28 / 47
第一章
王子と帰宅
しおりを挟む
瑛斗王子に頼れたことは、神の救いだった。
珀斗王太子には、もちろん帰りたいなど通用しないし、王室の担当官たちも、王太子の許可なしには何も動けない。
同じ王族である瑛斗王子であれば、なんとかなるかもしれない。
そう信じて、王子に帰宅できるようにしてほしいとお願いしたところ、あっさりと許可してくれた。
また、幸いなことに、本日の午前中にはここを出ることができるらしい。
約束の時間となった午前11時、瑛斗王子が迎えに来てくれた。
私を部屋の外で監視していたSPや担当官は、私の帰宅を全く知らされていなかったようで、慌てていたが、王子に逆らうことは許されず、なす術はない。
私は瑛斗王子の後ろを歩いて玄関先で待機していた車に乗り込んだ。
「プライベートジェットを手配してるから、3時には元の家に帰れると思うよ。しばらくゆっくりしててね。あとは任せてね」
「え、プライベートジェットって…」
「また近々会おうね」
王子は、そう言ってにこやかに私を送り出した。
車で空港に向かうと、本当に小型の飛行機に乗って、私が住む地元の空港に降り立った。
空港から自宅も、車が手配されており、何一つ無駄がない行程だった。
自宅に到着した私は、珀斗王子になにもいわずに宮殿を出たことを気にしていた。これでは火に油を注いだと言っても過言ではない。
ただ、自分を守るには、あの場から離れる必要があったし、あのままで自由が手に入ることはなかったはずだ。
そして、次に宮殿に呼ばれても、もう騙されまいと、決意を固めた。
突然帰ってきたからか、警備の数もとても少ないようだから、これからはとりあえずいつもの日常に戻ろう。
花屋に顔を出して、迷惑をかけてしまったこともお詫びしなければいけない。
私は、しばらくして、花屋に向かった。
「小春ちゃん!電話も繋がらなかったから今から家に向かおうと思ってたところだったよ!」
「本当にすみませんでした。携帯を紛失してしまっていて警察に行っていたんです…」
「そうだったのか。携帯が見つかるといいね」
遅刻の理由を嘘で誤魔化して、なんとかその場をしのいだ。
私はすぐに仕事を始めた。
珀斗王太子には、もちろん帰りたいなど通用しないし、王室の担当官たちも、王太子の許可なしには何も動けない。
同じ王族である瑛斗王子であれば、なんとかなるかもしれない。
そう信じて、王子に帰宅できるようにしてほしいとお願いしたところ、あっさりと許可してくれた。
また、幸いなことに、本日の午前中にはここを出ることができるらしい。
約束の時間となった午前11時、瑛斗王子が迎えに来てくれた。
私を部屋の外で監視していたSPや担当官は、私の帰宅を全く知らされていなかったようで、慌てていたが、王子に逆らうことは許されず、なす術はない。
私は瑛斗王子の後ろを歩いて玄関先で待機していた車に乗り込んだ。
「プライベートジェットを手配してるから、3時には元の家に帰れると思うよ。しばらくゆっくりしててね。あとは任せてね」
「え、プライベートジェットって…」
「また近々会おうね」
王子は、そう言ってにこやかに私を送り出した。
車で空港に向かうと、本当に小型の飛行機に乗って、私が住む地元の空港に降り立った。
空港から自宅も、車が手配されており、何一つ無駄がない行程だった。
自宅に到着した私は、珀斗王子になにもいわずに宮殿を出たことを気にしていた。これでは火に油を注いだと言っても過言ではない。
ただ、自分を守るには、あの場から離れる必要があったし、あのままで自由が手に入ることはなかったはずだ。
そして、次に宮殿に呼ばれても、もう騙されまいと、決意を固めた。
突然帰ってきたからか、警備の数もとても少ないようだから、これからはとりあえずいつもの日常に戻ろう。
花屋に顔を出して、迷惑をかけてしまったこともお詫びしなければいけない。
私は、しばらくして、花屋に向かった。
「小春ちゃん!電話も繋がらなかったから今から家に向かおうと思ってたところだったよ!」
「本当にすみませんでした。携帯を紛失してしまっていて警察に行っていたんです…」
「そうだったのか。携帯が見つかるといいね」
遅刻の理由を嘘で誤魔化して、なんとかその場をしのいだ。
私はすぐに仕事を始めた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説


私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる