4 / 6
episode.hotaka
生かされた命
しおりを挟む
穂高さんは自分の生きる可能性を捨てて、私に瞬間移動という一番確実に逃げられる術を授けてくれた。といことは、穂高さんの死が確定したということだ。
私は、穂高さんには何か他に作戦があるのではないかと考えてみたが厳重な警備の上に常に外に行けない仕組み、誰も外の構造がどうなっているかなんて何年前かの記憶で、鮮明に覚えているはずがないだろう。
穂高さんだって、最後に見たのは10年以上前だ。でも一応聞いておく。
「穂高さん、瞬間移動教えちゃっていいんですか?」
ズバリ単刀直入に聞く。
自分の命を削ってくれている理由、それは確かめておかなければならない。
「いいんだよ、俺、最後は桜と一緒にいるって決めてたんだ。それに、聞かれていなくても、今日の夜に瞬間移動教えてたよ、なんなら寝てるときにタトゥー掘って、朝にいなくなったら雰囲気出たかも~。」
私は涙を浮かべた。
穂高さんは私に最終的に瞬間移動を伝授してこの世を去ろうとしてたらしく、最後に会いたい人に選んでくれていた。
穂高さんは私のことを一番大事に思ってくれていた唯一の人だ。将来どんなことがあっても忘れないと心に誓った。
「私なんかこの牢屋にいる人しか知らなくて、瞬間移動覚えても使えないですよ?」
次に聞きたかったことをすぐさま聞いた。
私の考えは、どっちも生きることだ。牢屋を出ても穂高さんと一緒にいたい。一人で生きれるわけがないし、穂高さんなら色々知ってそうで、将来的には、穂高さんも一人の女の人として結婚して子供を産んで、という生活を誰よりもしてほしかった。死刑というのはあまりにも残酷だろう。
世間の人たちからすれば、沢山の命を奪った殺人犯だが、私からすれば、命の恩人であり、親同然だ。
このまま穂高さんが釈放されたとしても世間の人たちはよく思わないのはわかってる。でもそんな人たちは、穂高さんを詳しくは知らないし、なんで殺したかなんて警察の人に言っただけで、公表はされない。
警察も仕事上同情したりもできない。誰もわかってあげられないまま、犯罪の内容で死刑判決が下されたのだろう。
「知ってる。桜が瞬間移動持ってても逃げられないってことでしょ?それなら、桜なんの犯罪もしてないんだから、釈放はされると思うよ。桜の両親が危険な犯罪者だったってことで隔離されてるんだから、殺されるわけない!」
真剣に私のことを考えてくれる穂高さんに、今日中にできるだけの感謝を伝えようと心に決めた。
私は、穂高さんには何か他に作戦があるのではないかと考えてみたが厳重な警備の上に常に外に行けない仕組み、誰も外の構造がどうなっているかなんて何年前かの記憶で、鮮明に覚えているはずがないだろう。
穂高さんだって、最後に見たのは10年以上前だ。でも一応聞いておく。
「穂高さん、瞬間移動教えちゃっていいんですか?」
ズバリ単刀直入に聞く。
自分の命を削ってくれている理由、それは確かめておかなければならない。
「いいんだよ、俺、最後は桜と一緒にいるって決めてたんだ。それに、聞かれていなくても、今日の夜に瞬間移動教えてたよ、なんなら寝てるときにタトゥー掘って、朝にいなくなったら雰囲気出たかも~。」
私は涙を浮かべた。
穂高さんは私に最終的に瞬間移動を伝授してこの世を去ろうとしてたらしく、最後に会いたい人に選んでくれていた。
穂高さんは私のことを一番大事に思ってくれていた唯一の人だ。将来どんなことがあっても忘れないと心に誓った。
「私なんかこの牢屋にいる人しか知らなくて、瞬間移動覚えても使えないですよ?」
次に聞きたかったことをすぐさま聞いた。
私の考えは、どっちも生きることだ。牢屋を出ても穂高さんと一緒にいたい。一人で生きれるわけがないし、穂高さんなら色々知ってそうで、将来的には、穂高さんも一人の女の人として結婚して子供を産んで、という生活を誰よりもしてほしかった。死刑というのはあまりにも残酷だろう。
世間の人たちからすれば、沢山の命を奪った殺人犯だが、私からすれば、命の恩人であり、親同然だ。
このまま穂高さんが釈放されたとしても世間の人たちはよく思わないのはわかってる。でもそんな人たちは、穂高さんを詳しくは知らないし、なんで殺したかなんて警察の人に言っただけで、公表はされない。
警察も仕事上同情したりもできない。誰もわかってあげられないまま、犯罪の内容で死刑判決が下されたのだろう。
「知ってる。桜が瞬間移動持ってても逃げられないってことでしょ?それなら、桜なんの犯罪もしてないんだから、釈放はされると思うよ。桜の両親が危険な犯罪者だったってことで隔離されてるんだから、殺されるわけない!」
真剣に私のことを考えてくれる穂高さんに、今日中にできるだけの感謝を伝えようと心に決めた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。


【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

私の大好きな彼氏はみんなに優しい
hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。
柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。
そして…
柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。

好きな人がいるならちゃんと言ってよ
しがと
恋愛
高校1年生から好きだった彼に毎日のようにアピールして、2年の夏にようやく交際を始めることができた。それなのに、彼は私ではない女性が好きみたいで……。 彼目線と彼女目線の両方で話が進みます。*全4話

人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる