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第127話 必勝法
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~織原朔真視点~
○天久カミカ
○霧声麻未
○パウラ・クレイ
○神楽坂詩音
○エドヴァルド・ブレイン
グループにいるアイコンがそれぞれ点滅している。僕のいるAブロックのメンバーが視聴者に向かってそれぞれ挨拶を済ませた。
○積飛獏
積飛さんがグループに入ってきた。
「え~皆さんお待たせしました。積飛です。本日はお集まり頂きまして本当にありがとうございます。え~、最近V界隈で色々と物議があり──」
積飛さんの話を遮ってカミカさんが謝った。
「本っっ当にすみませんでしたぁぁぁ!!」
カミカさんの突然の絶叫謝罪に皆が笑った。続けてカミカさんが喋る。
「もうあれから私以外のVチューバーさんのコメント欄とかも荒れに荒れてしまって申し訳ないっ!!」
その言葉に積飛さんが反応した。
「いやカミカさんには感謝してるんすよ。寧ろガツンと言ってくれて俺はスッキリしましたし、それにあれはVが音楽をやって炎上したみたいな感じじゃないですか?それをこの期待のホープ、エドヴァルドが黙らせるって構図が最高だった」
大先輩であるカミカさんやら積飛さん、神楽坂さん、霧声さんがいるこの空間に緊張していた僕だが、その積飛さんに話を振られて僕は必死に返す。
「期待のホープはやめてくださいよ!」
Vチューバーが歌を歌っても心に響かないと言われたカミカさんだったが、その後僕の歌枠が海外でバズったおかげで、散々ディスってたネット民が何も言わなくなったのだ。しかも世界的に有名なザスティンがツイートしたのだ、誰も文句は言えない。
「相変わらず、えぇ声やな~。バズる前に声かけといてよかったわ」
田中カナタ杯で積飛さんとは接敵したことがあり、それから積飛さんに配信を観てもらえたらしい。僕は誘ってくれたことに感謝をすると神楽坂さんが発言する。
「マジでエドの歌よかったよ」
この言葉にカミカさんと霧声さんが賛同する。
「エドヴァルドさんのお陰で私の炎上がおさまったと言っても過言ではありません!ありがとうございます!」
「私も聴きました!」
すると、シルクのような肌触りの声が聞こえてきた。さっきの挨拶の時もそうだが、薙鬼流の同期であるパウラちゃんが口を開く。
「パウラもエドヴァウドさんの歌聴きましたぁ~。とってもカッコよかったですぅ~」
クリーム色の背丈程伸びた長い髪の毛にクリクリとした愛らしい目、背中には羽が生えている。パウラちゃんの設定は天使のようだ。エドヴァルドが上手く発音できずエドヴァウドになっているのは触れないでおこう。
「あ、ありがとうございます……」
神楽坂さんが僕のこの反応につっこんだ。
「陰キャかお前は!」
「いやだって、こんなに可愛らしい声の人と喋ったことなくてですね……」
するとカミカさんが言った。
「え~、嬉しいですぅぅ~!可愛らしいなんてぇ……そんなことないですよぉ~」
異性に媚びたカミカさんの声を聞いた神楽坂さんと積飛さんは同時に呟く。
「きっつ……」
「きちぃ……」
「え~ひどぉぉい……カミカァ悲し…ゴホッ!ゴホッ!!」
〉無理してて草
〉もうやめて!カミカのライフは0よ!!
〉薙鬼流が裏で嫉妬するぞ!!
〉草
「え~、カミカさんの喉が終わったところで始めようと思います!」
皆さんのお陰で緊張がほぐれた。今日は良い成績を残そう。
「Aブロック!さぁ、ギャンブルを始めよう!!」
〉うおぉぉぉぉ!!
〉ギャンブルの時間だ!!
〉おーーー!!!
〉頑張れー!!
ゲーム画面。6人がけの細長い楕円形のテーブル、ポーカーテーブルにプレイヤーの6人が座る。それぞれの席にはプレイヤーネームと所持しているチップの合計金額が表示されている。
ここからはコメント欄をオフにした。
カードが2枚配られる。
♥️の3
♣️の9
──よっわ!!
順番は現在ビッグブラインドのカミカさんの左隣にいる神楽坂さんからだ。
その神楽坂さんがまだ何もアクションを起こさずに不気味に笑った。
「ふっふっふっ……」
積飛さんが言った。
「なんだなんだ?いきなりエーシーズでも引いたか?」
神楽坂さんは答える。
「このゲームには必勝法がある」
「なにっ!!?」
積飛さんがそう溢すと、僕のプレイ画面に稲妻のエフェクトが走る。
「オールインだ!!!」
神楽坂さんはいきなりオールイン、つまりは有り金を全て賭けたのだ。
──────────────────────────────────────────────────
~田中カナタ視点~
神視点では全員の手札が見える。
Dパウラ・クレイ
→♥️K
♠️Q
SB霧声麻未
→♦️4
♥️10
BB天久カミカ
→♥️7
♣️9
神楽坂詩音
→♠️J
♥️2
エドヴァルド
→♥️3
♣️9
積飛獏
→♦️J
♦️3
この中で最も強い手札はパウラちゃんだ。次点で絵柄の揃っている獏かストレートを狙えるカミカさん。しかしBB──ビッグブラインド──の左隣である神楽坂詩音が暴挙に走った。
『オールインだ!!!』
事務所の後輩、神楽坂詩音の叫び声が聞こえる。俺は自分の仕事をまっとうした。
「うわぁぁぁ!!いきなりのオールイン!!確かに良い手っちゃ良い手だけど、ずるいっちゃずるいな。というのも所持金が全員一緒の段階でいきなりオールインをされると、勝負するには同じくオールインをしなければなりません!つまり、勝負をして負ければ即退場というリスクを犯さなければならないということです!それを開始早々、ライバーならなるべく長くそのテーブルに座り、プレイをしていたいと思うのが普通なのだが、詩音以外のプレイヤーはどう出るか!?」
『おい!!』
『いきなりかよ!!』
『早ぇよ!!』
「やはりブーイングをくらっているが、それでも1人、また1人とフォールドしていくぅ~~!」
神楽坂→エドヴァルド→積飛という順番でフォールドしていった。
「そして次のプレイヤー、ブルーナイツの新人ライバー!パウラ・クレイはどうでる?」
すると画面に先程の詩音と同じく稲妻のエフェクトが走る。
「うわぁぁぁぁ!!勝負したぁ~!!!」
テーブルではさぞや盛り上がっているかと思えば、パウラちゃんの可愛らしい声が響いていた。
『はわわわわわ!!!間違えました!!やっちゃったぁぁぁ!!!』
パウラちゃんの次の麻未さんとカミカさんもフォールド。ということは詩音かパウラちゃんのどちらかが開始早々に脱落することになる。
「しかぁ~し!詩音のほぼ上位互換と言ってもいい手を持っているパウラちゃん!!」
2人の持っている2枚のカードがオープンされる。
神楽坂
→♠️J
♥️2
Dパウラ・クレイ
→♥️K
♠️Q
『うわあぁぁぁぁ!!!』
『2人とも強い!!』
『これはぁ!!?』
場にカードが3枚出された。
♣️Q
♥️A
♥️J
「パウラちゃん、クイーンをヒットさせた!!詩音もジャックをヒットさせるぅぅ!!」
4枚目、5枚目も2人ともオールインの為、捲めくられていく。詩音の絶叫が聞こえてきた。
『ジャック!!ジャックだ!!こい!!!』
♠️4
『うわ!!』
『うぅ~~!!』
それぞれのプレイヤーから言葉にはならない声が漏れ出す。そして最後の5枚目がオープンした。
♦️K
『ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁす!!!』
WINNERの文字がパウラちゃんの座る場所に光った。
「神楽坂詩音!見事玉砕!!一手目からの不意打ちのような卑怯な戦法で場のチップを掠め取ろうとしたが、パウラちゃんのまさかの押し間違いにる事故死!なんともダサい結果となりました!」
○天久カミカ
○霧声麻未
○パウラ・クレイ
○神楽坂詩音
○エドヴァルド・ブレイン
グループにいるアイコンがそれぞれ点滅している。僕のいるAブロックのメンバーが視聴者に向かってそれぞれ挨拶を済ませた。
○積飛獏
積飛さんがグループに入ってきた。
「え~皆さんお待たせしました。積飛です。本日はお集まり頂きまして本当にありがとうございます。え~、最近V界隈で色々と物議があり──」
積飛さんの話を遮ってカミカさんが謝った。
「本っっ当にすみませんでしたぁぁぁ!!」
カミカさんの突然の絶叫謝罪に皆が笑った。続けてカミカさんが喋る。
「もうあれから私以外のVチューバーさんのコメント欄とかも荒れに荒れてしまって申し訳ないっ!!」
その言葉に積飛さんが反応した。
「いやカミカさんには感謝してるんすよ。寧ろガツンと言ってくれて俺はスッキリしましたし、それにあれはVが音楽をやって炎上したみたいな感じじゃないですか?それをこの期待のホープ、エドヴァルドが黙らせるって構図が最高だった」
大先輩であるカミカさんやら積飛さん、神楽坂さん、霧声さんがいるこの空間に緊張していた僕だが、その積飛さんに話を振られて僕は必死に返す。
「期待のホープはやめてくださいよ!」
Vチューバーが歌を歌っても心に響かないと言われたカミカさんだったが、その後僕の歌枠が海外でバズったおかげで、散々ディスってたネット民が何も言わなくなったのだ。しかも世界的に有名なザスティンがツイートしたのだ、誰も文句は言えない。
「相変わらず、えぇ声やな~。バズる前に声かけといてよかったわ」
田中カナタ杯で積飛さんとは接敵したことがあり、それから積飛さんに配信を観てもらえたらしい。僕は誘ってくれたことに感謝をすると神楽坂さんが発言する。
「マジでエドの歌よかったよ」
この言葉にカミカさんと霧声さんが賛同する。
「エドヴァルドさんのお陰で私の炎上がおさまったと言っても過言ではありません!ありがとうございます!」
「私も聴きました!」
すると、シルクのような肌触りの声が聞こえてきた。さっきの挨拶の時もそうだが、薙鬼流の同期であるパウラちゃんが口を開く。
「パウラもエドヴァウドさんの歌聴きましたぁ~。とってもカッコよかったですぅ~」
クリーム色の背丈程伸びた長い髪の毛にクリクリとした愛らしい目、背中には羽が生えている。パウラちゃんの設定は天使のようだ。エドヴァルドが上手く発音できずエドヴァウドになっているのは触れないでおこう。
「あ、ありがとうございます……」
神楽坂さんが僕のこの反応につっこんだ。
「陰キャかお前は!」
「いやだって、こんなに可愛らしい声の人と喋ったことなくてですね……」
するとカミカさんが言った。
「え~、嬉しいですぅぅ~!可愛らしいなんてぇ……そんなことないですよぉ~」
異性に媚びたカミカさんの声を聞いた神楽坂さんと積飛さんは同時に呟く。
「きっつ……」
「きちぃ……」
「え~ひどぉぉい……カミカァ悲し…ゴホッ!ゴホッ!!」
〉無理してて草
〉もうやめて!カミカのライフは0よ!!
〉薙鬼流が裏で嫉妬するぞ!!
〉草
「え~、カミカさんの喉が終わったところで始めようと思います!」
皆さんのお陰で緊張がほぐれた。今日は良い成績を残そう。
「Aブロック!さぁ、ギャンブルを始めよう!!」
〉うおぉぉぉぉ!!
〉ギャンブルの時間だ!!
〉おーーー!!!
〉頑張れー!!
ゲーム画面。6人がけの細長い楕円形のテーブル、ポーカーテーブルにプレイヤーの6人が座る。それぞれの席にはプレイヤーネームと所持しているチップの合計金額が表示されている。
ここからはコメント欄をオフにした。
カードが2枚配られる。
♥️の3
♣️の9
──よっわ!!
順番は現在ビッグブラインドのカミカさんの左隣にいる神楽坂さんからだ。
その神楽坂さんがまだ何もアクションを起こさずに不気味に笑った。
「ふっふっふっ……」
積飛さんが言った。
「なんだなんだ?いきなりエーシーズでも引いたか?」
神楽坂さんは答える。
「このゲームには必勝法がある」
「なにっ!!?」
積飛さんがそう溢すと、僕のプレイ画面に稲妻のエフェクトが走る。
「オールインだ!!!」
神楽坂さんはいきなりオールイン、つまりは有り金を全て賭けたのだ。
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~田中カナタ視点~
神視点では全員の手札が見える。
Dパウラ・クレイ
→♥️K
♠️Q
SB霧声麻未
→♦️4
♥️10
BB天久カミカ
→♥️7
♣️9
神楽坂詩音
→♠️J
♥️2
エドヴァルド
→♥️3
♣️9
積飛獏
→♦️J
♦️3
この中で最も強い手札はパウラちゃんだ。次点で絵柄の揃っている獏かストレートを狙えるカミカさん。しかしBB──ビッグブラインド──の左隣である神楽坂詩音が暴挙に走った。
『オールインだ!!!』
事務所の後輩、神楽坂詩音の叫び声が聞こえる。俺は自分の仕事をまっとうした。
「うわぁぁぁ!!いきなりのオールイン!!確かに良い手っちゃ良い手だけど、ずるいっちゃずるいな。というのも所持金が全員一緒の段階でいきなりオールインをされると、勝負するには同じくオールインをしなければなりません!つまり、勝負をして負ければ即退場というリスクを犯さなければならないということです!それを開始早々、ライバーならなるべく長くそのテーブルに座り、プレイをしていたいと思うのが普通なのだが、詩音以外のプレイヤーはどう出るか!?」
『おい!!』
『いきなりかよ!!』
『早ぇよ!!』
「やはりブーイングをくらっているが、それでも1人、また1人とフォールドしていくぅ~~!」
神楽坂→エドヴァルド→積飛という順番でフォールドしていった。
「そして次のプレイヤー、ブルーナイツの新人ライバー!パウラ・クレイはどうでる?」
すると画面に先程の詩音と同じく稲妻のエフェクトが走る。
「うわぁぁぁぁ!!勝負したぁ~!!!」
テーブルではさぞや盛り上がっているかと思えば、パウラちゃんの可愛らしい声が響いていた。
『はわわわわわ!!!間違えました!!やっちゃったぁぁぁ!!!』
パウラちゃんの次の麻未さんとカミカさんもフォールド。ということは詩音かパウラちゃんのどちらかが開始早々に脱落することになる。
「しかぁ~し!詩音のほぼ上位互換と言ってもいい手を持っているパウラちゃん!!」
2人の持っている2枚のカードがオープンされる。
神楽坂
→♠️J
♥️2
Dパウラ・クレイ
→♥️K
♠️Q
『うわあぁぁぁぁ!!!』
『2人とも強い!!』
『これはぁ!!?』
場にカードが3枚出された。
♣️Q
♥️A
♥️J
「パウラちゃん、クイーンをヒットさせた!!詩音もジャックをヒットさせるぅぅ!!」
4枚目、5枚目も2人ともオールインの為、捲めくられていく。詩音の絶叫が聞こえてきた。
『ジャック!!ジャックだ!!こい!!!』
♠️4
『うわ!!』
『うぅ~~!!』
それぞれのプレイヤーから言葉にはならない声が漏れ出す。そして最後の5枚目がオープンした。
♦️K
『ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁす!!!』
WINNERの文字がパウラちゃんの座る場所に光った。
「神楽坂詩音!見事玉砕!!一手目からの不意打ちのような卑怯な戦法で場のチップを掠め取ろうとしたが、パウラちゃんのまさかの押し間違いにる事故死!なんともダサい結果となりました!」
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