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イケメンがやってきた。
しおりを挟むミヤビに全身を弄ばれ、そして必死に彼に奉仕しながら、ぼうっとする頭で「この人はもう店に来ないだろうな」と思っていた。
指名No. 1を誇る俺だからこそ、気に入ってもらえているかどうか、その客がまた来てくれるかどうかはすぐにわかる。それは売れっ子の勘というもので、しかもだいたいが当たる。
ミヤビは、今この場では俺のことを気に入ってくれているはずだ。しかし一歩店を出た瞬間に、俺は彼が今まで抱いてきた数多の男の中のひとりとして簡単に忘れ去られてしまう。
なぜなら彼はあらゆるものに興味がないのだ。女にも男にも。他人からの自分の見られ方にも。しかし、なまじ見てくれがいいために、一方的に彼のことが忘れられなくなる人間をたくさん生み出してしまう。そう、今の俺のような。
ベッドの上で立ったミヤビの下腹部にしゃがみ込み、これ以上ないほど愛を込めてモノを咥え込んでいたら、ふいに二の腕をぐいと引っ張り上げられて我に帰った。
「?」
モノと俺の唇を、唾液の銀の糸がつなぐ。きらりと光ったそれが切れ、戸惑いながらミヤビの方を見上げたら、そのままさらに引っ張られて唇で唇を塞がれた。舌が入ってくる。
ときめきすぎて死ぬという事象がこの世にあるとしたら、間違いなくこのとき俺は死んでいただろう。ミヤビが何を考えてキスしたのかわからない。でも、俺の奉仕を中断させてでも今キスしたいという彼の衝動のように思えて、俺はさらに激しく勃起した。
(挿れていい? ってもし聞かれたら、今回は迷うことなきイエスだ)
実際に提案されることはよくあり、俺は50回に1回くらいの割合で首を縦に振った。理由はだいたい「見た目がいいから」である。それでも俺はいつも迷う。抱かせたらもう来なくなんのかな、とか、期待したほど良くなかったらがっかりするしな、とか、理由はそういう打算じみた軽薄なものばかりだ。
でも今回は迷いなどない。どうせミヤビは二度と来てくれないだろうから、記念に1回くらいセックスしたい。
ミヤビがキスするのをやめ、俺を四つん這いにさせた。来た、と思う。彼のモノが、俺のアナルにぬるぬると擦り付けられるのを感じた。このぬめりはきっと彼の我慢汁だ。そう思うと興奮で身体が熱くなる。
ミヤビが背後から俺に覆い被さるような体勢になり、モノをすりつけながら両乳首を弄ってきた。挿れるつもりがないのだろうか。擦られているだけなのに、おそろしいほどの快感にまた嬌声が漏れた。恥ずかしいけれどもはや我慢などできるわけもなくて、俺は喘ぎながらミヤビの名前を呼んでいた。
「ミヤビ、だめ、それ、気持ちいいっ」
「……ん、俺もだよ」
俺の言葉に興奮したのか、ミヤビのモノがさらに硬くなるのを感じた。奥深くまで貫かれるところを想像してしまい思考回路がショートする。そして気がついたら、俺は果ててしまっていた。果ててしまっていた?
「そっち触ってないのにもうイッちゃったの?」
耳元で囁かれ、顔がかっと熱くなる。ぱたぱたと、精液がシーツに滴る音がした。こんなことは初めての経験だ。恥ずかしい。しかしミヤビが嬉しそうにしているので、もうなんでもいいと思った。そんなことより早く挿れてくれよ、と抗議したいくらいの気持ちだった。
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