。

 レイジに話すと、他人にペラペラ話しそうなので、重要な事は話さないように決めた。

「それじゃ、僕とクレアは仕事だから行くね」
「レン様、お昼は専属の料理人に頼めば作ってくれますからね」
「はい、分かりました。気をつけて行って来て下さい」

 レイジとクレアは門に止めてある馬車に乗り込んで、どこかに走って行った。

「君とお兄さんとクレア王女はどこに行くのかしら」
「さぁ、国の仕事かギルド依頼に行ったんでしょう。まぁ馬車で行ったから国かな」

 レンは適当に答えていた。それから五人は庭をくまなく歩いていた。

「うぁ、スゲー、本当に練習スペースがあるぜ」
「本当だね。僕達の学園の実技で使っている道具などがあるよ」

 練習スペースには、魔法練習の的や木製の剣などが置かれていた。

「お前のお姉さん凄いな」

 ファングは練習スペースを見て驚いていた。

「まだ正式じゃないけど、その内お姉さんになるね」
「それじゃ、これからここで練習して良いよな」
「そうだね。ファングはまだ風系の特訓中だから、見てあげるよ。ちょっと椅子まで備わっているしね」
「この様子だと、外と室内用がありそうよね。雨が降っている場合の事を考えると」
「多分、あるよ。あの様子だと」

 クレアの様子を見れば、室内用の練習スペースがあってもおかしくないと思っていた。五人は一通り見終わると、外の庭園にある椅子に座っていた。

「やっぱり凄いわね。こうして、休める場所がいくつもあるから」
「そうだね。なんか別世界にいる感じだよ」
「あのうレン師匠、ちょっと話があるんですけど良いですか」
「どうしたのレイス?」

 椅子で寛いでいると、突然レイスが声を掛けていた。

「実はレン師匠に話さないといけない事があるんです」

 レイスは昨日の夜の事を四人に話していた。

「えっ、レイビィスとそんな事をしたの?」
「はい、そうです」
「なら、レイス、その究極形態モードを見せろよ」
「私も見て見たいですわ」
「僕も見たいです」

 四人はレイスを見ると、恥ずかしい仕草をしていた。

「そんな目で見ないで下さい。いまやりますから、レイビィス行くよ」

 レイスはお腹を触って合図を送ると、全身から黒い煙が吹き出して、消えるとレイスとレイビィスが混ざった少年になっていた。

「うーん、この姿は二度目か、だいぶ体に馴染んだな」

 少年は体を動かして確認していた。

「これがレイスとレイビィスが一つになった姿なのか、何だよこの威圧感は全然動けないよ」
「確かに威圧感や殺気に呑み込まれるわ」

 四人は地面に押し付けられる威圧感を感じていると、少年はレンの所に来て、顔を確認していた。

「どうしたのレン師匠、そんな地面に這いつくばる仕草をして?」

 少年は首を傾げていた。

「なんか凄い殺気や威圧感で動けないんだよ」
「ふーんそうなんだ。魔力を出し過ぎたかな。ちょっと調整する必要があるな」

 少年の目が光ると、威圧感や殺気が消えていた。

「レイス、やめろよ。何だよあの殺気と威圧感は」

 ファングがレイスに怒っていたが、レイスを名乗られた少年は否定していた。

「俺様はレイスでもレイビィスでもないよ」
「えっ、どう言う事なの?」
「俺様は二人から生みだされた人格だよ。だから俺様には名前がないんだよ。だからレン師匠、名前を頂戴?」

 少年に言われるとレンは困惑していた。

「それじゃ、レイスやレイビィスは消えたの?」

 レイスとレイビィスが死んだと思っていると、少年は完全否定していた。

「それは違うよレン師匠、俺様は二人の人格が混ざった姿何だよ。ちゃんと二人には記憶が残るよ」
「それじゃ、レイスとレイビィスじゃないか」
「確かに、君達から見ればそうだけど、俺様には二人の意思だけを受け継いだ存在だから、二人に反する事も可能だよ」
「それじゃ、僕達を殺すの?」
「殺す気になれば消せるけど、二人が許してくれないよ。ほら体が言うこと効かないから」

 少年の動きが急にぎこちなくなっていた。

「それに俺様の目を見てよ」

 少年が目を指さすと、四人が驚いていた。

「なっ、何だよあれ、左右の目の動きが違うぜ。しかも目の色も違うし」
「なんて気持ち悪いの?」

 少年の目は左右違う、動きをしていたので四人は気持ち悪そうに見ていた。

「これが二人が見ている目だよ。左目がレイビィスで右目がレイスだよ。俺様が君達を消そうと言ったから、俺様の体に制約が働いたんだよ。こんな動きされたら視点が合わないよ。体も自由に動かないし」

 少年は強引に動かそうとしていたが、二人の制約で動けなかった。

「それじゃ、君は二人が一つになって生まれたの」
「そう言う事だよ。だからレン師匠、俺様に名前を頂戴。管理は引き続きファングに任せるよ」
「分かったよ。だけど名前は分かっているハズだよ」
「俺様が名前を知っているの?」

 レンは少年に言っていたが、首を傾げていた。

「僕はレイスに言ったはずだよ。どんな姿でもレイスだってね。だから君の名前はレイだよ。ただし僕達以外はレイス・クライドとして名乗ってよ」

 レンからレイと言う名前を与えると、凄く喜んでいた。

「俺様の名前はレイ・クライドかぁ。やっぱりレン師匠に頼んでよかったよ。レイスやレイビィスの一部を取って名乗れるからな」

 名前を与えられた少年は凄く喜んでいた。

「なぁレン師匠、レイって呼んでよ」
「分かったよレイ」
「えへへ、なんか俺様嬉しいよ。レン師匠に名前で呼ばれているよ」

 レイは笑顔で答えていた。

「ねぇ、レイ君は本当にレイスとレイビィスじゃないの?」
「さっきも言ったはずだよ」
「それは違うよねレイ、だってあんな姿を僕達に見せた時点でおかしいよね」

 レイの体が自由に効かなかったなり、目の動きがおかしかったり、色々と見せていたので意味があると思っていた。

「へぇ、さすがレン師匠だよ。やっぱりバレるのか」
「それじゃ君はレイスとレイビィスなんだね」
「そうだけど、一つだけ違うよ。俺様は完全に自律している人格何だよ」
「うん、それは君が強引に体を動かず仕草をしていたから、分かるよ。君は、レイスとレイビィスで出来た第三の人格でしょう。だけど中身は二人なんだよね」

 レンがレイ向かって、的確に質問すると頷いていた。

「そう、ならレイ君の中身は二人だけど、ちゃんと自律している人格なのね」
「そうだよ。レン師匠、俺様の体に抱き付いて見てよ」

 レイに言われて、レンは首を傾げていたが、レイに抱き付くと驚いた表情をしていた。

「何これ、二つの鼓動を感じるよ」

 レイのお腹から、二つの鼓動が波打っていた。

「これで分かったでしょう。ちゃんと二人は生きているよ。だって俺様はレイスとレイビィスが融合した姿だからね」
「うん、はっきり分かったよ。ちゃんと二人はレイの中にいるんだね」
「そうだよ。だから、心配しなくても大丈夫だよ」

 レイスとレイビィスの生存を確認したので、ホッとしていた。

「それじゃ、これから宜しくねレイ」
「うん、宜しく。グー、グー」
「えっ」

 レイがお腹を空かして、険しい表情をしていた。

「アハハッ、お腹空いたよ。俺様に何か食べ物を頂戴レン師匠!」
「お前、その姿で食事するのか」

 レイの姿で食事をすると言っていたので、ファングが確認していた。

「うん、するよ。どうせ食べ物は二人の胃袋に入るから、それに味覚も感じるよ。だって俺様は二人の代弁者だからね。もちろん排尿や排便もするよ。まぁ二人分が出るけど」
「なんかファングやレオスみたいだね」
「何で俺を見るんだよ」
「レンお兄ちゃん、見ないでよ」

 フォレストとレオスの生態系に似ているので、二人を見ると怒っていた。レンは軽い食事を持って来て、レイに与えると勢い良く食べていた。

「はぁ、美味いぜ、俺様のお腹に入っていくよ。二人も喜んでいるぜ。俺様のお腹が活発に動いているだろうアハハッ」

 お腹を四人に向けて見せていた。

「お前、さっき食べただろう」
「うん、食べたけど、まだエネルギーの使い方がなれなくて、非効率何だよ。すぐに膨大なエネルギーを消費するんだ」
「それじゃ、究極形態モードの意味がないよね」

 すぐにスタミナ切れになったら、究極形態になる必要がないと考えていた。

「レン師匠、そんな事を言わないでよ。この姿になれば俺様は最強何だよ。レン師匠を除けば、俺様は誰にも負けないよ」
「何で、僕がレイより強いの、明らかにレイの方が強いよね」

 もの凄い殺気や威圧感を放っていたのに、レンが最強と言うので腑に落ちない様子だった。

「そんな事はないよ。レン師匠は‥‥‥そう、最強何だよ」
「ただレンを捨てられるのが嫌なん、ってイテーよ。どうやって俺に攻撃したんだ」

 ファングは見えない攻撃を受けて、蹲っていた。

「それ以上言うと殺すぜ」
「何だとレイ」
「ファング、やめなさい。今のレイ君には勝てないわ。恐らくレイスの武術を使ったんだわ」
「あぁ、多分、空気砲だな。しかもどうやって俺に放ったんだ。全然見えないぜ」

 ファングすら、レイの攻撃を見切れなかった。

「レン師匠は俺様に取って、特別だから最強何ですよ」
「そうなんだ。やっぱり中身はレイスなんだね。レイビィスは補助的役割かな」

 レイを見て、色々と想像していた。軽い食事が終わるとレイはレンに頼み事をしていた。

「レン師匠、頼みがあります。俺様が完全に力が制御出来るまで、毎日三十分程度修業しても良いですか?」
「僕は構わないけど、それは二人の意思なの?」

 レイを見て確認していた。

「レン師匠、俺様は二人の代弁者だって言いましたよね。俺様は二人の人格なんですよ」
「そうなんだ。なら頑張りな」
「はい、早く制御して、レン師匠に俺様の力を見せたいです。それともう一つ頼んで良いですか?」
「良いけど、どうしたの深刻な表情をして」

 レイが急に深刻な表情をしていたので、レンは首を傾げていた。

「レン師匠、二人の事を宜しく頼みます。俺様は二人のシンクロが合わないと、自由に体を動かせないので、常に二人のメンタルを見て欲しいんです。お願いします」

 レイはレンに向かって頭を下げで頼んでいた。

「そうだねレイは二人から生まれたから、喧嘩したらぎこちない動きになるよね」
「はい、だから二人を宜しくお願いします。本来ならレイスとレイビィスが自己管理しないといけないんですけど、レン師匠にも見て欲しいんです」
「分かったよ。この事は二人に言っておくよ」
「いえ大丈夫ですよ。二人には聞こえていますから、だって俺様はレイスとレイビィスですからね。これは二人の頼み何ですよ」
「なんかややこしいな」
「そうよね」

 レイの説明を聞いて、ファングとアリスが混乱していた。

「まぁ、深く考えない方が良いよ。ファング、アリス。簡単に言えば、二人の意思が一つにならないとレイを維持するのは無理なんだよね」
「その通りですよ、レン師匠、さすがです。それじゃ俺様は戻りますね。レン師匠、また会いましょう」
「ちょっと抱き付いて、戻るの?」

 レイはレンに抱き付くと黒い煙が全身から吹き出して、元の姿に戻っていた。

「すみませんレン師匠、抱き付いてしまって」

 元に戻ったレイスが慌てていた。

「大丈夫だけど、レイスの方は大丈夫なの?」
「はい、問題ないですよ。だけどあの姿になると自分で無くなりますよ。ちゃんとレン師匠が見えているのに、僕は完全にレイとして行動しているのが分かりますよ。もちろんレイビィスも同じ感覚で同じ気持ちです」

 レイスはレイの姿になっていた時の、感覚を思い出していた。
 
「お前、ちゃんと記憶や感覚を覚えているのか」
「はい覚えていますよ。食事をした事やファングさんに攻撃した事などね。ファングさんに攻撃した事は謝りますよ。だけど、レン師匠にあんな事を言うのが悪いんですよ」

 レイスはファングに注意していた。

「なら良いけど、レイが言っていた事は全部本当なの?」
「はい、本当ですよ。レイは僕とレイビィスが生み出した人格で、僕とレイビィスの声の代弁者ですよ。だけど正体は僕とレイビィスですけどね」

 レンはレイが言っていた事を確認したが、本当だと言っていたので、信じる事にしていた。

「ならレイスは早く究極形態モードを自分の力にしないとね」
「分かっていますよ。意外と二人で動かしたり、魔力の調整が大変何ですよ。なんと言うかレイビィスの肉体が中々馴染まないんですよ」

 レン達は再び庭を歩きながら話していた。

「仕方ないだろう。お前は人間で俺様は魔神族なんだから」

 レンとの会話が終わったのを確認すると、気付かれないようにレイビィスがレイスの頭に話し掛けていた。

「それはそうですが、あまりレン師匠の負担を掛けないで下さいよ」
「お前は言いたい放題だな。だけど二回目にしては色々試せたよな」
「そうですね。食事も出来ましたから、暫くはレイの姿で体を慣らすのも良いと思いますね」
「それは無理だろう。レン様に三十分間だと伝えたよな」
「そうですね。もう少し延ばした方がよかったかな。今度は排尿や排便を確認しよう」
「そうだな。色々と確認することは色々あるしな。魔神族の魔法やお前の能力などな」

 レンの知らない所で、二人はレイになった時の事を考えていた。

「それじゃ、庭も全部見たから、久しぶりに街中に行こうか」
「そうね。お昼は私が見つけた、食事処に行かない」
「そうですね。お腹が空いて来ましたよ」
「お前はさっき食べただろう」
「あれはレイですよ」
「嘘をつくなよ」
「アハハッ、それじゃ行こうか」

 五人はリノワール王国の街中に行こうとしていた。

「それじゃ警備兵さん、僕の家族に何か聞かれたら、街中に遊びに行ったと伝えて下さい」
「分かりましたレン様、気をつけて遊んで下さいよ」

 門にいる警備兵に伝言を伝えると、五人は街中の方に向かって歩いているのだった。
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