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第二章 ゴブリン大増殖編
第40話 女神との再会
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無事にゴブリン討伐作戦が終了し、次の日からいつもの日常が待っていると思いきや残念ながらそんなりそうどおりにはいくはずもなかった。作戦の翌日にはギルマスからギルドへと呼び出され、あの戦いのより詳しい状況を説明させられた。
どうやらサウスプリングの領主に報告書を提出するために事の顛末を詳しくまとめなければいけないとのことで呼び出された。まあ精霊が助けてくれたということにして欲しいとお願いしたのはこっちだし、どのような筋書きにするかを決めるには俺がいないと出来ないし、こればかりは仕方がない。
結局、上手く自然な報告書をまとめるのに丸一日かかってしまった。
久しぶりのデスクワークがこんなにも堪えるなんて思いもしなかったよ。
そしてその翌日には今回の作戦における報酬を受け取るために再び招集された。表向きはゴブリン・イクシードを討伐したことにはなっていないのでそれ以外の働き分と参加報酬を頂くことになった。まあそれでも通常の依頼よりはずっと良い金額ではあった。
そしてその後、密かにギルマスに呼ばれてゴブリン・イクシードを討伐した報酬についての詳細を聞かされた。やはりギルドマスターとして超越種を討伐した功績に対して何もしないというのは彼のプライドが許さないらしい。しかし表向きにその功績を明かさないという約束もあるためにすぐには用意できず、少し待って欲しいとのことだそうだ。
俺的には別にそこまで大それた報酬はいらないと思っているのだけれども、おそらく何を言ってもこの人は折れなさそうな気がしたので大人しく受け取ることにした。まあお金はこの先必要になるかもしれないからな。
という感じであの作戦から3日後、ようやく俺はいつもの日常を取り戻すことが出来た。正直、しばらくの間は依頼を受けずにゆっくりと過ごしたい気分でいっぱいである。もちろんあの戦いで負った傷などはもう完全に回復しているが、やはり精神的にはつかれているような気がするのだ。
まあたまにはこんな期間があってもいいよね。
というわけで、まとまった余裕のある時間も出来たわけだし以前から行こうと思っていたあの場所に向かおうと思う。この世界へとやってきてすでに1か月以上経ってしまったけれど、この世界での生活も安定してきた今が一番いいタイミングだと思うんだ。
そうして俺は町の中心部から少し離れたところにある教会にやってきた。
そう、イリス教の教会へとやってきたということはイリス様との約束を果たしに来たという訳だ。
町へやってきて初めての教会へと足を踏み入れる。
中に入ると何だか神秘的な雰囲気が漂っており、外とは隔絶された異空間のような感じがする。
初めての異世界の教会なので見るものすべてが物珍しかったので辺りを見渡していると掃除をしていたシスターさんと目が合った。すると俺に気づいたシスターさんが掃除の手を止めてこちらへとやってきた。
「ようこそ、イリス教サウスプリング教会へ。ここへいらっしゃるのは初めてですか?」
「あ、はい。初めてです」
「そうですか...!それならぜひイリス様にお祈りを捧げていってください。貴方にイリス様の祝福があらんことを...」
「ありがとうございます!」
前世でこういうところに来たことなかったから何だかここでの出来事の一つ一つが新鮮である。俺は丁寧に対応してくれたシスターさんに軽く会釈をしてから教会の奥へと向かう。
講堂のようなところにやってくるとさっきから感じていた神秘的な雰囲気がより一層強まり、何だか不思議な気持ちになる。両脇に木製の長椅子が何列も並んでおり、最奥にはイリス様に似た女性の石像が飾られていた。その後ろから差し込んでいる日の光がちょうど石像を照らしており神々しさがより一層増している。
俺はその石像の前へとゆっくりと進んでいく。
この空間にいると自然とイリス様と初めて会った時のことを思い出す。
石像の前へとたどり着き、そのまま俺は片膝をついて目をゆっくりと閉じて手を組む。そして俺はどこかで見ていらっしゃるであろうイリス様へと祈りを捧げる。
(イリス様...僕です、ユウトです。遅くなってしまい申し訳ございません。転生前にした約束を果たしに参りました...!)
しばらく目を閉じてイリス様へと祈りを捧げていたのだが、その間も辺りには不思議と温かく穏やかな空気がとても心地よく感じていた。
「ユウトさん、お久しぶりです」
突然どこからか声が聞こえてくる。
俺は少し驚いて目を開けるとそこは先ほどまでいた教会の講堂ではなくなっていた。
懐かしい、転生前に一度見た真っ白な空間そのものであった。
俺はまさかと思い、声のした方へと視線を向けてみるとそこには美しい金髪の女性が立っていた。
「イリス様...!お久しぶりです!!なかなか挨拶に伺えず申し訳ありません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。あなたのことですから何か理由があったのでしょ?」
「はい、実は新しいこの世界にある程度慣れて新生活が安定してきたらイリス様に会いに行こうと思っていたんです。まだ生活が不安定な時にイリス様に会ってしまうと頼ってしまいそうで...」
そう、俺はイリス様のご厚意に必要以上に甘えたくなかったのだ。正直俺のメンタルはそこまで強い方じゃないから優しいイリス様を目の前にすると叶えてもらえるかどうかは別として甘えてしまいそうな気がしたのだ。
いろんなスキルや称号をもらって転生させてもらっただけでもこれ以上ないプレゼントをもらっているのに、それ以上何かをねだってしまうとそんな自分が情けなくなると思う。だからこそ生活が安定するまでは会いに来れなかった、いや会うわけにはいかなかったのだ。
「ふふっ、あなたらしい理由ですね。ということはもうアルクスでの生活には慣れましたか?」
「はい!ある程度ですがこの世界にも少しずつ慣れてきて、生活も安定してきたところです」
「そうですか、それは良かったです」
そう言うと優しく微笑みかけてくれた。
ああ、やっぱりイリス様と話していると心が癒されていく感じがする。
「そういえばイリス様、いくつかお聞きしたいことがあるんですが...」
「なんでしょう?」
俺はイリス様に先日のゴブリンの件を伝えた。超越種とは一体どういった存在なのか、あんなのがポンポンと出現するのかが非常に懸念しているのだ。正直あんなやつが連続で出てこられると人生を謳歌どころじゃなくなってしまうからな。
「イリス様、超越種とは一体どういった存在なのですか?」
「超越種ですか...」
すると今までずっと笑顔だったイリス様の表情がわずかながら曇ったような気がした。
どうしたのだろうか、超越種って一体...
「そうですね、まずユウトさんには超越種が悪いものだという誤解を解かないといけないですね」
「えっ、それってどういう...」
「私が超越種という存在を生み出したのには理由があるのです」
そう言うとイリス様は超越種という存在の誕生理由を話してくれた。
──超越種は簡単に言えば、種の限界を超えることに成功した存在のことを指している。イリス様がこの世界を創造した際に種族という区分も多様性を設けるために生み出したのだが、しかしそれが個人の成長限界をも決めてしまっていたのだ。それに気づいたイリス様は個人の努力が限界なく反映されるために創り出したシステムが『種の超越』なのだそうだ。
簡単に言えばイリス様は努力が必ず報われる世界を創りたかったのだそうだ。
その結果が超越種と呼ばれる存在という訳だ。
それに種の超越を行うためには相当な努力とそれに共に『想いの力』というものが必要なのだそうだ。具体的な基準や方法は教えてもらえなかったが、聞いた感じだと数十年に一回超越する者が現れれば多い方ぐらいの難易度なのだそうだ。
「なるほど、そうだったんですね」
「なので超越種だからと言って必ずしもユウトさんの敵、という訳ではないのです」
「超越種の存在理由、正直驚きました。そんな素敵な理由だったなんて」
「努力が報われる...そんな世界を目指して創り出したのですけどね。神と崇められてはいますが、何事もなかなか理想通りには出来ないものですね...」
「イリス様の努力が報われてほしいという想い、僕はとてもありがたいです。前世だと努力しても必ず報われるわけではないですし、むしろ努力しなくても成功する人もいればどんなに努力しても報われない人もいました。それに比べてこの世界はスキルやステータスといった数値という形で努力がめちゃくちゃ報われやすいと思います。なので本当にこの世界に転生出来て良かったと思っています!」
「ユウトさん、ありがとうございます。そう言って頂けると管理者としてとても嬉しいです!」
正直、マジでこの世界は個人的には前世の世界よりも性に合っている気がする。ちゃんと努力した分が数値としてステータスやスキルに反映されるし、とても頑張りがいがある世界だ。本当にこんな素晴らしい世界を創り出してくれて、そして転生させてくれたイリス様には感謝してもしきれない。
そして感謝と言えばもう一つ聞きたいことがあったんだった。
「あの、イリス様。ずっと聞こうと思っていたのですが...僕が頂いた称号、効果が破格すぎませんか?」
「称号の件ですか。困りごとでもありました?」
「ええ、まあ困るどころか非常に助かっておりますが...」
「なら良かったです。ユウトさんにはこの世界での新たな人生を謳歌してほしいですのでっ!」
う~ん、何か他にも理由がありそうな気がするんだけど俺の考えすぎなのかな...?
まあイリス様が何か変なことを考えているとは思えないし、とりあえずはいいかな。
「そういえば、今まで全く気にしていなかったのですがここはどこなんですか?」
「ここは管理空間です。いわゆるアルクスの人たちが言うところの神域にあたるところでしょうか」
「僕ってさっきまで教会にいたはずなんですが、いつの間にここへ...?」
「それなら大丈夫ですよ。あなたの意識だけをここに呼び寄せているだけなのですぐにでも教会にもどれますよ。それにここにいる間はアルクスでの時間は進んでいないのでご心配なく!」
なるほど、これはよくあるラノベでのご都合設定と同じというわけか!どういう仕組みなのか全く分からないけれど、それを言い出したら世界を創るってどうやってるんだよっていう話だもんな。
「あっ、そろそろお別れの時間ですね。ユウトさん、あなたとお話しできて楽しかったです。ぜひまた会いに来てくださいね」
「はい、こちらこそありがとうございました!ぜひまた挨拶に伺います!!」
俺が深くお辞儀をするとイリス様が軽く頭をなでてくれた。
この優しい肌触り、すごく心地がいい...
「ユウトさん、あなたの人生が幸せに満ち溢れることを願っております。あなたの想うがままに生きるのですよ」
「はいっ!」
視界が徐々に謎の光に包まれていき、真っ白になっていった。
そうして気が付くと俺はイリス様と会う以前と同じように講堂で祈りを捧げているところだった。
俺は立ち上がるとイリス様似の石像に向かって一礼をする。
(イリス様、俺頑張ります!必ず幸せになってみせます!!)
決意を新たに俺は教会を後にする。
この世界へとやってきて約1か月、本当にいろんなことがあった。大切な人たちとの出会いや交流が本当に一か月とは思えないほどの濃密なものであり、今では俺の宝物である。
これからも俺はこの世界で暮らしていく。
イリス様に言われたように自分の想いのまま、幸せな日々を過ごしていこう。
《第2章:ゴブリン大増殖編》~完~
どうやらサウスプリングの領主に報告書を提出するために事の顛末を詳しくまとめなければいけないとのことで呼び出された。まあ精霊が助けてくれたということにして欲しいとお願いしたのはこっちだし、どのような筋書きにするかを決めるには俺がいないと出来ないし、こればかりは仕方がない。
結局、上手く自然な報告書をまとめるのに丸一日かかってしまった。
久しぶりのデスクワークがこんなにも堪えるなんて思いもしなかったよ。
そしてその翌日には今回の作戦における報酬を受け取るために再び招集された。表向きはゴブリン・イクシードを討伐したことにはなっていないのでそれ以外の働き分と参加報酬を頂くことになった。まあそれでも通常の依頼よりはずっと良い金額ではあった。
そしてその後、密かにギルマスに呼ばれてゴブリン・イクシードを討伐した報酬についての詳細を聞かされた。やはりギルドマスターとして超越種を討伐した功績に対して何もしないというのは彼のプライドが許さないらしい。しかし表向きにその功績を明かさないという約束もあるためにすぐには用意できず、少し待って欲しいとのことだそうだ。
俺的には別にそこまで大それた報酬はいらないと思っているのだけれども、おそらく何を言ってもこの人は折れなさそうな気がしたので大人しく受け取ることにした。まあお金はこの先必要になるかもしれないからな。
という感じであの作戦から3日後、ようやく俺はいつもの日常を取り戻すことが出来た。正直、しばらくの間は依頼を受けずにゆっくりと過ごしたい気分でいっぱいである。もちろんあの戦いで負った傷などはもう完全に回復しているが、やはり精神的にはつかれているような気がするのだ。
まあたまにはこんな期間があってもいいよね。
というわけで、まとまった余裕のある時間も出来たわけだし以前から行こうと思っていたあの場所に向かおうと思う。この世界へとやってきてすでに1か月以上経ってしまったけれど、この世界での生活も安定してきた今が一番いいタイミングだと思うんだ。
そうして俺は町の中心部から少し離れたところにある教会にやってきた。
そう、イリス教の教会へとやってきたということはイリス様との約束を果たしに来たという訳だ。
町へやってきて初めての教会へと足を踏み入れる。
中に入ると何だか神秘的な雰囲気が漂っており、外とは隔絶された異空間のような感じがする。
初めての異世界の教会なので見るものすべてが物珍しかったので辺りを見渡していると掃除をしていたシスターさんと目が合った。すると俺に気づいたシスターさんが掃除の手を止めてこちらへとやってきた。
「ようこそ、イリス教サウスプリング教会へ。ここへいらっしゃるのは初めてですか?」
「あ、はい。初めてです」
「そうですか...!それならぜひイリス様にお祈りを捧げていってください。貴方にイリス様の祝福があらんことを...」
「ありがとうございます!」
前世でこういうところに来たことなかったから何だかここでの出来事の一つ一つが新鮮である。俺は丁寧に対応してくれたシスターさんに軽く会釈をしてから教会の奥へと向かう。
講堂のようなところにやってくるとさっきから感じていた神秘的な雰囲気がより一層強まり、何だか不思議な気持ちになる。両脇に木製の長椅子が何列も並んでおり、最奥にはイリス様に似た女性の石像が飾られていた。その後ろから差し込んでいる日の光がちょうど石像を照らしており神々しさがより一層増している。
俺はその石像の前へとゆっくりと進んでいく。
この空間にいると自然とイリス様と初めて会った時のことを思い出す。
石像の前へとたどり着き、そのまま俺は片膝をついて目をゆっくりと閉じて手を組む。そして俺はどこかで見ていらっしゃるであろうイリス様へと祈りを捧げる。
(イリス様...僕です、ユウトです。遅くなってしまい申し訳ございません。転生前にした約束を果たしに参りました...!)
しばらく目を閉じてイリス様へと祈りを捧げていたのだが、その間も辺りには不思議と温かく穏やかな空気がとても心地よく感じていた。
「ユウトさん、お久しぶりです」
突然どこからか声が聞こえてくる。
俺は少し驚いて目を開けるとそこは先ほどまでいた教会の講堂ではなくなっていた。
懐かしい、転生前に一度見た真っ白な空間そのものであった。
俺はまさかと思い、声のした方へと視線を向けてみるとそこには美しい金髪の女性が立っていた。
「イリス様...!お久しぶりです!!なかなか挨拶に伺えず申し訳ありません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。あなたのことですから何か理由があったのでしょ?」
「はい、実は新しいこの世界にある程度慣れて新生活が安定してきたらイリス様に会いに行こうと思っていたんです。まだ生活が不安定な時にイリス様に会ってしまうと頼ってしまいそうで...」
そう、俺はイリス様のご厚意に必要以上に甘えたくなかったのだ。正直俺のメンタルはそこまで強い方じゃないから優しいイリス様を目の前にすると叶えてもらえるかどうかは別として甘えてしまいそうな気がしたのだ。
いろんなスキルや称号をもらって転生させてもらっただけでもこれ以上ないプレゼントをもらっているのに、それ以上何かをねだってしまうとそんな自分が情けなくなると思う。だからこそ生活が安定するまでは会いに来れなかった、いや会うわけにはいかなかったのだ。
「ふふっ、あなたらしい理由ですね。ということはもうアルクスでの生活には慣れましたか?」
「はい!ある程度ですがこの世界にも少しずつ慣れてきて、生活も安定してきたところです」
「そうですか、それは良かったです」
そう言うと優しく微笑みかけてくれた。
ああ、やっぱりイリス様と話していると心が癒されていく感じがする。
「そういえばイリス様、いくつかお聞きしたいことがあるんですが...」
「なんでしょう?」
俺はイリス様に先日のゴブリンの件を伝えた。超越種とは一体どういった存在なのか、あんなのがポンポンと出現するのかが非常に懸念しているのだ。正直あんなやつが連続で出てこられると人生を謳歌どころじゃなくなってしまうからな。
「イリス様、超越種とは一体どういった存在なのですか?」
「超越種ですか...」
すると今までずっと笑顔だったイリス様の表情がわずかながら曇ったような気がした。
どうしたのだろうか、超越種って一体...
「そうですね、まずユウトさんには超越種が悪いものだという誤解を解かないといけないですね」
「えっ、それってどういう...」
「私が超越種という存在を生み出したのには理由があるのです」
そう言うとイリス様は超越種という存在の誕生理由を話してくれた。
──超越種は簡単に言えば、種の限界を超えることに成功した存在のことを指している。イリス様がこの世界を創造した際に種族という区分も多様性を設けるために生み出したのだが、しかしそれが個人の成長限界をも決めてしまっていたのだ。それに気づいたイリス様は個人の努力が限界なく反映されるために創り出したシステムが『種の超越』なのだそうだ。
簡単に言えばイリス様は努力が必ず報われる世界を創りたかったのだそうだ。
その結果が超越種と呼ばれる存在という訳だ。
それに種の超越を行うためには相当な努力とそれに共に『想いの力』というものが必要なのだそうだ。具体的な基準や方法は教えてもらえなかったが、聞いた感じだと数十年に一回超越する者が現れれば多い方ぐらいの難易度なのだそうだ。
「なるほど、そうだったんですね」
「なので超越種だからと言って必ずしもユウトさんの敵、という訳ではないのです」
「超越種の存在理由、正直驚きました。そんな素敵な理由だったなんて」
「努力が報われる...そんな世界を目指して創り出したのですけどね。神と崇められてはいますが、何事もなかなか理想通りには出来ないものですね...」
「イリス様の努力が報われてほしいという想い、僕はとてもありがたいです。前世だと努力しても必ず報われるわけではないですし、むしろ努力しなくても成功する人もいればどんなに努力しても報われない人もいました。それに比べてこの世界はスキルやステータスといった数値という形で努力がめちゃくちゃ報われやすいと思います。なので本当にこの世界に転生出来て良かったと思っています!」
「ユウトさん、ありがとうございます。そう言って頂けると管理者としてとても嬉しいです!」
正直、マジでこの世界は個人的には前世の世界よりも性に合っている気がする。ちゃんと努力した分が数値としてステータスやスキルに反映されるし、とても頑張りがいがある世界だ。本当にこんな素晴らしい世界を創り出してくれて、そして転生させてくれたイリス様には感謝してもしきれない。
そして感謝と言えばもう一つ聞きたいことがあったんだった。
「あの、イリス様。ずっと聞こうと思っていたのですが...僕が頂いた称号、効果が破格すぎませんか?」
「称号の件ですか。困りごとでもありました?」
「ええ、まあ困るどころか非常に助かっておりますが...」
「なら良かったです。ユウトさんにはこの世界での新たな人生を謳歌してほしいですのでっ!」
う~ん、何か他にも理由がありそうな気がするんだけど俺の考えすぎなのかな...?
まあイリス様が何か変なことを考えているとは思えないし、とりあえずはいいかな。
「そういえば、今まで全く気にしていなかったのですがここはどこなんですか?」
「ここは管理空間です。いわゆるアルクスの人たちが言うところの神域にあたるところでしょうか」
「僕ってさっきまで教会にいたはずなんですが、いつの間にここへ...?」
「それなら大丈夫ですよ。あなたの意識だけをここに呼び寄せているだけなのですぐにでも教会にもどれますよ。それにここにいる間はアルクスでの時間は進んでいないのでご心配なく!」
なるほど、これはよくあるラノベでのご都合設定と同じというわけか!どういう仕組みなのか全く分からないけれど、それを言い出したら世界を創るってどうやってるんだよっていう話だもんな。
「あっ、そろそろお別れの時間ですね。ユウトさん、あなたとお話しできて楽しかったです。ぜひまた会いに来てくださいね」
「はい、こちらこそありがとうございました!ぜひまた挨拶に伺います!!」
俺が深くお辞儀をするとイリス様が軽く頭をなでてくれた。
この優しい肌触り、すごく心地がいい...
「ユウトさん、あなたの人生が幸せに満ち溢れることを願っております。あなたの想うがままに生きるのですよ」
「はいっ!」
視界が徐々に謎の光に包まれていき、真っ白になっていった。
そうして気が付くと俺はイリス様と会う以前と同じように講堂で祈りを捧げているところだった。
俺は立ち上がるとイリス様似の石像に向かって一礼をする。
(イリス様、俺頑張ります!必ず幸せになってみせます!!)
決意を新たに俺は教会を後にする。
この世界へとやってきて約1か月、本当にいろんなことがあった。大切な人たちとの出会いや交流が本当に一か月とは思えないほどの濃密なものであり、今では俺の宝物である。
これからも俺はこの世界で暮らしていく。
イリス様に言われたように自分の想いのまま、幸せな日々を過ごしていこう。
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