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第一章
王立ホテル
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白の軍服姿の男性が、ゆっくりと私に近づいてくる。
王太子の後ろにも2人の侍従らしき人がいて、大男3人の圧力を感じる。
顔を見てはいけないと、私は立ち尽くしたまま王太子の足元だけをみつめ、とにかく固まっていた。
王太子との距離は、おそらく2メートル程度だが、あまりの覇気に、私は思わず後退りしてしまう。
「王太子の珀斗(ハクト)だ。」
「…あ、えっと…。は、はい、殿下、おめ、お目にかかれて光栄です…」
私は、しどろもどろになりながら、担当官に教えられたとおりの言葉を発した。
「顔を上げろ」
「はい、殿下」
私は意を決して、王太子の顔を見上げた。
大きな目に、キリッとした眉毛。スッとした鼻筋と、少し焼けたの肌。
整えられている短髪のヘアスタイルが、よく似合う。
そして、165cmの私が見上げるほどの高身長で、軍服を着ていてもわかる鍛えられた肉体。
白い軍服には、いくつかの装飾が付いており、私の知らない数々の勲章や階級を表しているようだ。
テレビや新聞で何度も見たことがあり、初めて見たわけではないが、近くで見ると衝撃を受けるほどの美男で、息をすることを忘れてしまう。
そんな人に見つめられ、心臓の脈が一気に上がり、卒倒してしまいそうだ。
「お前が、嬉野小春だな」
「は、はい、殿下」
王太子の一言一言にビクビクとしながら、粗相のないよういつもより控えめに声を出す。
王太子も、立場上、萎縮してるい国民との接し方には慣れているのか、終始落ち着いた声色で私に話しかける。
「時間がないから簡潔に言う。」
「はい、殿下」
「お前と結婚する。これからは宮殿に住め」
「え…?」
目の前の状況が全く理解出来ず、固まる私を他所に、王太子とその侍従は、話を続ける。
「おい、あとのことは任せた。」
「すぐに王室入りの準備を進めさせていただきます」
「俺が外遊から帰国するまでに、完了しろ」
「かしこまりました」
王太子はすぐに部屋を出て、取り残された私はなす術もなく立ち尽くす。
「ようやく王太子殿下が結婚を決心されて、安心しました。これから、すぐに準備を始めましょう」
「すみません、何かの間違いではないでしょうか?」
「殿下が日本にご帰国されるのが、二週間後ですので、それまでに間に合わせなくては」
「あの、私の質問は聞こえていますでしょうか?」
「王太子妃殿下、どうぞこちらへ」
王太子の後ろにも2人の侍従らしき人がいて、大男3人の圧力を感じる。
顔を見てはいけないと、私は立ち尽くしたまま王太子の足元だけをみつめ、とにかく固まっていた。
王太子との距離は、おそらく2メートル程度だが、あまりの覇気に、私は思わず後退りしてしまう。
「王太子の珀斗(ハクト)だ。」
「…あ、えっと…。は、はい、殿下、おめ、お目にかかれて光栄です…」
私は、しどろもどろになりながら、担当官に教えられたとおりの言葉を発した。
「顔を上げろ」
「はい、殿下」
私は意を決して、王太子の顔を見上げた。
大きな目に、キリッとした眉毛。スッとした鼻筋と、少し焼けたの肌。
整えられている短髪のヘアスタイルが、よく似合う。
そして、165cmの私が見上げるほどの高身長で、軍服を着ていてもわかる鍛えられた肉体。
白い軍服には、いくつかの装飾が付いており、私の知らない数々の勲章や階級を表しているようだ。
テレビや新聞で何度も見たことがあり、初めて見たわけではないが、近くで見ると衝撃を受けるほどの美男で、息をすることを忘れてしまう。
そんな人に見つめられ、心臓の脈が一気に上がり、卒倒してしまいそうだ。
「お前が、嬉野小春だな」
「は、はい、殿下」
王太子の一言一言にビクビクとしながら、粗相のないよういつもより控えめに声を出す。
王太子も、立場上、萎縮してるい国民との接し方には慣れているのか、終始落ち着いた声色で私に話しかける。
「時間がないから簡潔に言う。」
「はい、殿下」
「お前と結婚する。これからは宮殿に住め」
「え…?」
目の前の状況が全く理解出来ず、固まる私を他所に、王太子とその侍従は、話を続ける。
「おい、あとのことは任せた。」
「すぐに王室入りの準備を進めさせていただきます」
「俺が外遊から帰国するまでに、完了しろ」
「かしこまりました」
王太子はすぐに部屋を出て、取り残された私はなす術もなく立ち尽くす。
「ようやく王太子殿下が結婚を決心されて、安心しました。これから、すぐに準備を始めましょう」
「すみません、何かの間違いではないでしょうか?」
「殿下が日本にご帰国されるのが、二週間後ですので、それまでに間に合わせなくては」
「あの、私の質問は聞こえていますでしょうか?」
「王太子妃殿下、どうぞこちらへ」
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