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原因
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枝葉の隙間から、丁度いいくらいの光が注がれている。
耳を澄ませば、鳥の鳴き声。
ここはどこだろう。
暑すぎず、寒すぎず。
クルル・トスティータの両方の国民が、最適だと思える温度。
『禁断の森なんて…誰が言い出したんだ』
男が忌々しいと吐き捨てた。
ああ、ここはあの森だ。
禁断の森――二つの国の境界線。
『動物だって、それぞれの国から、救いを求めてやって来る。そして、仲良くしているっていうのに』
彼の文句は止まらない。
言われてみれば、あの森に生息している動物達は、どちらの出身でもあり得る。
一方は、日除けを求めて。
もう一方は、温もりを求めて。
そうだとしても、何ら不思議ではない。
そしてきっと、仲良く暮らしているのだろう。
『国境付近で睨み合ったって、何になる。せっかく言葉は同じなんだから、話してみればいいんだ』
(そうよ。本当にそうなの)
心の中で同意していると、彼はこちらをまじまじと見つめた。
『あ……』
だが、彼が見ていたのはジェイダではなかった。
つられて振り向くと、そこで金色の髪が揺れていた。
『待って! 』
日に焼けた腕を伸ばし、男は慌てて影を追った。
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