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第一章 幼少期
21.空間転移
しおりを挟む練って練って練って○○○~♪
もっともっともっと練って○○○~♪
ウフフフフッ♪
思わずフンフンと鼻歌を歌いながら、何をしているかというと、無限収納スキルの練度を上げているんだよ~。
無限収納って名前だけど、魔力量が凄く多くても、練度が低いと無限にならないの…。小さい容量で固定されちゃうの。だから、練度をうんとうんと上げて無限になあれって念じて、消費魔力も少なくして固定するといいのかな~と思ってやっているんだ。
でも、シュテファン先生に聞いたら、『フォフォフォッ、普通はそんなことはできんのぉ~』だって…。
でもでも、試したら容量大きくできちゃったんだもん。もっと大きくするべく、やらない手はないよねー。
空間転移もいろいろ試してるよ。
短距離転移は、手から手に転移させるところから始めて、部屋の中、屋敷の中って感じ。小さなものから、生き物(自分やルカだよ)まで試して成功してる。今では、図書室行くのに毎回コッソリ使っているんだ。
さて、いよいよ長距離転移なんだけど…。どうやって試そうか…?
うんうん唸って悩んでいたら、シュテファン先生が『リヒトと一緒ならいいじゃろ』ってお母様の許可を取ってくれたんだ。
リヒト先生も空間転移スキルの持ち主のようだ。魔法士団の長距離の集団転移もやっているらしいから、魔力量も多くて熟練なんだと思う。
先生達には<鑑定>をかけたことがない。たぶん、私の魔力量の方が多くても、隠蔽や鑑定スキルを持っていて、Lvも違いすぎて見れない気がするんだよね。
今日は、リヒト先生と長距離転移の練習だ。普段着にローブだけで良いと言うので、ケモ耳付きローブを羽織っている。
屋敷には結界が施されているらしく、部屋から外へは飛べないようだ。非常に残念だ…。
なので、裏庭から飛ぶことになった。
「用意はいいか?」
「はい。お願いします」
一瞬の浮遊感の後に五感が戻る。
(うーわっ。ヤバっ!気持ち悪い!!私ってば乗り物酔いするんだった。前世はエレベーターも酔うんだったよ。これ、慣れるんだろうか…?慣れるまで飛ぶしかないか!?)
感覚を掴むために、最初に連れて行ってくれたのが、魔法士団の先生の研究室だった。
各自、自分の研究室だけには、転移が認められているらしい。
意外にこざっぱりとしている。書類とかいろいろ散乱しているかと思ったんだが…。
キョロキョロしていたら、先生はデフォルトの無表情に面白そうな眼差しで観察していたらしい。
「意外か?」
「うっ……はい」
「爺様の部屋は紙が散乱してるぞ?」
「えっ?そっちの方が意外です」
「フフッ。次行くぞ」
「はい!」
リヒト先生も転移は無詠唱なんだ。だから『行くぞ』って言われたら、すぐ構えないと私がマズいんだけど…、間に合わなかったみたい。うっぷ……気持ちわる…。
次に連れて行ってくれたのは、大きな湖が見える庭園だった。
(えーっ。ここどこだろ……?)
キョロキョロしていたら、やっぱり先生は無表情に面白そうな眼差しで観察していたようだ。
「フフフッ。ここがわからないか?」
「はい……?」
「あっちを見てみろ」
そう言って指さした方向を見ると、辛うじて見える湖の向こう側。断崖の上に米粒のようなお城が見えた。
(うわーっ。湖の対岸に来たのか?この距離を二人で飛ぶ?すっごーいっ!!!)
王都から巨大な湖の対岸まで飛んだ先生に驚いて、ポカンと口を開けていたらしい。
先生にあごの下を押されてパクンと口を閉じた。
湖周辺の一帯は王領になっているはずだけど、高位貴族の別荘はあったはず。
「先生。ここはどちらのお屋敷ですか?」
「爺様の」
「えっ?」
「爺様の別荘だから心配いらない」
(いや、それじゃわからんて……)
シュテファン先生、高位貴族だったのか?
そういえば、初めての時、名前を聞いたルー兄様が挙動不審だったっけ…?
でも、家名が全然記憶にない……。
(まっ、いっかー!そのうちわかるだろうしね)
それから、お昼をいただいて、綺麗に手入れされている庭園の中に薬草園を見つけたりと、興味深く庭園探検を楽しんだ。
別荘地で、屋外では初めての短~中距離転移を何度も練習して、夕方、リヒト先生に屋敷の裏庭に飛んでもらった。
早くあの距離を飛べるようになりたいな。今日で感覚は掴めたと思うから、明日から練習頑張ろ。
長距離転移が出来れば、フフフッ。いろんなことが出来るようになる。楽できるし~♪移動時間いらないし~♪
翌日は、リヒト先生と一緒に、少しずつ距離を延ばしながら飛んでいった。
「アル君は、魔力量の心配がいらないのがいい。後は、自分以外の生き物を確実に運べるようにコツを掴むことだ」
「えっ。先生と一緒に飛べてますよね?」
「いや。何度かヤバかった。ミンチになりかけた」
「っう。申し訳ありません」
「いや、いい。練習だから。但し、いざ自分一人で生き物を運ぶ時に失敗は許されない。しばらくは一人で飛ぶことだ。…あっ、ルカは一緒に飛んで大丈夫だ。失敗しても自分で修正するから」
「わかりました。しばらくはルカとだけにします」
「うん。そうしなさい」
「ありがとうございました」
「お疲れ様」
と言って、リヒト先生は転移していった。
長距離転移を呼吸するように自在に操る先生を、早くああなりたいと思いながら見送った。
練って練って練って○○○~♪
もっともっともっと練って○○○~♪
ウフフフフッ♪
あれからも、毎日無限収納スキルの練度を上げているんだよ~。
もう『無限』で固定できるみたいだ。なんかね、わかるの…。
よ~し。固定っと!
ほーっ、できました~♪パフパフ♪ はぁ~、よかったぁ…。
だって、生きてる物以外なら何でも入れることができるんだよ。凄いと思わない?時間経過がないから、氷だって熱湯だって入れた時の状態のままなんだ。もちろん鮮度もだからね。食べ物とか薬草とか狩りの獲物とか、ホント助かりそう。
もちろん長距離転移も練習している。やっぱりコッソリだけど…。距離は湖の向こうまで飛べるようになった。
早朝とか食休みに、ルカと一緒に飛んでみている。
ルカの話では、初めのころは失敗もあったけれど、最近の転移は全部成功しているそうだ。ルカが手を加えなくても飛べているらしい。ホッと一安心だ。
もっと練習して他の人を連れて飛べるようにならないとね。だって旅行に行くとき楽じゃないか?
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