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第一章
王太子と罰
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「社長、さかえ銀行から電話よ。大事な話があるから本店にすぐにきて欲しいって」
「なんだろうな。今までに呼び出しなんてなかったのに」
社長と奥様は、少し話し合って社長ひとりで銀行に向かうことになり、花屋の裏に停めている配達車で銀行にむかった。
なにかあったのかと心配しつつも、奥様も私もいつも通り花屋の仕事を続けていたが、しばらくすると店奥の電話が鳴った。
奥様が電話をとり、話し方から相手が社長であることがわかった。最初は穏やかに話していた奥様の声色が、突然変わった。
「融資の一括返済を求められた?一体どういうこと?」
奥様は私の様子をちらっと見ると、私に聞こえないようにするためか、小さな声で喋り始めた。
銀行から突然一括返済を求められるとは、事業がうまくいっていないことなどが原因なのではないかと思う。
ただこの花屋は、経営が傾くほどの問題は無いはずだ。そもそもどのくらいの融資を受けているのか、私は全く知らなかった。
奥様は帰ってから家で話しましょうと社長に一言言うと受話器を置いた。
「さっきの電話は社長からですか?」
「そうなの。仕事が終わってから社長とちゃんと話してみるわ。」
いつもは陽気な奥様が少し不安そうな表情でそう答えた。
私はその話を深く聞くのが怖くて、会話を続けるのをやめた。
奥様も私も、いつも通りに仕事をこなし、閉店までの時間を過ごした。
仕事を終え、スーパーにより夜ご飯の材料を買い込み、アパートに戻った。
夜ご飯を作り、テレビを付けると、珀斗王太子が映ったニュースが流れていた。
珀斗王太子は、国防の総司令官であり、近頃は度々ニュースで取り上げられることもあった。
珀斗王太子は会見の場には出ていなかったものの、広報官は隣国である深国との戦争の可能性について言及していた。
「こんな人とはもう関わらないほうがいい」
誰に聞かれることもない独り言を言って、テレビのチャンネルを変えた。
珀斗王太子に何度か接見し、脅迫に似たことをされたことで、妙に現実味を感じ怖くなっている自分がいた。
運良く瑛斗王子に助けられて帰宅が叶ったが、珀斗王太子になんの許可も得ずに帰ったことで、逆鱗に触れてしまった可能性もある。
ただ、結婚などできるわけがないのだから、自分の決断が正しかったと思いたい。
私は、もう何も考えたくないと、早々に眠ることにした。
「なんだろうな。今までに呼び出しなんてなかったのに」
社長と奥様は、少し話し合って社長ひとりで銀行に向かうことになり、花屋の裏に停めている配達車で銀行にむかった。
なにかあったのかと心配しつつも、奥様も私もいつも通り花屋の仕事を続けていたが、しばらくすると店奥の電話が鳴った。
奥様が電話をとり、話し方から相手が社長であることがわかった。最初は穏やかに話していた奥様の声色が、突然変わった。
「融資の一括返済を求められた?一体どういうこと?」
奥様は私の様子をちらっと見ると、私に聞こえないようにするためか、小さな声で喋り始めた。
銀行から突然一括返済を求められるとは、事業がうまくいっていないことなどが原因なのではないかと思う。
ただこの花屋は、経営が傾くほどの問題は無いはずだ。そもそもどのくらいの融資を受けているのか、私は全く知らなかった。
奥様は帰ってから家で話しましょうと社長に一言言うと受話器を置いた。
「さっきの電話は社長からですか?」
「そうなの。仕事が終わってから社長とちゃんと話してみるわ。」
いつもは陽気な奥様が少し不安そうな表情でそう答えた。
私はその話を深く聞くのが怖くて、会話を続けるのをやめた。
奥様も私も、いつも通りに仕事をこなし、閉店までの時間を過ごした。
仕事を終え、スーパーにより夜ご飯の材料を買い込み、アパートに戻った。
夜ご飯を作り、テレビを付けると、珀斗王太子が映ったニュースが流れていた。
珀斗王太子は、国防の総司令官であり、近頃は度々ニュースで取り上げられることもあった。
珀斗王太子は会見の場には出ていなかったものの、広報官は隣国である深国との戦争の可能性について言及していた。
「こんな人とはもう関わらないほうがいい」
誰に聞かれることもない独り言を言って、テレビのチャンネルを変えた。
珀斗王太子に何度か接見し、脅迫に似たことをされたことで、妙に現実味を感じ怖くなっている自分がいた。
運良く瑛斗王子に助けられて帰宅が叶ったが、珀斗王太子になんの許可も得ずに帰ったことで、逆鱗に触れてしまった可能性もある。
ただ、結婚などできるわけがないのだから、自分の決断が正しかったと思いたい。
私は、もう何も考えたくないと、早々に眠ることにした。
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