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第二章 幼少期~領地編
27.ステータス
しおりを挟む私のステータスを見て、しばらく固まっていたお爺様達は、どうしてこのようなステータスになったのかを知りたがった。そこで、簡潔な説明をしたのだが、端折りすぎじゃっ!と叫ばれてしまった。
(うーーーん。だって他に説明のしようがないよね? ねっ??)
《アル。クワシイシェチュメイ、デキリュノ?》
(うん? 無理!)
ルカが寝ながら話を聞いていたらしく、確認してきた。
まだ詳しい説明をしてほしそうなお爺様達にも言う。
「お爺様。本当にそれだけなのです。魔法に関しては、魔力制御を覚えてから、魔法を繰り返し繰り返し毎日使ってみました。そうしたらこのステータスになったんです。もちろん本をたくさん読んで知識も得ました。さらには、シュテファン先生とリヒト先生に出会えたことが大きかったのだと思います。一歳の子供の質問にも真剣に答えていただき、お兄様達と変わらずにご教授いただきました。
武術に関しては、身体強化が使えるようになったこと。この一点に尽きます。身体が小さく軽いのはどうしようもありませんが、訓練中ずっと身体強化を使えるようになって、いろいろな面で飛躍的に伸びています」
本当に特別なことはしていないんだよね。始めるのが少し早かっただけだと思っている。後はただひたすらやり続けたからだと思うけど、それもある種の能力なのかな?
まあ、伸び率は大きかったんだろうし、スキルの習得もやればやるだけできたけれど。うん?…これなのかなぁ? …まぁいっか。何もわからないことにしとこう…。
お爺様達は、納得していなさそうだけれど、話が先に進まないので終わりにする。
「今、ステータスをお見せしたのは、まずは私の言葉を信じていただきたいためです。次に、特産品にすることを真剣に考えていただきたいため、最後に、私に助言と協力をしていただきたいためです」
「ふむ。一つ目、二つ目はわかったが、最後のはなんでじゃ?」
「はい。私のステータスは、お父様、お母様とお兄様達とセバスとサラには全部見せております。後はシュテファン先生とリヒト先生は知っています。自分一人では判断がつかないことを相談するためと、このステータスによって起こる様々な事柄に協力していただくためです。えっと、私の年齢ではおかしい事柄も多いので…」
「…………。そうか……」
「まあ、あなた。なんです? このステータスは、アルフォンスが頑張った結果でしょう? 喜んで褒めるべきものでしょう! 何を躊躇しているんですか? もう!!
アルフォンス。素晴らしいステータスです。頑張りましたね。よく教えてくれましたね。私達も協力は惜しみませんよ。
あなた! アルの持ってきた化粧水などは、我が領地で生産することでよろしいですわね?
エルンスト! アルフォンスに聞いて、すぐに必要な経費の試算をお願いね!」
「はい、畏まりました。奥様」
「ぅ…うむ。わかった。そうしよう。 アルフォンス、すまなんだ。 少し戸惑ってしまった私を許しておくれ。 お前は本当に可愛い孫なんじゃ。喜んで助言も協力もするぞ!?」
「いいえ。気にしておりません。お爺様、お婆様。ありがとうございます」
お爺様の戸惑いには気づいていたが、最終的には受け入れてくれたからホッとした。お婆様が逆に豪胆なんだって驚いた。お爺様達の力関係も垣間見えたし…。
ないとは思っていても、恐れられる心配も僅かにあったから、大好きなお爺様達に受け入れられて本当に嬉しかった。
段々と人間離れをしていくステータスを見ると、将来ラクができるかもって嬉しく思う反面、怖がられたらどうしよう?親しい人に距離を置かれたら嫌だな?って不安に思うことも増えた。
身内限定だけど、ステータスを見せて相談したりするのは、そんな気持ちの表れなのかもしれない。だって、現在のステータスを隠そうと思えば難なくできる。ほとんどの人には、<隠蔽>で“偽装”したことは見破れなくなっているからね。
身体や能力と同じように、自分の心の強度も上がってほしいなって思う時があるんだ。
でも、精神力までが人間離れしてしまったら…。
そんなことをボーっと考えつつ、エルンストに生産に必要な器具・設備・材料・スキルを教えて、お爺様達と初めはどのくらいの規模で操業するのかを相談していった。
それと同時に、薬草園の規模を拡大することも提案してみた。
カネッティ領は水が綺麗だし、森には多種多様な薬草が自生している。薬草が育つのに適した気候風土なんだと思う。
薬草園の規模を拡大することで、化粧水やシャンプーなどの材料の確保と同時に、調合薬を浸透させたいし、薬草学に基づく考え方を広めて、公衆衛生を徹底し病気の予防にもつなげたいと思っている。
昼近くに、ようやく生産計画がまとまった。
特産品の生産と薬草園の規模拡大で、雇用も増やせそうだ。
手が回らなくなりつつあった、シャンプーや化粧水などの生産の目処が付いて、肩の荷が下りた気がする。後はお爺様達に任せればいい。
いつの間にか、退屈そうにしていたルカが部屋からいなくなっていた。
少し前から、リヒト先生の魔力を感じるから、先生が到着したので遊んでもらいに行ったのだろう。
ちょうどお腹も減ったし、私もリヒト先生に挨拶に行こう。
午後は武術の訓練だっけ? 先生と街に出たいな…。聞いてみようかな?
でも、レオンの訓練もあるしな…。
滞在中にやりたいことはたくさんあるんだ。
まずは、お尻の救済のために馬車の改造でしょ? それから屋敷の魔道具を手直しするでしょ? 他にも領地の整備も考えたいでしょ? そのためにも視察が必要だよね。
魔石がたくさん必要だから、狩りにも行きたいし…。二ヶ月でできるかな?
まずはリヒト先生に挨拶して、滞在中の計画を相談だね。他の街や村のこっそり視察も相談しなくちゃ! フフフッ。楽しみ~♪
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