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女学校時代②友情
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「それホンマにフミさんなん!?」
女学校時代の最初の話を聞いて驚く朝子。
「失礼やな~。ホンマにうちやで?」
「そんなにお淑やかで箱入り娘なフミさん想像出来ひんねんけど!」
「ま、否定派せんしできんけどなー」
にやにやと楽しそうにフミは笑う。
「ずーっと長いこと箱入り娘やっとったからねえ。そろそろ勉強しに行ったらええんちゃうか?って今の家お父ちゃんが買ってんよ」
「そういうことやってんなあ」
朝子はいまいち目の前のフミと女学校に入学したての時のフミが重ならず、混乱しているようだった。
そしてフミはまたゆっくり話しだした。
「お昼ごはん中庭でもええかー?」
「ええよー。縁側のところやろ?」
フミは何が何だかわからないと言いたげな顔で二人を見つめた。
「ここ、来たこと無かったやろ?」
中庭につくと何組かの女子生徒が中庭に腰かけてお昼を食べていた。
フミの通っていた女学校には中庭があり、縁側に座ってお昼を食べていいことになっていたのだ。
「来た事無かったです。ありがとうございます」
ニコニコと笑うフミを見守るタヱとキヨ。
初めてのお友達とのお昼ごはんだった。
「しかし、びっくりしたわー。ほんまに良家のお嬢さんやってんなー」
キヨが言っている意味がよくわからず首を思わず傾げてしまうフミ。
「え、あんたまさかなにも知らずに声掛けたん?」
タヱが信じられないと言う目でキヨを見る。
「まー、そうやろうなぁとは思っててんよ」
「勘なの……?」
「うん、まあなー」
「フミがわけわからんって固まっちゃったで!?」
名前を呼ばれるまで、記憶がなかった気がする。
なんとか正気を取り戻し、曲げわっぱのお弁当箱を開けてから話題を振る。
「そういえば、キヨさんはどこの生まれなんですか?」
「そんな固い言葉言わんと関西弁つかったらええやーん!」
バンバンとフミの背中を叩くキヨ。
思わず口の中に入れた卵焼きを喉に詰まらせてしまい蒸せるフミ。
慌ててタヱがフミにお茶を飲ませる。
「あ、ありがとう」
「もーちっと女の子らしい声の掛け方出来んかねアンタは!」
しばらくしてフミが落ち着くと話を始めた。
「私、こちらの方に何度か訪れた事はあっても定住した事はなくて……。失礼があったらいけないと思いまして」
慌てて話をするフミは歳相応の女の子に見える。
「ま、慣れてったらええやん。キヨこんなんやけど相手のことは尊重するタイプやし」
ニコニコと笑うタヱに助けられる。
「せやな。ま、ウチらの前だけでも言葉崩してったらええで?」
「わかっ……た?」
「ん。よく出来んじゃん!」
「んでー?キヨの産まれのこと話してもええんちゃう?」
「あー、すまんすまん。なんかウチはずっと田舎で農業しとったんやけどさ、親戚のうちに養子行くことになってんよ」
「それで女学校に?」
「そそ、田舎じゃ珍しい話じゃないで?良い家柄の男の人と結婚しろってさ」
淡々と話すキヨ。
「結婚てそんなに良いもんなのかも、女学校にいく意味があるのかもうちには分からん。うちが好きなんは自由やから」
「自由か……」
父には苦労を掛けたからお前にはやりたい事をやらせてあげたい。自由にさせてあげたい。と言われたものの自由がなんなのか、フミには分からずにいた。
「でもどうせこれから縛られるんだったら女学校で好き勝手して遊んで楽しんだもん勝ちなんやないかなぁとも思ってん」
「せやからって先生に怒られることばっかりすんのは関心せんでー」
「怒られてもええやんけ!なんも減るもんちゃうしー」
「ダメだこりゃ。こうにはなっちゃダメだからね、フミ」
「はーい」
「なんや人のこと反面教師みたいに言いよってからに」
「実際反面教師やし?ほんまにしょーもない」
「うっ……。悪かったってばこれから気をつける」
「ふふっ。2人とも本当に仲がいいのねー」
少しずつ外れていくフミの敬語。
「ま、腐れ縁ってやつかしらねー。私も同じ感じやし?」
「うちら幼馴染やってんなー」
「家も隣同士、尋常小学校も同じ」
「おまけに女学校もかよ!って感じだよ」
「羨ましいよ。私は2人が」
「そうなん?」
「ずーっと箱入り娘で友だち作る機会も無かったしひとりぼっちやったから」
何不自由もなく勉強をして衣食住があって。
だけれど、家族の都合で引っ越さないといけなくて。
ずっとずっと孤独な生活を送っていたフミからしたら友だちというものがとてつもなく贅沢なものに見えるのだ。
「なんの苦労もしてないから羨ましいなんて言ったらいけないのかもしれないけどね」
少しだけ寂しそうに笑うフミにキヨとタエが叫ぶ。
「「それはちゃうやろ!」」
「え?」
「何かしらみんな違う悩み抱えてるんやから私は恵まれてるから私の悩みなんてって嘘ついたらあかん。それは素直に寂しかったって言ってええんやで」
「……そっかぁ」
やっと、友だちを作る意味が、父が女学校に通わせてくれた意味が少しだけ分かった気がする。
「せやから一緒に悪いことたくさんしよーぜー!」
「それは私がさせません!」
「ふふっ、あはははっ」
なんだか可笑しくなって笑いが止まらなくなってしまう。
「そうやなー、楽しんだもん勝ちやもんね!」
「これからウチら3人、仲良くしてこうぜ!」
「うん!」
こうしてフミの学校生活が始まったのだった。
女学校時代の最初の話を聞いて驚く朝子。
「失礼やな~。ホンマにうちやで?」
「そんなにお淑やかで箱入り娘なフミさん想像出来ひんねんけど!」
「ま、否定派せんしできんけどなー」
にやにやと楽しそうにフミは笑う。
「ずーっと長いこと箱入り娘やっとったからねえ。そろそろ勉強しに行ったらええんちゃうか?って今の家お父ちゃんが買ってんよ」
「そういうことやってんなあ」
朝子はいまいち目の前のフミと女学校に入学したての時のフミが重ならず、混乱しているようだった。
そしてフミはまたゆっくり話しだした。
「お昼ごはん中庭でもええかー?」
「ええよー。縁側のところやろ?」
フミは何が何だかわからないと言いたげな顔で二人を見つめた。
「ここ、来たこと無かったやろ?」
中庭につくと何組かの女子生徒が中庭に腰かけてお昼を食べていた。
フミの通っていた女学校には中庭があり、縁側に座ってお昼を食べていいことになっていたのだ。
「来た事無かったです。ありがとうございます」
ニコニコと笑うフミを見守るタヱとキヨ。
初めてのお友達とのお昼ごはんだった。
「しかし、びっくりしたわー。ほんまに良家のお嬢さんやってんなー」
キヨが言っている意味がよくわからず首を思わず傾げてしまうフミ。
「え、あんたまさかなにも知らずに声掛けたん?」
タヱが信じられないと言う目でキヨを見る。
「まー、そうやろうなぁとは思っててんよ」
「勘なの……?」
「うん、まあなー」
「フミがわけわからんって固まっちゃったで!?」
名前を呼ばれるまで、記憶がなかった気がする。
なんとか正気を取り戻し、曲げわっぱのお弁当箱を開けてから話題を振る。
「そういえば、キヨさんはどこの生まれなんですか?」
「そんな固い言葉言わんと関西弁つかったらええやーん!」
バンバンとフミの背中を叩くキヨ。
思わず口の中に入れた卵焼きを喉に詰まらせてしまい蒸せるフミ。
慌ててタヱがフミにお茶を飲ませる。
「あ、ありがとう」
「もーちっと女の子らしい声の掛け方出来んかねアンタは!」
しばらくしてフミが落ち着くと話を始めた。
「私、こちらの方に何度か訪れた事はあっても定住した事はなくて……。失礼があったらいけないと思いまして」
慌てて話をするフミは歳相応の女の子に見える。
「ま、慣れてったらええやん。キヨこんなんやけど相手のことは尊重するタイプやし」
ニコニコと笑うタヱに助けられる。
「せやな。ま、ウチらの前だけでも言葉崩してったらええで?」
「わかっ……た?」
「ん。よく出来んじゃん!」
「んでー?キヨの産まれのこと話してもええんちゃう?」
「あー、すまんすまん。なんかウチはずっと田舎で農業しとったんやけどさ、親戚のうちに養子行くことになってんよ」
「それで女学校に?」
「そそ、田舎じゃ珍しい話じゃないで?良い家柄の男の人と結婚しろってさ」
淡々と話すキヨ。
「結婚てそんなに良いもんなのかも、女学校にいく意味があるのかもうちには分からん。うちが好きなんは自由やから」
「自由か……」
父には苦労を掛けたからお前にはやりたい事をやらせてあげたい。自由にさせてあげたい。と言われたものの自由がなんなのか、フミには分からずにいた。
「でもどうせこれから縛られるんだったら女学校で好き勝手して遊んで楽しんだもん勝ちなんやないかなぁとも思ってん」
「せやからって先生に怒られることばっかりすんのは関心せんでー」
「怒られてもええやんけ!なんも減るもんちゃうしー」
「ダメだこりゃ。こうにはなっちゃダメだからね、フミ」
「はーい」
「なんや人のこと反面教師みたいに言いよってからに」
「実際反面教師やし?ほんまにしょーもない」
「うっ……。悪かったってばこれから気をつける」
「ふふっ。2人とも本当に仲がいいのねー」
少しずつ外れていくフミの敬語。
「ま、腐れ縁ってやつかしらねー。私も同じ感じやし?」
「うちら幼馴染やってんなー」
「家も隣同士、尋常小学校も同じ」
「おまけに女学校もかよ!って感じだよ」
「羨ましいよ。私は2人が」
「そうなん?」
「ずーっと箱入り娘で友だち作る機会も無かったしひとりぼっちやったから」
何不自由もなく勉強をして衣食住があって。
だけれど、家族の都合で引っ越さないといけなくて。
ずっとずっと孤独な生活を送っていたフミからしたら友だちというものがとてつもなく贅沢なものに見えるのだ。
「なんの苦労もしてないから羨ましいなんて言ったらいけないのかもしれないけどね」
少しだけ寂しそうに笑うフミにキヨとタエが叫ぶ。
「「それはちゃうやろ!」」
「え?」
「何かしらみんな違う悩み抱えてるんやから私は恵まれてるから私の悩みなんてって嘘ついたらあかん。それは素直に寂しかったって言ってええんやで」
「……そっかぁ」
やっと、友だちを作る意味が、父が女学校に通わせてくれた意味が少しだけ分かった気がする。
「せやから一緒に悪いことたくさんしよーぜー!」
「それは私がさせません!」
「ふふっ、あはははっ」
なんだか可笑しくなって笑いが止まらなくなってしまう。
「そうやなー、楽しんだもん勝ちやもんね!」
「これからウチら3人、仲良くしてこうぜ!」
「うん!」
こうしてフミの学校生活が始まったのだった。
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